19.優の変化
結構遅れましたすみません
「あきひと… あきひと… 秋人起きて…起きないと……襲っちゃうよ?」
「おはよう、あきひと」
「おはよう...」
「て、てかっ!近くないか!」
起きて目を開けると優が、すこし起き上がったら当たってしまう程の距離まで顔を近づけていたので俺は優を引き離した。
「そう?普通だと思うけど」
昨日、正式に優と付き合うことになったけどどうしてなのか優の性格が変わった感じがする。
前は、甘えたがりではあるんだけどある程度自制されていた。
でも、今は全く遠慮がなくて余裕がある感じだ。
「優...キャラ変わってないか?」
「そうだよ。これからは秋人にもっと好きなってもらうために色々試していくからね。今までは振り向いてもらうために秋人の『理想の妹』を参考にしていたけど付き合ったからには本気でいくから」
優は、真剣な顔付きで秋人を見る。
その瞳は、まるで『覚悟しててよね』と言っているようだった。
「そうだったのか..…」
「そうじゃなくてっ!」
「うわっ」
優はそう言うと、俺の方に体重をかけてベッドに押し倒した。
この体勢はまずい。
さっきよりも顔が近くなっているのに加えて俺が優に、ベッドに押し倒されているこの状況自体が非常にまずい。
「...これからは遠慮しないでいくから覚悟しててよね」
俺が、焦っていると優は余裕のある笑みを浮かべながら言う。
付き合ってからの優のすること全てほんと心臓に悪い…
「...あぁ」
「じゃあ、学校に行こっか」
そして優は、何事も無かったのように朝の身支度へ向かった。
―――
『………っ!えっえっ!私大胆すぎじゃない!?』
優は、自分の大胆な行動を勢いのまましてしまったことを少し後悔していた。
しかし、秋人には勢いでやってしまったことがバレると恥ずかしいので隠すように平然を装った。
―――
──優は、嬉しそうに俺の手を掴みながら学校へ向かおうとしたが、さすがにバレると色々とややこしい事になるはずだ。
しかし、優の彼氏になる覚悟がない訳では無い。
優に似合う男にならないと、バレた時優にまで迷惑がかかってしまう可能性があるからだ。
なので、優に嫌そうな顔はされたが少し間を開けて家を出ることにした。
そのあと、機嫌を直してもらうために優に正直なことを言うと顔を真っ赤に染めて小さな声で『待ってる』と言ってくれたので多分機嫌は直してくれたと思う。
───学校に着くと奏が話しかけてきた。
「秋人、もしかして...遠藤さんと付き合えたのか?」
「...あぁ」
「ついにか、おめでとう」
「ありがとう。で、どうしてわかったんだ?」
「まぁ...遠藤さんを見れば何となく分かるさ」
そう言われたので優の方を見てみると、何故かいつもより席の周りにいる人が多いように感じた。
「遠藤さんなんか、雰囲気が変わったっていうか前と違って人間味が増してる気がするんだよ」
人間味って優のことをなんだと思っていたんだ...
でも確かに、よく見てみると表情などはそんな変わりないがいつもの作った表面上の笑顔じゃなくて今は優本来の弾けるような笑顔になっていた。
「これは...もっと遠藤さん人気になるな」
「ぅ...」
「頑張れよ彼氏さん」
「...言われなくてもそのつもりだ」
隣で支えると俺は優に誓ったからな。
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