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テイルズオブサイレンス  作者: 敬愛
三人の日常 ~夢見ていた頃~
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仲間

 俺は落ち込んでいた。自分のチャラチャラ加減に嫌気がさした。利用者さんに軽々しく話し掛けていたら、何かチャラチャラしている学生がいるわねと職員の間で噂になってるそうなのだ。確かに髪は長いしタトゥーも入っている。しかし外見だけの問題ではなかった。


 指にはめている指輪に排泄介助している時に便がついたので、必死こいて洗っていたらそれを職員さんに見咎められそんなに大事なものならつけてくるんじゃないよ。私達なんて結婚指輪も外しているのよと言われた。


 みんな指輪なんてしてない。迂闊だった。実際に介助したのはその時が始めてで心の準備が出来ていなかったと言ったら言い訳になってしまうな。怪我をさせてしまうので当然外すべきだったのだ。職員に試しにやってみてと言われた時点でテストが始まっていて、指輪を外さなかった俺は0点という訳だ。心がこもっていないと評価されたようだ。


 俺は惇と近藤、元気に相談した。「俺バンド辞めようかな。」と言ったら何言ってるんだ。俺たち4人一つだろ。一度の失敗で諦めんなよ。お前なら必ず両立出来ると言われた。


 「だってお前優しいもん」


 俺は不覚にもその言葉で泣いてしまった。俺たちのファンも利用者さんも同じくらい大切なんだ。


 どっちも守りたいとその時思った。とりあえず誠意を見せるため俺は床屋で髪を短く切り揃えた。


 静香には「どうしたの? 失恋でもした?」と笑って言われたけど、彼女の息子を眺めるような視線に俺は今にも抱きしめてやりたい衝動に駆られた。事の始終を話した。「そっか。譲、でも両手に花じゃない。それだけ可能性があるって事だよ。私は少し羨ましいな。ほらネイルだってこの通りまるで手をつけてないし、でもその職員さんも少しおかしいわよ。事前に注意すれば良い事なのにテストみたいな事して譲の事まだそんなに知ってるわけでもないのにね」


 その後譲は譲らしくやればいいよ。人の意見なんて気にしないで持ち前の優

しさがあれば伝わると思うな。と言った。嬉しかった。静香は俺の事を一個の人格として理解してくれてる。仲間達の声援で俺は立ち直る事が出来た。墜落しそうだったが着陸許可が出て俺は空母に無事着艦できた、そんな安堵感に包まれていた。

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