表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

耽美奇譚

魔と見合う

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

生々しいお話。恋愛じゃないけどR15です。

胡蝶に見つかった話。一方的に蹂躙される話。

苦手な方はご注意下さい。

目を背け続けてきたつもりなのだ。今の自分には不要だと。要らないものだと。何重にも鎖で縛り上げて、しっかりと水に沈む様に細工をしてから、深海に投げ捨てたものなのだ。

其れでもなお、時折浮上する。私の目の前を不気味な深海魚の様に横切る。そして其れは中々消えてはくれないものだとも知っている。其れでも尚、良い子の振りして、何でもない顔で過ごしていた。あの夢魔に見つかる前までは。

私が駅のホームのベンチに座っていると、声を掛けられた。

「お嬢さん、私と一緒に踊りましょう?」

声を掛けてきたのは綺麗な顔をした人だった。鮮やかな黒髪と黒瞳に、抜ける様な白い素肌。手足は長く、モデルの様だった。そしてその絶世とも取れるべき顔で、静かな微笑を浮かべるのだ。

「うんと良くしてあげるよ? 何もかも忘れ去ってしまう程」


其れから後はただ唇を吸われ、口腔を引っ掻き回された。逃げ惑う舌を翻弄する様に彼の舌先がチロチロと弄ぶ。上機嫌で歯と歯茎の間をなぞられ、油断して舌を伸ばしたのを見越して蛇の様に絡み付く。苦しさに目を開けて様子を伺うと、彼は余裕綽々とした目で此方を見据えていた。

「あっ、……あ……ああ……」

本能的に食われると思った。猫が鼠を弄んだ後に捕食する様に、散々好き勝手された後に皮膚を食い千切られると思った。其れでもその恐怖心までも、悦を刺激する呼び水にしかならない。

恐怖心よりも悦楽の方が勝っている。痛ぶられる快楽の方が勝っている。そうしてその技量がこの相手にはあった。

漸く満足したのか、彼の顔が離れていく。口を塞ぎ、口腔を荒らし回っても、髪の毛一つも乱れていない。ただ互いを継ぐ銀の糸だけが、惨劇を語っていた。

「お嬢さん、被虐趣味でしょう? 人に虐められるの大好きでしょう? 自分で自分を虐めるの大好きでしょう? そういう可愛い子は悪い輩の格好の餌食になるから、隙を見せちゃいけないんだよ」

そう顎の下を指先で引っ掻きながら、耳元で甘ったるく囁くのだ。逃げられないと分かっていて、逃げる気力さえないと分かっていて。

彼の次の標的は耳だった。湿気った吐息を流し込み、耳の輪郭をチロチロと舐める。溝に当たる部分に丁寧に舌先を当てて、丁寧になぞって行く。時折、唾液を纏った舌がぐりっと孔の中に入り込むと、そのままくるりと円を描き、引き摺り出された。

そうされると頭の中が真っ白になる。そうして急激に下がった体温と共に感じるのは、蜜壷を逆さにした様な感覚と、地に足が着いたような現実感だった。

私は夢から覚めたように周りを見回した。あの絶世の美姫とも言える男性はそこにはおらず、あるのはただのベンチだけ。

駅の案内だけが静かに響いていた。

胡蝶が行うのって、一方的な蹂躙なんですよ。

別に扱いはぞんざいって訳ではなく、寧ろ丁寧です。

でも相手のこと思って、尊厳を守って、『ここいらでやめようね』とは絶対言わない。

相手の心がボッキリ行くまで、絶対手放さない。

嬉々として『可愛いねぇ』言いながら、心を折りに行く。

だから相手の趣味が加虐、被虐に問わないし、胡蝶の前では全て『被虐』です。


久しぶりに書いたなぁ。こんなの。

こういう描写に依存し続けると、駄目になるから距離を置いていたのに、魔が差しました。

それとも向こうが見つけに来たのか。

でも我慢した分だけ、悦楽って大きいんですよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ