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テイルズオブサイレンス  作者: 敬愛
三人の日常 ~夢見ていた頃~
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後悔の念

この健人と譲の視点1話毎に変わる書き方読みづらいですよね。なんか珍しい事に挑戦してみようと思ってやってるんですけど。

 俺は髪を切ってから利用者さんと心を通わす事に一生懸命になれた。自分が笑顔になれれば相手も笑顔になる。そう信じていた。そんな時まるで喋れないほど衰弱しきった女性がいた。俺は部分入れ歯の交換の介助をした。これは慣れていない者にはまだまだ難しい介助で、俺は危うく歯を誤飲させる所だった。ゆっくり時間をかける事によって何とか交換を終えた。


 俺に芽生えたお年寄りへの愛情は確かに高まっているように思えた。その方に他に何かやって欲しい事がありますか? と聞いた。するとその女性はうな垂れ重い口取りで比較的はっきり言った。「私と代わって」と。「それは出来ませんよ」無意識の内に俺の脳の判断は人の苦しみは他人には本当には理解できないという根拠からその言葉を吐いた。


 老婆は大人しくなった。「そうよね」「そうですよ○○さんなら乗り越えられます」そんな奇麗事を俺は口走っていた。間違っている……。的確な答えが必ずあったはずなんだ。一日考えて昨日はああ言いましたけど本当はこう思っていましたと伝えよう。そう思った。次の日その担当していた利用者さんが亡くなった事を聞いた。俺は号泣した。


 初めてだったのだ。実地研修で利用者さんが亡くなったのは。それも自分の担当しているつい昨日心無い言葉で傷つけてしまったかもしれない、今日謝罪しようと思っていた方が。


 俺はこう言おうと思っていた。「代わる事は出来ませんが○○さんはいつも俺の心の中にいますよ」と。気休めかもしれないけど一日寝ずに考え出した俺なりの答えだった。それをもう伝える事が出来ない。後悔の念が押し寄せてきていた。

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