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あ
貴方と出会った時のことなんて
大して覚えてはいないので、
「桜の季節」と記しておこう。
その方が、綺麗な出会いだと皆思うだろう。
実のことを言うと、よく覚えている。
寧ろ、忘れるはずが無い。
きっと、桜の散る頃だった。
特別、何かが起きた訳では無い。
しかし、とても特別である。
砂浜に打ち上げられたガラス片の中に、
一際心惹かれるものがあるように、
理由も無いが、貴方が目に付いた。
真新しいセーラー服に、大きく結んだスカーフ。
誰も皆同じ格好なのに、
春の陽射しをキラキラと跳ね返す黒髪と、
何処か少女で、何処か艶やかな雰囲気が、
何か違うように感じた。




