額の封印
私の名はマリアード。シド様を敵対勢力から守るのが勤め。いずれは師団長にしてやろうと言われている。練兵場に来て3ヵ月近く経っているらしい。ゴブリンを千体は切った。最初は苦戦したが初期装備の剣が血を吸うごとに切れ味を増すので少し役不足だが練兵場にも飽きが来ているしもっと強い剣士と戦いたいという欲求が出てきた。
私は確か肉が嫌いだったような記憶があるのだが、思い出そうとすると頭が痛くなるが細切れにしてやったゴブリンの肉片を見ているとシド様が美味だと言っていた事もあって、スイッチをカチッと押すと火が出る道具、「これ名前何だったかしら?」思い出そうとすると額の菱形を形成している4つの印が痛むのだ。いつからついているのだろう? 手近にあったゴブリンの服をその道具で燃やして火をおこし焼いて食べてみた。特別美味しいとも感じなかったが、後に血生臭い味が襲ってきて吐いてしまった。どうやら肉は受け付けないようだ。理由はわからないが。私は練兵場を後にして闘技場に向かった。ちっ、額が痛む……
私はこんなに好戦的な性格だっただろうか。よく思い出せない。僅か3ヵ月でこちらの生活にも少しは慣れた様だ。ここに来る前違う世界に居たのは微かな記憶でぼんやりと感じる事はあるのだが、何せ額が痛んでしょうがないのではっきりしない。今はただ強くなりたい。そう思う。