02.少しめんどくさい幼なじみと買物
次の日の朝、俺はカーテンの閉じ目から差し込む朝日で起きた。
今日は、珍しく優が部屋に来ていなかったのを俺は疑問に感じたが、優との約束の時間まであまり時間がなかったので、準備を急いだ。
準備を終え、家から出ると既に外で優は待っていた。
俺から見ても優はソワソワしているのが分かった。すると、彼女も俺に気づいたのかすぐさまこちらに寄ってきた。
「おはよう秋人」
「おはよう ごめん 待った?」
俺は彼女を待たせてしまったと思い謝った。
「大丈夫だよ 私もさっき来たとこだから」
優は少し緊張しているのかいつもよ緊張の籠ったような声で言った。
「今日の服似合ってるね」
今日の優の服は、優の大人っぽさをより際立たせる服装で普段部屋着と制服しか見ていない俺はすごく似合っているなと思った。
「えっ…!ありがとう」
優は頬を赤らめながら言った。
「秋人に急に褒められたから驚いちゃった。秋人ってそういうこと言うタイプじゃないと思ってたから」
「俺の評価低すぎないか?」
普段優以外の女性と話していないからって舐めないで欲しいものだ。
俺だって、女性への気遣いだってできる。
「だって秋人ってぶっきらぼうで鈍感じゃん?」
優は笑いながら俺の顔を覗き込んだ。
「ぶっきらぼうぼうはまだしも鈍感は関係ないだろ」
どこをどう見て俺が鈍感かんだ?
俺は思わずツッコミを入れた。
「えへへ ...バレちゃった」
話しているとあっという間にショッピングモールに着いた。
今日は休日だからか親子連れが多く賑わっていた。
俺と優が一緒にいる所をクラスメイトなどに見られると面倒なので学校から少し離れたショッピングモールに来た。
「 それで何を買いにいくんだ?」
俺はまだ何を買いに行くのかまだ聞いてなかったので優に尋ねた。
「普段着る洋服を秋人に選んで欲しいんだ」
そう自信なさげに優は言ったが今日の服装見る限り、俺と優のファッションセンスの差は雲泥の差だ。
「そういうのは優の方が詳しいだろ?ほんとに俺でもいいのか?」
俺は女性物の服はあまりよく分からないし、女性ファッションなどは余計に疎い。
「うん。秋人、見て思った事をそのまま言ってね」
「ああ、分かった」
「じゃあ行こうか」
ショッピングモール内を歩いていると周りの視線が優の方をチラチラ見ているのが分かった。家族連れが多いが、土曜日ということもあり、学生も多かったことで、彼女の容姿が裏目に出た。
「あの子めっちゃ可愛くね?」
「それな! 俺話しかけようかな」
「やめとけよ お前なんて相手にされねぇよ」
「え!めっちゃあの子可愛い!」
「ねー!モデルの子とかかな?」
周りからの注目を優が集めていたからである。
俺は、優が気にしていないか横を見たが、彼女はそんなことを気にもしていないのか、嬉しそうな表情で歩いていた。
そして、優が選んだ服屋に着くと、彼女はある質問してきた。
「秋人は大人っぽい服と可愛い系の服どっちが好き?」
俺はこの質問にどう答えようか少し迷った。
なぜなら、優には大人っぽいのも似合うし、可愛い服も似合うと思ったからだ。
...世の男性がいちばん困る、女性にファッションを尋ねられた時の返事の苦労を今、身に染みて感じた。
「どっちも似合うと思うぞ?」
「こういう時女の子は選んでほしいんだよ?」
女心難しすぎる...
俺は優の機嫌を治すために目に止まった服を取って見せた。
「こういう服なんてどう?」
目に付いた優に似合いそうな可愛い系の服を取って言った。
「秋人はそういうかわいい服私に似合うと思う?…」
優は少し自信なさげに言った。
「うん 似合うと思うよ。優の良さをより引き出せるし、すごく似合うと思うよ」
実際、優は普段可愛い系の服を結構着ているので似合うと思った。
「ふーん…秋人こういう感じの服着てる女の子が好きなんだー」
「そんなこと言ってたら帰るぞー」
「冗談だって。じゃあとりあえずお会計してくるね!」
緊張から解けたのか優は嬉しそうに笑いながら言った。
「秋人、今日は付き合ってくれてありがとうめっちゃ楽しかった!」
「どういたしまして こちらこそ楽しかったよ」
あまり買物は好んでしていなかったが、優との買物は案外楽しくて時間の進みが早かったように感じた。