降り立った場所は
譲と静香は気を失っていたようだ。体に包帯が巻かれている。近くに2、3人いた。人間のようだが。譲はその者達に聞いた。「ここは何処ですか?」
その者達はここはマルクの辺境ですと答えた。「狭いとか言った割には辺境とかあるんだな。」「そうみたいね」
慌てた様子で、「貴方達はもしや…… 早く大僧正に会わせなくては」とその人間達は俺達に聞こえるように言った。
「何慌ててるんだろうね」「譲貴方も少し慌てなさいよ。全然違う世界に来ちゃったのよ。それに見てこれ」
地面に赤と緑の欠片が散らばっている。「シリウスとコレア割れちゃった……」
静香はため息をつく。「何とかなるさ。後で使えるかもしれないから全部集めて持っていこう。」2人であたりの地面をくまなく探しおおよそ集めきった。その様子を見ていた人間だろうけど区別する為にヒューマンと呼ぶか、は、相変わらず慌てて「おい、馬車を早く持って来い。死んでしまうぞ。」「おう。」などと忙しなかった。
静香が独り言を言っている。「おかしいわね。使っても術者の手元についてくる物じゃないのに。それに割れるなんて。でもこの欠片ホントに使えるかもしれない」と。
俺はどうやら好意的なヒューマンが馬車を持ってくるのを静かに待っていた。がなんか息が苦しい……。空気が俺達のいた地と匂いが違う。静香も「なんだろう。頭痛い」と言っているしどうやらこっちの世界では大気の成分が違うのではないかという結論に達した。
5分もしない内に馬車が来て「お二方早く!」と言っている。その声が段々遠くなって俺と静香は気絶した。