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テイルズオブサイレンス  作者: 敬愛
三人の日常 ~夢見ていた頃~
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カレーへのこだわり

 ここは大学内の食堂。学生食堂という響きとは縁遠い全面ガラス張りのお洒落な空間。


 静香と食事をしている。俺はカレーが好きだ。静香の得意料理だから。静香は実にその空間にマッチしていて、一見恋人同士に見えるかもしれない。いやしかしただの幼馴染だ。それが実態だ。それ以上でもそれ以下でもない。健人が失踪してから食欲を無くし気味の静香は大好きなカルボナーラを頼む時でもいつも半分残す。俺はカレーには卵とソースをかけて食べるのが好きなのだが、静香がカルボナーラを頼む時には残り物を頂いて、カレーに混ぜて食う。最初は嫌がってた静香も、最近はもったいないからいいよと言ってくれる。まぁ間接キスくらいしても健人も怒らないだろう。子供じゃあるまいに。


「俺もう21だぜ」ついうっかり独り言を言ったら静香は怪訝そうな顔でこちらを見てくる。


 今日はカルボナーラではなくミニバジルピザを食っているので、じゃあ遠慮

なく卵を割り落とし、片隅にあったソースに手を伸ばすと「ちょっと譲」とがっしり右手を掴まれた。そうそう静香の前ではカレーにソースをかけない約束だったんだ。一人で食うときはいいんだが。


 昔、静香が俺の為に珍しく得意のカレーを作ってくれたとき、健人はコールスローサラダを食っていた。ベジタリアンだったんだ。あいつは。肉屋を営んでる

両親が豚や牛を切り分けるのを見て、残酷だ。何故人間は生命を奪わなきゃ生きていけない?同じ命なのに。と子供心にも相当悩んだようである日突然父ちゃん、母ちゃん、俺肉食わねえからと言い出した、らしい。大人になるとそれが高じて魚も食わなくなった。話が横道に逸れた。


 カレーを作ってくれたとき、俺はソースと醤油を間違ってかけてしまい全部

残してしまったのだった。醤油派の気持ちはわからなかった。今でもカレーには

ソース、名前は譲だがこれは譲れない。それで怒った静香が二度と私の前では

カレーにソースはかけないで、絶対。と無理矢理約束させられてしまったのだった。食い物の恨みは怖い。


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