飲み水
「おい、井戸を見つけたぞ!」
ボロボロの服を着た少年は声をあげた。
「瓦礫の下に埋まっていたから誰にも見つからなかったんだ。もしかすると、まだ水が残っているかもしれない。」
「水があったところで、どうせ飲めないよ。期待するだけ無駄だね。やめとこう。」
ボロボロの服を着た友達は近くで傍観していた。
「それに、体を動かして汗をかけば、それだけで水分が出ていっちゃうから・・・ほら、早く。先を急ごう。」
「いや、手ごたえはあるんだよ。だから、試してみる価値はあると思うんだ。」
泥だらけの縄を、少年はゆっくりと手繰り寄せる。
縄の先には大きな桶が括りつけられていた。
地上に引き上げ、中を覗き込んだ瞬間、二人は一斉に声をあげた。・・・その中には泥で濁った水と、ドジョウが二匹入っていたのだ。
「やった!!!生きた魚が入っている!この水は安全だ!!!」
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