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みんなの質問コーナー

あすか:「さあ、白熱した議論の後は、少しクールダウンも兼ねて、皆さんの深遠なるお考えを、もう少し詳しく教えていただきましょう!ここからは、視聴者さんから寄せられた疑問・質問に、直接お答えいただく…題して、『みんなの質問コーナー』!」(元気よくタイトルコールし、手元のタブレット端末を操作する)


あすか:「たくさんの質問が届いてますよー!まずは…ペンネーム『永遠の調和を夢見る乙女』さんから、ピタゴラスさんへのご質問です!」


あすか:「『ピタゴラスさんの言う「魂の浄化」、とても興味深いです!具体的には、どんなことをすれば魂は浄化されるのでしょうか?現代でいう断食とか、瞑想みたいな感じですか?』とのことですが、ピタゴラスさん、いかがでしょう?」


ピタゴラス:「(静かに頷く)ふむ。『浄化』への関心、良い心がけだ。我々の教団では、まず、食を厳しく律する。特に豆類は、魂の平静を乱し、神聖な眠りを妨げるゆえ、決して口にしてはならぬ。」


あすか:「へぇー!豆がダメなんですか!意外ですね…!」


ピタゴラス:「肉食も避け、清浄な水と野菜、果物を中心とする。次に、沈黙の行。無用な言葉は魂を穢すゆえ、定められた期間、語ることを禁じることもある。そして最も重要なのが、精神の鍛錬だ。数学の問題を解き、その論理の美しさに触れること。竪琴を奏で、宇宙の根源たる数の『ハルモニア』を体感すること。これらを通じて、肉体の欲や感情といった穢れを祓い、魂を磨き上げ、より高次の存在、すなわち宇宙の調和そのものへと近づいていくのだ。」


あすか:「なるほど…!食事制限、沈黙、そして数学と音楽による精神鍛錬…ストイックだけど、なんだか神聖な感じがしますね!ありがとうございました!『乙女』さんも参考になったでしょうか?」


あすか:「続きまして…これは、きっと多くの方が気になっているはず!ペンネーム『絶対知りたい!』さんから、ヘーゲル先生へのご質問です!」


あすか:「『ヘーゲル先生の「絶対精神」、すごそうだけど難しくて…もう少し、わたくしのような者にも分かるように教えていただけませんか?』とのことです!先生、お願いします!」


ヘーゲル:(少し困ったような、しかし説明したくて仕方ないような表情で)「ウム…絶対精神、な。これは、いわば、世界全体を貫く『理性』であり、自己を意識し、実現しようとする『主体』なのだよ。」


あすか:「世界全体の理性であり主体…?うーん、先生、もう少し、こう、身近な感じで…」


ヘーゲル:「(少し考え)…そうだな。例えば、諸君、赤ん坊が言葉を覚え、世界を認識し、『自分』というものを理解していく過程を考えてみたまえ。あれも、いわば、個人の精神が発展していく小さなドラマだろう?絶対精神とは、いわば、その『世界版』なのだ。人類全体が、様々な対立や矛盾(戦争や革命など)を経験しながらも、次第により自由で理性的な状態(法の支配や学問の発展など)へと自己を『高めていく』。その壮大な自己実現のプロセス、その全体こそが絶対精神なのだ。君たちが今、ここで哲学的な議論をしていること自体も、その現れの一つなのだよ。」


あすか:「な、なるほど…!赤ちゃんが成長するように、世界全体も理性的に成長していく、そのエネルギーみたいなものが絶対精神…?少し分かったような気がします!ありがとうございます、先生!」


曹操:「ふん。赤子の成長ねぇ…現実の国家運営は、そんな生易しいものではないがな。」(小さく呟く)


あすか:「さあ、どんどん行きましょう!次は、ペンネーム『結果が気になる』さんから、曹操閣下へのご質問!」


あすか:「『「結果が全て」と仰っていましたが、目標に至るまでの努力や工夫、つまり「過程」は、本当に全く意味がないのでしょうか?結果が悪ければ、頑張った時間も無駄だった、ということですか?』これは、気になりますね…!」


曹操:(腕を組み、少し考える素振りを見せる)「…過程が『全く』無意味だとは言わん。策を練り、兵を鍛え、人心を掴む努力…そうした積み重ねがなければ、そもそも結果など出せるはずもなかろう。」


あすか:「おお、少し安心しました!」


曹操:「だがな、『気になる』君よ。戦に負けてしまえば、どれだけ見事な軍略を練っていようが、どれだけ兵が血を流して奮闘しようが、全ては水泡に帰すのだ。敗軍の将は何も語れん。結果を出せなかった過程は、所詮、負け犬の言い訳か、あるいは次の勝利のための反省材料にしかならん。重要なのは、過程に自己満足することなく、あくまで『結果』を出すために、最善の努力を尽くすことだ。結果の出ない努力など、無駄とは言わんが、少なくとも評価には値せん。」


あすか:「なるほど…!過程も大事だけど、それはあくまで結果を出すためのもの。結果が出なければ、過程の価値も認められない、と。厳しいですが、乱世を生き抜いた方の言葉は重いですね…!ありがとうございました!」


あすか:「さあ、次は、キルケゴールさんへの質問です!ペンネーム『崖っぷち』さんから!」


あすか:「『「信仰への跳躍」という言葉に、心を掴まれました。でも、それって、考えるのをやめて、えいや!と信じちゃう、いわゆる「思考停止」とは違うんですか?理性を捨てるということなのでしょうか?』とのことです!」


キルケゴール:(目を輝かせ、身を乗り出すように)「素晴らしい質問だ!全く違う、断じて違うとも!『信仰への跳躍』は、思考停止などという安易なものではない!むしろ、理性の限界を『知り尽くした』上で、それでもなお、その先にあるものを信じようとする、最も真剣で、最も主体的な『決断』なのだ!」


あすか:「理性の限界を知った上での、決断…?」


キルケゴール:「そうだ!我々は理性によって多くを知ることができる。だが、人生における最も重要な問い…例えば、無限の神を信じるべきか、死すべき運命にあるこの私が永遠の価値を持ちうるのか…そうした問いに対して、理性は最終的な答えを与えてはくれないのだ!論理的に証明できないからといって、諦めるのか?否!そこにこそ、個人の『選択』が問われる!不安と絶望の暗闇の中で、それでもなお、非合理に見えるかもしれない『可能性』に、全身全霊で賭ける!それが『跳躍』だ!理性を捨てるのではない。理性の限界を超えて、意志と情熱で飛ぶのだ!」(熱く語る)


あすか:「うわー…!なんだか、すごい覚悟を感じますね…!思考停止どころか、究極の思考と決断の結果なんですね!ありがとうございます、『崖っぷち』さんも、これで安心して飛べる…かもしれませんね!」


あすか:「さて、最後は、皆さん全員にお聞きしたい質問が来ています!ペンネーム『理性って何だろう』さんからです!」


あすか:「『皆さん、議論の中で「理性」という言葉を使われていましたが、少しずつ意味合いが違うように感じました。特に、ヘーゲル先生の言う普遍的な「理性」と、曹操閣下が重視する「現実的な判断力」とは、どう違うのでしょうか?ピタゴラスさんやキルケゴールさんにとっての「理性」の位置づけも教えてください!』とのことです!これは、核心を突く質問ですね…!まずはヘーゲル先生からお願いします!」


ヘーゲル:「ウム。私の言う『理性(Vernunft)』とは、単なる個人の思考能力(Verstand)を超えた、普遍的で、自己発展していく法則性そのものだ。世界と歴史を貫くロゴスと言ってもよい。」


曹操:「俺の言うのは、そんな高尚なものではないな。目の前の状況を正確に把握し、損得を計算し、最も有利な手を選ぶ能力…いわば『現実的な知恵』だ。普遍性など知らん。役に立つか立たないか、それだけだ。」


ピタゴラス:「真の『理性(Logos)』とは、本来、宇宙の根源たる数の秩序と調和を認識する能力のことだ。感情や感覚に惑わされず、純粋な知性によって永遠の真理を捉える力だな。」


キルケゴール:「理性はもちろん重要です。自己を省み、状況を分析するためには不可欠でしょう。しかし!理性だけでは人間は生きられない!理性が示す限界の先へ、情熱と意志をもって『跳躍』すること、そこにこそ人間存在の本質があると私は考えます。理性は、いわば、その跳躍台のようなものかもしれません。」


あすか:「なるほど…!一言で『理性』と言っても、ヘーゲル先生は『世界法則』、曹操閣下は『現実知』、ピタゴラスさんは『宇宙認識力』、キルケゴールさんは『跳躍台(限界あり)』…皆さん、定義が全然違いましたね!これは面白い!」


あすか:「いやー、質問コーナー、いかがでしたでしょうか?皆さんのおかげで、難しい言葉や考え方が、少し身近になった気がします!ご回答、本当にありがとうございました!」(対談者たちに感謝の意を示す)


あすか:「さて、名残惜しいですが、そろそろこの歴史的な対談も、お開きの時間が近づいてまいりました…。」(少し寂しそうに、しかし笑顔で)

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