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クエストを達成して強くなる  作者: ミカタナ
25/36

25

キラービー:300/300 攻撃力+60 ペット:攻撃力+30 達成!


名前:楓 

レベル:1

体力:201/201

魔力:291/291

攻撃力:521

器用さ:528

防御力:191

知力:37

素早さ:313

精神力:134

運:14


習得:ウィンドカッター/ヒール/ファイア/アクアボール/ポイズン/フォトン/ライト/メテオ/フリーズ


スキル:気配感知/魔法攻撃1/2カット/スケルトン召喚/リジェネ


キラービーのおかげで攻撃力がかなり上がった。しかし低い知力が目立つので上げたい。

これではまるで私の頭が悪いみたいだ……。

それと運ってどうやったら上がるんだろうね。レアなスライムとかからなのだろうか?


楓達はキラービーの巣を壊したり、たまに巣穴から出てくるキラービーを倒していったが、今日倒せたキラービーは両手で数えられるくらいであった。新しく覚えたフリーズを試せる機会がなかったのが残念。


しかし、おかげさまでアイテムボックスの中身はキラービーの巣でいっぱいだ。

キラービー達を殲滅してくれた冒険者達の優秀さに、喜べばいいのか嘆けばいいのか正直分からない。


どうせならキラービーが蜂蜜を出してくれたら喜べたのに……。

キラービーは肉食で蜂蜜を生産しない種類らしい。代わりに肉団子は生産しているようだが、得体のしれない物体を食べる勇気はさすがにない。


蜂蜜はワスプという別の種類のハチの魔物の副産物で、ワスプ産の蜂蜜は高価だから庶民に届かないにゃん! という豆知識をステラが教えてくれた。日本では簡単に入手できたのにね。異世界ではやっぱり甘い物は貴重なんだろう。甘い物、たまには食べたいなぁ。


「楓は蜂蜜を舐めた事があるのね!! どんな味がするにゃ?」


「んーと、甘くて美味しい?」


「にゃー! 今度ステラに食べさせてほしいにゃ~」


ステラは甘えるように楓の腕を掴む。


「機会があったら食べてみたいよね。蜂蜜を扱っているお店があるなら三人で入ってみようよ」


もっとも庶民が入れない様な店ならどうやって入ればいいのだろう? マナーとかわからないしなぁ。

入店にはギルドカードを出せば入れるのかな? Bランクなら高い方だと思うけど分からない。


「にゃにゃにゃ!! 楓の奢りなの?」


「奢りでいいよ」


「にゃー!! 嬉しいにゃ!!」


ステラは両手を祈る様に重ね、尻尾をくねくねとさせる。


「アリシアは甘いもの好き?」


「うん、好き」


「そっか、今度食べに行こうね」


「うん」


アリシアが目を細めて笑う。楓達はギルドに戻り依頼を完了させた。

そのまま巣の欠片を売り払おうとしたが、ステラに止められる。


「今、リスタテルクのギルドで巣を売ってもそんなに金にならないにゃ。在庫過多って奴にゃ! 他の町のギルドに持って行くにゃ!!」


確かに。あんなドーム状の巣を解体したのだ。めちゃくちゃ有り余っているだろう。

二束三文にしかならないのなら、次の町でいいかな?


明日の朝一番に出発する馬車の日程と行き先をギルド員に聞き、楓達はギルドを後にした。



「明日はパンネクックに行こうと思う」


「パンネクックー? あそこは何も無い町にゃん」


「楓が行きたい所なら何処でもいい」


宿に戻った一同は楓の部屋に集合し、行き先を告げる。


「明日の馬車はパンネクック行きしかないみたいだから、まずはそこに向かう。この地図を見るとパンネクックの近くにはダモクレスって町があって、そこから乗り継いで、さらに東に向かい国境にある町デュランに向かう予定」


「ダモクレスー?! 楓、本当にその町に寄るのにゃ?」


「うん、寄るけどそれがどうかしたの?」


「うにゃにゃ……。楓なら大丈夫かにゃ? そこはかなり治安が悪いにゃ」


ステラは考え込みながら言う。


「治安が悪い……ならなおさら行くべきだと私は思う」


治安が悪いなら奴隷商人とかがいるはずだ、アリシアの首輪を外して上げられるかも。

今の私の力なら問題は無いはずだ。極悪人面の人が出てきても対応できる!! ……たぶん。


「仕方ないにゃ……楓とアリシアじゃあ鴨にされるだけにゃ、私が付いててあげるのにゃ」


ステラはやれやれと言わんばかりに肩を上げる。


「ありがとう、ステラ」


ステラはその辺の事に詳しいのだろうか? だとしたらとても頼りになる。


「そうなのにゃ、もっと私を敬ってほしいにゃ」


ステラは胸を張り片目を瞑りながら楓に言う。


「うんうん、敬うよ」


「なら私に高級飯を奢るのにゃ!!」


「いいよーアリシアもいいよね?」


目を輝かせて飛びつこうとするステラを避けてアリシアにも聞く。


「私は楓に従う。でも国境近くに用があるの?」


「うん、この国を出ようかなって思って」


アリシアに言ってなかったが大丈夫だろうか? 楓がアリシアの反応を見ると相変わらず無表情だった。


「そう……。分かった」


アリシアは何かを考えながら了承する。


「楓この国を出て何をするにゃ?」


ステラが不思議そうに聞いてくる。


「そんなの決まっている。魔物を狩るんだよ」


楓は当たり前の用に返すがもう一つ理由がある。

それはアリシアの事だ、ダスクモルゲンにいた時にギルドマスターと話してから考えていた事だが、この国にいればアリシア絡みで何かしらの厄介ごとに巻き込まれるのでは無いかと楓は危惧していた。


厄介ごとに巻き込まれるのはごめんだ、それならもう一掃の事この国から出ればいいのでは無いかと楓は結論をだしたのであった。


「ふにゃにゃ……楓の魔物への執念が凄いのね……でも私は何処までもついていくにゃ!!」


「私だって楓についていく!!」


ステラに張り合う用にアリシアが言ってくる。


「二人ともありがとね。じゃあ行き先はパンネクック、ダモクレス、そこから国境にある町のデュランって言う町に寄って隣の国へ行こう」


「わかったにゃ~!」


「うん」


「それじゃあ明日此処を旅立つから荷造りしておいてね。じゃあ解散ー」


二人は自分の部屋に戻っていくので楓も荷造りを終わらせて寝ることにした。




翌朝、楓達は馬車に乗りパンネクックに向かっている。着くのは暫く掛かる。

楓はギルドで配給されていたパンを食べながら変わり行く風景を眺めて気を紛らわせた。


パンネクックに着いたのはそれから四日後の事だ。

楓達は御者にお礼を言い馬車から降りるとそれと変わる様にリスタテルクへ行くと思われる人々が馬車に乗り込む。


時間は日が沈む頃合だ。早めに宿を探した方がいいだろう、三人は宿を探す事にする。


パンネクックは少し寂れた町だった。

町の市場には物が少なく活気が無い。

楓は点々としかない露店を出しているお爺さんに宿の場所を聞くとじろじろと値踏みされた後、この町に宿は無く領主様の家にいけば泊めてくれるとの事だ。


宿が無い? そんな事ありえるのだろうか? このお爺さんが知らないだけなのでは……? それと領主の家には絶対に行かない、考える間もなく怪しいだろう!!


楓はお爺さんに礼を言うと冒険者ギルドの宿を探す。


「あの! すいません」


「っ!!」


冒険者ギルドの場所を聞こうと歩いている人に声を掛けたら逃げるように去っていってしまった。


なんだったんだろう?


そんなこんなで歩く事数十分、冒険者ギルドは町の片隅にあった。


冒険者ギルドの裏手にある宿の中に入るとそれなりの冒険者がいて宿は賑わっていた。


なんだ宿ならあるじゃん。


「すいません、宿をお借りしたいのですが部屋の空きはありますか?」


「申し訳ございません……現在リスタテルクの住民に宿を開放しており何処も満杯でして……」


受付の男性に聞くと男性は申し訳なさそうに言う。


そういえばリスタテルクの町は非常事態で住民は近隣の町に避難してるんだっけ? それなら仕方ないのかな。


「では他に宿の場所を知りませんか?」


「宿はあるにはあるのですが娼館や会員制の所しかないですね……」


なんでそんな宿しか無いの!! 商人の人とか普通に旅してる人たちはどうしてるの?!


「会員制の宿はどのような方が泊まれるのですか?」


楓が内心怒りながらも野宿は嫌なのでさらに聞く。


「それは……」


お兄さんが言い淀む。


「会員制の宿に泊まりたいなら俺が紹介してやろうか?」


なにかあるのかこの町は? 楓が怪しんでいると男が会話に参加してきた。

楓が男の方を見ると灰色の髪に整った顔立ちをしている男が立っていた。


「失礼ですが……貴方どちら様ですか?」


楓が警戒しながら聞くと男はニヒルな笑みを浮かべた。


「俺か? 俺はルイスって言われてるな……。で、どうするんだ?」


どうすんだって知らない男についていくのは論外だがどうしよう?


「おいおい、黙ってたら分からないだろう? まさか領主の家に行く気じゃないよな? 止めといた方がいいぜ」


ルイスは意味深な事を言って此方に近づいてくる。


「領主の家には何かあるのですか?」


「変態だよ。それもど変態ときた」


楓が近づいてくるルイスに警戒しながら聞くとルイスは吹き出し領主の事を話す。


「あのう……その話は余所でして貰えませんかね……」


受付の男性はきょろきょろと周りを見渡して焦るように言う。


「おっと、これ以上は迷惑か。場所を変えようぜ、そちらのお嬢さん方もいいよな?」


ルイスは受付の男性を興味がなさそうに見た後、楓の後ろにいるアリシアとステラを見る。


「私は楓に従うだけ」


アリシアは目を瞑り一瞬考えた後、目を開け楓の横に来る。


「まあ領主の家に行くよりはましだと思うにゃ」


ステラは目を細めながらルイスを見る。


「お二人は良いみたいだがあんたはどうする?」


ルイスは二人を見た後、最後に楓を見る。


むむむ……。ここにいても何の解決にもならないしルイスに付いて行ってみるか。いざとなればメテオ打ってやる!!


「何処へ向かうのですか?」


「まあ、付いてきな」


ルイスは宿から出て行くので楓達も続く。ルイスについて行くと寂れた町に不釣合いな豪華な宿が立ち並んでいる場所にでた。


なんだか此処だけ違うみたい……。


楓が怪しみながらルイスを見るとルイスは並んでいる宿の一つに入っていく。


「カードをお持ちでしょうか?」


「ああ、持ってるぜ。これでいいかな?」


楓達も続いて入るとルイスは受付の笑顔なお姉さんにカードを見せていた。


「畏まりました。後ろの方たちはお連れの方でしょうか?」


お姉さんはちらりと三人見てルイスに聞く。


「ああ、そうだ。あと彼女達は別室にしてくれ」


「承知致しました」


おねえさんから二つの鍵をルイスは受け取り楓にもう一つの鍵を渡してきた。


「ほれ、宿に泊まりたかったんだろ? 部屋の場所は分かるか?」


……何の裏があるんだ?


「ありがとうございます」


楓は訝しがりながらもルイスから鍵を受け取るとルイスは笑顔になる。


「うんうん、礼が言えるのは良い事だ。一緒に食事を取れればなお良いんだがな」


これって食事を取れって事だよね。


「食事ですか? いいですけど……」


返答に困り楓はアリシアとステラを見ると二人は楓を見ていたので楓は独断で返事をする。


「そりゃあいい! 美女三人と共に食事を取れるとは嬉しい限りだ」


両手を広げルイスは大げさに喜ぶ。


この人どの口で言ってるんだ?


ルイスは楓の隣に来て目が合うとウインクをするがどう返せば良いか分からないので無視することにする。

楓達はルイスに付いて食事を取るために移動すると個室が並んでおりルイスはその一つ部屋に入っていくので楓達も続いてはいる。


テーブルにはスプーンやフォーク等が事前に置いてあり楓達とルイスが椅子に座るとドアを軽く叩く音がした。


ルイスが許可をすると給仕の人がゆっくりとした足取りで料理と飲み物を台車に置いて持ってきた。


給仕の人がテーブルにとんとんと料理を楓達やルイスの前に置き、ワインをグラスに注ぐと一礼をして去っていく。


「俺の奢りだから好きに食って良いぜ」


ルイスはワインに口を付ける。


「ルイスさん私回りくどいことは嫌いなんです、担当直入に聞きますが目的はなんですか?」


楓はグラスを傾けワインの色合いを見ているルイスに聞く。


「こういう場所では会話を楽しむもんだぜ?」


ルイスは笑いながらワインを置く。


「まあ、回りくどいことは止めとくか。あんたにちょっとした依頼を受けてもらいたい」




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