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18.過去との決別そして二人の変化

「前田は、遠藤さんのせいで虐められてたんだよ?」



「……え?どういう...こと...?」

優は、頭が混乱しているようでゆっくり俺の方を見てきた。

「おい...!」


俺は、彼女の言葉を遮ろうとした。

優が真実を知ってしまったら絶対に自分を責めてしまうに決まっている。

「ホントでしょ。だって、遠藤さんがクラスの女子から虐められてたことに口出したせいで標的があんたに変わったんだから」

それを聞いた瞬間、優の表情が暗くなった。


「え...本当なの?秋人」


「……」

俺が返事をしなくても、優は俺の表情を見て理解したのかさらに表情を暗くして黙り込んだ。


「私の...私のせいで……秋人まで虐められてたなんて...」

数秒間黙ったあと何か追い詰めた顔で囁いた。


「ねぇ...なんで言ってくれなかったの」

優は、俺の服をいつもより強く引っ張り少し泣きそうな顔で言った。


「傷つけたくなかった...」


「来て……!」

優は、少し涙目で怒っているような顔で俺の腕を掴んだ。


「ちょっと!どこに行くつもり?」

「ちょっ!遠藤さん!?」

優が、俺を引っ張って行くと同時に二人の焦りと驚きが混じった声が後ろから聞こえたが、優の引っ張る強さが強く後ろをむくことが出来なかった。

「貴方達には関係ないことです。なので、私たちにはもう関わらないでください。秋人までいじめてたこと絶対に許しませんから」

優は、いつもと声色は同じだが何故かその言葉には威圧感を感じる言葉だった。

さらに、後ろから何か言っているようだったが優はそれを無視して引っ張ってきたので俺も気にしないことにした。


「座って」


「...はい」

優に、引っ張られて連れてこられたのは人気のない公園のベンチだった。


「もう一度聞くけどなんで私のために犠牲になったりしたの?」


「……あの時の、優を見てられなかったんだ」

あの頃の優は今にでも壊れてしまいそうな程精神を病みかけていた。

だから俺はもう二度とあの姿を見たくない。


「でも……!私のために自分を犠牲になんかしないで!」


「それは、俺の勝手にやったことだから優のせいじゃないから...」

俺は、返す言葉が、見つからずそのしか口から出てこなかった。



「違うよ...!あの時、唯一私を助けてくれたのが秋人だからトラウマを克服できた。でも、私は自分のせいで秋人まで虐められてたなんて、それじゃただ秋人のことを盾にして逃げていただけみたいじゃない……!」

「……」


これ以上何かを口にしてしまうと優を気づつけてしまいそうな気がしたのでその優の言葉に対して何も言えなかった。


「私、秋人の妹じゃないんだよ……?」

その言葉は俺が無意識に思ってしまっていたものを否定しているようだった。


俺は、心の中で無意識に優のことを妹のように感じてしまっていたんだな...


「そうだよな...ごめん、俺は、優との関係を幼なじみという言葉を盾にしておきながら無意識に優のことを妹だと思っていたんだな...」


「うん...」


「これからは、優を幼なじみとしてしっかり見るから。優自身と俺の事を…許してくれないか?」


「やだ...」


「え...」

優が、否定するとは全く予想していなかったので俺は、固まってしまった。



「私...秋人には幼なじみとして見られたくない」


「え...」

やっぱり怒ってるのか。

でも、たしかにこんな俺が幼なじみなんて嫌だよな…

優の気持ちを考えずに行動したんだからな。


俺が聞き返すと優は立ち上がって笑顔で微笑んだ。


「──私は秋人のことが好きです。大好きです。だから私を、秋人のことが好きな一人の女の子として見て欲しい...です」


「……え?」

優が、俺のことを好き?

もちろん、優が俺にだけ皆には見せない一面を見せてくれていたのは分かっていたが、それは幼なじみだからと思っていた。


「ちょっと待って!まだ言ってから心が落ち着かないから明日!明日に返事を聞かせて?」

俺が返答しようとすると優は焦ったように、顔を真っ赤にして言ってきた。





優が俺のことを好き...?


優との思い出は……一緒に家で過ごしたり、星を見たり、どれも忘れたくなくて色褪せて欲しくない大切なもの、俺も優と一緒にいると心が落ち着くし、たまに優が甘えてきたりする時も幼なじみだからと一線を引こうとしたけどなんだかんだ嫌という訳では無かった。

……うん、そうだったんだ。俺は優のことが好きなんだ。優が俺に抱く気持ちを幼なじみと妹という一線を引いて隠していた。

もう隠さない。この気持ちを伝えるんだ俺の好きな人()に。



「……秋人おはよ」


「おはよう…」

少しの沈黙があった後、俺が先にきりだした。


「その...返事のことだけど」

「……うん」

優は、期待と緊張がこもった眼差しを俺に向けた。


「俺は、優の笑顔に毎回救われていたんだ。辛い時、楽しい時、どんな時も優の笑顔で支えられていたんだ。」


息を吸い、伝えたいことを頭でまとめる。

そして、優の緊張感が籠った眼差しに答えるように目を合わせた。

「───俺は、優のことが好きだ。優を隣で支えたい。優の笑顔を一生隣で見ていたい。だから...俺を優の隣にいさせてくれ」



「もうそれプロポーズじゃない?」

優は、にやけながら俺をいじるように言ってきた。

「うるさい」

否定するつもりは無い。

一生という言葉を使った責任は必ずとるつもりだ。

「…ずっと待ってた...!ふふ...その言葉の責任ちゃんと取ってね。」

優は、涙目のまま思いっきり抱きしめてきた。


「私も好き...秋人のことが大好きだよ...これかもずっと私の隣にいて」


「当然だ」







一旦止めます

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