いきなりフラグ…だと?
4月は出逢いの季節
翌朝。
美優はいつもの女友達達が迎えに来て一緒に登校するので、俺は一年間は一人で登校することになる
「さて、行くか」
玄関から出て、6年間歩いた道とは違うルートに入っていく
まあ中学の場所はきちんと把握しているのでアホの子枠のヒロインみたく迷ったりはしない
そしてしばらく歩いていると、不穏な光景が視界の隅に映った
「ああん?女が調子乗んなよコラァ!ヤッちまうぞコラァ?」
…昭和かよ
他校の制服らしきものを着た金髪にピアスのドヤンキーが俺と同じ中学の制服を着て、引きずりそうなスケバンスカートを履き、ワインレッドの綺麗なロングの髪をシュシュでポニーテールにしたボンキュッボンの長身わがままボディの美少女ヤンキーに巻き舌全開で絡んでいる
…めっちゃ可愛いなあの子。
ただ、俺が颯爽と助けても「余計なことすんな」て怒られそうなんだよな
一応、刃物が出てきたり仲間が増えたりといった万が一を考えてゆっくりと現場に近付いてからすこし距離を取って止まっておく
ヤンキーお姉さんがチラリと俺を一瞥して「ほほう」みたいに感心している…やはり向こうも判ったらしい
うん、正解だったらしい
まずヤンキーお姉さんは自分より頭ひとつデカい阿保ヤンキーにまったくビビっていなかったし、なにより体幹がしっかりしている。何か武術系をやってる人の佇まいだということがよく分かる。慌てて助けてもプライドを乏しめることになるだけだろう
「…性格もイケメンかよ
おい、いい加減そこを退け。」
「ああんぶべらっ?!」
案の定、阿保ヤンキーは回し蹴り一発で意識を刈り取られて地面に転がった。
脚が鞭のようだったな…フォームからして総合格闘技かそこらへんか?
「真島アリサだ…紳士だなおまえ。あの場で止まってたのは万が一のためだろ?」
「ええ、刃物とか出てきたら動くつもりでしたよ。神谷翔太です。新入生です」
「あ、オレもだよ。よろしくな!あとタメ口でいいから」
「お、おう!」
「ふふふ、モテそうなのに慣れてないのか?」
「あー、あんまり免疫ないかも…」
自分で言ってて凹む…前世も色気無かったし
何はともあれ、いきなり友人が出来た!幸先いいぞ中学生ライフ!
硬派ヤンキーっ娘っていいよね!ね!!
※昭和初期だと違和感があるとご指摘があったので単なる昭和に訂正。