5.嫌な予感
「悪い、秋人俺バイトだから先帰るわまた明日な」
「また明日な」
奏がバイトなので今日は1人で帰ることにした。
「ただいま」
「おかえりー」
部屋に入ろうとドアを開けると優は、眼鏡をかけたまま教科書を広げ、勉強をしていた。
「この時間に勉強なんて珍しいな」
「うん、ほらテストも近いし、やっとこうかなって」
彼女はドヤ顔でわざとらしく眼鏡のブリッジを指でクイクイッと動かした。
俺はそれをスルーし、話を続けた。
「やっぱり学年1位は大変だな」
「ほんとそうなんだよ?って秋人も学年上位じゃん!」
「いや、俺は優と違って不安定だから」
優は、今までで一度も学年1位から落ちていないが、俺は前回は上位だったものの普段は中の下位の成績だ。
「えー秋人はもっと頑張れば私だって抜かせると思うのになー。あ、でも、もちろん私も抜かされないようにもっと努力するけどね。」
「俺はいいんだよこのままで」
上位に入ると、張り出されるため嫌でも目立ってしまうため、できるだけ避けるようにしている。
「あ…」
「ん?どうしたの秋人」
「最近買い出ししてないせいか食材が足らなそうでな」
俺は優が勉強しているので邪魔しないように1人でスーパー行こうと準備した。
「私も行く!」
「勉強中だろ?俺が行ってくるよ」
「勉強は一旦休憩!だから付いてくよ」
「まあ…優がいいならいいけど…」
もしかして何かと理由つけてお菓子とか俺に買わせようとしてるんじゃ...
スーパーに着くと、目的の食材コーナーに向かった。
ここは、学校から少し離れたところだが、駅が近いせいか買い物客が思っていたより結構いた。
「秋人何買うの?」
「今日はカレーを作るから…ルーと人参とじゃがいもとかかな」
「えー人参もー?要らなくない……?」
彼女は、俺に懇願するような目でも訴えかけてきた。
「いや、優は毎回人参だけ残すから入れるぞ」
優は人参を入れると最後に残している。さらに、時々バレないように、俺の皿に移し替えている時もある。もちろんバレてはいるが…。
「秋人の意地悪」
優は頬を大きく膨らませながら言った。
買い物を終え、優とレジに向かっていると…
「秋人と………遠藤さん?」
呼ばれた方向を見てみると奏が驚いた表情で俺たちを見ていた。
これから少しずつこの作品を上げていくと思うのでよろしくお願いいたします。