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56_無駄話の益。

 誰にも役に立たない時間を潰すだけの会話というものが、どうして存在するのか?その意義がよく分からないという問いを、結構聞かれることが、ある人も多いのじゃあないでしょうか?どんな立場の人なんでしょうかね?

 年が若い人とか、特に忙しくしているとか、自分の時間を大切にしたいとか、やりたいことがたくさんあるとかいう方が多く発することの多い疑問ではないか?と推測されるわけなのですが、定番の答えは、寂しいので、会話をとにかくしてみたい、人と繋がっているという錯覚を得て、安心したいと思っているので聞いてくれなくても、無駄に見えても、お話をしたいのですよ、というものでしょうか?

 お年寄りが同じお話を何度も何度もするのも、そのお話が何らかの利益を相手に与えると思っているからではなくて、話を聞いてくれる、付き合ってくれるという事実が嬉しいので、お話をしているようです。もっとも本人は、この良い話から教訓を得て、日々、有益に過ごして欲しいと、純粋に思っている可能性もあるかもしれませんし、一度話したことを忘れていて、同じお話を繰り返しているだけかもしれませんが。


 話がポンポンと飛んで、展開がそうきますか?といったような広がりを見せるような、話術というか、無駄に長くなるお話がありますが、聞かれなくとも、自分の口から何が言葉が発せられる、それを目の前の何者かが、時間を割いて聞いてくれるという、その事実自体が快感である、という人種が、やはり存在するのではないか?と想像いたします。


 自分のために、わざわざ時間を割いてくれる、私はその相手にとって特別なのですよ、という優越感、それを多く感じるために、長く長くお話をしてしまうのかもしれません。同じような価値観を持っている相手どうしだと、お互いに話を長くして行って、同時に快感を共有するような自体になるでしょうから、お話好きなどうしであると、あれ、もうこんな時間ですか?といったような、時間を跳躍するような現象を巻き起こしてしまうのかもしれません。巻き込まれた方は、かなり大変でしょうが、とくにお子様とかが、もう早く行こうよ、と急かしている映像が脳裏に浮かんできます。


 巻き込まれ時は、あまり口を挟まずに、自分のことをやっているといいかもしれませんし、ほっといて、ほっとかれている状況をうまく利用して、好きなことをするチャンスだと思うと、精神衛生上いいかもしれません。もっとも、自分のいうことを聞いて欲しいという欲求が満たされないので、無作法に見えるように割り込んで、微妙な空気を作り出すのも、ありそうな展開でございます。


 いっけん無駄話に見えるようであるけれども、言葉の表裏を巧みに使った、陣取りゲームをしている可能性もあるところが油断できないところですね。優越感を得るために、自慢したりして、気持ちの良い反応を引き出したり、相手の知らないであろう情報を、ここだけのお話とか言いながら、ポロポロとこぼしてみたり、ちょっと下品かな?と思うような技術を駆使して、領域を支配していく、無駄話の言わばプロフェッショナルみたいな、人もいるのかもしれません。政治のとかスポーツのコメンテイタとかそうでしょうかね?一緒にしないでくださいと叱られそうですね。


 声を口から出す問いう行為そのものには、ストレスを和らげる効果もありそうですね、会話なく独り閉じこもっている状況は、あまり精神衛生上良いような環境には見えません。もっとも、そのような環境の方が調子が良いのですという、人種もまた存在するような気がいたしますので、一概に押し付けて良いものでもないとは思うのです。

 人とのつながりが大事というのは確かだと思うのですが、正確には、人と繋がっていると錯覚するような行為が大事といった方が、より正しいのかもしれないですね、とぼんやりと思ったりしています。

 誰にも読まれることのない、文章を書いているよりは、もしかすると誰が読むかもしれないところに記述するという心理も、それに似ているのでしょうかね?

 観光地の落書きと変わらないと言われると、少し傷つくかもしれませんし、全く気にしないかもしれません。おそらくゴブリンは気にならないでしょう。


「今日は天気の話題を出してみました!」

「順調ですね”ご主人様”」

 今日は、嵐ではなかったですかね?

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