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マギドPC
「う、ここは一体?」
「目覚めたかい、健人君」
「シド様・・・僕は確か」
「いい、思い出さなくても。ここでは必要ない。」
健人の目の前には銀色に輝くキノコ雲があった。
正確には今まで見た事が無い金属で作られていて中に水の浸ったポッドのような物があった。周りには草木などが生い茂り美しく、辺りを取り囲む鏡は近付くと外が透けて見えるようになっている。外は真っ暗だった。
「健人君こちらの世界では大気中の成分が少し違って直に呼吸が出来なくなる。
あの、マギドPCの中に入って転生するんだ。」
「マギドPC、転生……」
「分からない事だらけだろうけど転生と言っても性別が変わるだけ。IDタグを作るにはマギドPCによって前居た世界の情報、思考回路をちょっと検査して変身しなくてはならないんだ。」
「シド様も女だったのですか?」
「いや、私は違う。まだ知らなくてもいい。」
早く早くと急かすシド様に手を引っ張られて、キノコの形をしたマギドPC
のポッドへの階段を健人は登っていった。