譲の戦いは続く!
バミューダ海域で遭難していた俺達は結局アメリカの軍事演習の船に救出された。
カイベルやプレードは国籍が分からないので静香や健人、俺と同じように日本人と言う扱いになった。
無事着陸できたことは正に奇跡の様な物だった。物凄い衝撃波だったからだ。
百人ほど居たキューア達は人間と姿が違うので、カイベルとプレードが作った簡易船に乗り、今ではアマゾネスの村に住み怪我人や病人の治療に当たっていると言う。
カイベルとプレードはお茶好きが高じて日本で喫茶店を始めたらしい。ただ記憶障害と言語に混乱があるので日本語学校に通っている。
そして健人と静香は……
カーン カーン カーン カーン
「新郎愛田健人。貴方は病める時も健やか成る時も新婦を大切にする事を誓いますか?」
「はい!」健人が答える。
静香も同様に神父様に同意し結婚指輪を受け取った。
いやーまさかこんな事になるとは思って無かったな。健人は敵だったしなー。
まぁ静香は高校生の時から健人の事が好きだったみたいだから問題ないか。
「ねぇ譲、あんたもブーケ取りに行きなさいよ!」
周りの人からドッと笑い声が上がる。おいおい俺はまだ結婚なんてしてる場合じゃ無いよ!
その理由と言うのも……
セイントになった俺には魔物や悪魔の類が見える様になってしまった。あの戦いの記憶を唯一保持している人間としてこちらの世界でも戦わなくてはならない。
魔物が原因の事件や自殺がこの世から無くなるまで俺は戦い続ける。ただ独り。
「今夜はつくづく瘴気が濃いな。忙しくなりそうだ。行くぜ!」
これで良かったのか疑問に思う日もあるが、案外退屈しなくていいかも知れない。
常に死と隣り合わせである事を俺は学んで来たのだから。
~fin~