調査
「クローディア。どこに向かっているのですか?」
王宮を出た辺りで肩に乗って来たアルフェが、問いかける。
「ん?まずは、ちょっと視察」
パチンと指を鳴らした。
瞬間、景色がガラリと変わる。
「ここは……どこでしょうか?」
先ほどまでは街のど真ん中にいたけれども、今は民家一つもない。
周りは見事に木ばかりだ。
そして下を見れば、舗装まではされていないが、踏み固め整えられた街道。
「ここは王都と東に隣接する領地の境だよ」
一応王都に繋がる道ということで、人通りはそこそこあるようだ。
今は魔法で人を避けているが。
少し歩けば、目の前には小川が現れる。
それを越えるように、橋があった。
右を見れば、遠目にもう一つ、同じような橋があった。
まずは、目の前の橋を渡る。
「……これ、壊れませんか?」
アルフェが私の肩から飛び降りた途端、そう言って顔を顰めた。
「何か引っ掛かるかい?」
「上手く説明できないんですが、乗った瞬間に不安定さを感じました。それに、嫌な予感がヒシヒシと感じます……早く渡り切るか、戻りましょう」
「流石、使い魔……ってところなのかな。野生の勘ってやつ?」
渡り切ったところで、軽口を叩く。
「使い魔なので、野生ではないですけど」
アルフェも橋から離れたことで、雑談に付き合うことができるぐらいには回復したらしい。
「確かに。ま、君の勘働きが良いということで」
「へぇ……つまり貴女の目的は、この橋ですか」
「そういうこと。どんな出来栄えなのかな、って見に来たんだけど。案外、つまらないね。てっきり、もう少し頑張っていると思ってたのに」
そう言いつつ、パチンと指を鳴らす。
人が立てる程度に、地面を揺らした。
それなのに、橋は異様に揺れる。
暫く地面を揺らし続ければ、橋に亀裂が入った。
もう一度、パチンと指を鳴らす。
遠目で見えた、もう一つの橋だ。
同じように、揺らす。
橋は揺れるけれども、先ほどではない。
結局、橋は健在だった。
「ま、こんなもんか」
「確認は終了ですか?」
「そうだね。存外、面白くなさそうだ」
「そうですか…….それは、ご愁傷様です」
「それ、誰に対しての言葉?」
「さあ?」
そう言って、アルフェは楽しそうに笑いつつ、私の肩に再び乗った。
「それで、次はどこへ?」
そんな問いに笑みを浮かべつつ、指を鳴らした。




