第0.5話 邪神様
自分の作品にしては文が長くなった(・・;)
まだ続きそうなので2つに分けます
「・・・扉?てかここどこ?」
青年は困惑していた。自分はさっきまでコレクションの手入れをしていて、突然の地震で倒れてきた棚に頭を打ち付けたところまで覚えている。
だが気が付いたら真っ白い空間にいて、あるのは目の前の扉だ。見た目は木製の茶色い扉だが、壁にくっついている訳ではなく、空中に浮いているような感じだ。裏に回ってみると真っ黒で、黒い部分には触らない方がいい気がする。
「さて、このワケのわからん空間にいても仕方ないし、扉があるってことは入ればいいのかな?とりあえずノックしてみた方がいいのかな?」
青年が一応の礼儀としてノックするとすぐに「どうぞ~」と少年らしき声が返ってきた。
その声に従って扉を開けると、青年は再び困惑する。中はどこかの家の居間のようで、真ん中にコタツがあり、そこに声の主らしき黒目黒髪のやる気のなさそうな目をした少年がいた。真っ白な空間からここに繋がるのも理屈がわからないが、部屋の中も少年の趣味なのか、少しおかしい。
まず少年の格好だ。上半身しか見えないが、『毒キノコ』とかかれている長袖のシャツに、紫色のキノコ柄のどてらを着ている。部屋にもあらゆるところにキノコのグッズがあり、床をキノコにムキムキの脚が生えている何かが走っている。
床を走る異様なキノコに目を奪われていると、少年からとりあえずコタツに入るよう促され、走るキノコを意識から追い出して従う。
「あははっ、色々驚いてるだろうけど自己紹介から先にするね。名前はいろんな呼び方をされるけど、とりあえず『邪神』っていう職業?をしてるから邪神って呼んでね。」
「混乱するだろうけど、先に用件だけ言うから質問は後にしてね、箱根 集くん?君は想像通り地震で倒れてきた棚に頭を打って死んだよ。本来なら君は俺に関わらず地球の輪廻の輪に加わるだけだったけど、現世での収集癖とかのせいで君の魂とか面白いことになってるんだよね。で、地球に転生させるのが難しいから僕の関わっている別の世界に転生させようってなったの。ここまでで何か質問ある?」
「この際名前知ってるのとかあなたが邪神――様?とかいうのは置いときましょう。死んでるのも何となく予想してたのでいいです。まず、何で収集癖で面白いこと?になるんですか?次に転生させてもらえるのは嬉しいですが、どんな世界で、僕の記憶は引き継がれるのか、転生するのは人間なのか、あとは何故邪神であるあなたが僕を担当するのか、ですかね」
「『面白いこと』は僕が担当する理由でもあるからあとで説明するね。君が転生するのは所謂『剣と魔法の世界』ってやつで人間が戦争もしてるし勇者に魔王がいて魔物が蔓延る世界だよ。で、君は記憶は引き継ぐけど人間にはなれないんだ。」
「『邪神』っていうのは魔物や魔族――地球でいう妖怪とか、魂が負の方に傾いているやつが主な担当なんだよ。で、ここで君の収集癖が問題でね、君は呪われた物を好んで集めてたでしょ?君は気づいてなかったけど、結構呪われてたんだよ?でも君は元々が呪いに耐性があって、抵抗に成功しつつ呪い耐性のレベルもカンストまでしてたんだよ(笑)。で、更に笑えることに呪ってくる物ですら大切に手入れしてたのを見てた悪霊たちが君のことを気に入って守護霊の真似事までし始めたのww」
「その結果、呪いに負けない強い魂だけど呪いがこびりついて、さらに大量の悪霊たちが守護するなんていう珍事が起こったんだよ。しかも悪霊たち、よっぽど君に執着してるのか魂から離れなくてね、今は弱って見えないけど憑いてるまんまなんだよ。そんな魂を地球に戻せないからコッチで引き取ることになったんだよ」
・・・驚いた。特に呪いとか守護霊の真似事に驚いた。少しポルターガイストっぽいのとかあったけど、実害なかったのが自分でレジストしてたからとか知らなかった。あと昔クラスの不良たちに絡まれた時、不良がその後全員事故とかで休んだのとか悪霊の仕業だったのだろうか?だとしたら助かったけどずいぶんと過激な守護(物理)だな
「事情はとりあえず理解しました。転生の理由も納得したのですが、結局僕は何に転生するんですか?」
「あぁそうだった、言ってなかったね。君には今ある世界で空席になっている『闇の精霊王』になって欲しいんだ」
感想お待ちしています|д゜)チラッ