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532_タイムトラベリング。

 時間旅行をした時は、三歩以上歩いてはいけないというルールがあるのではなかろうか、などと夢想してみたわけでございまして、それならば時間は超えられても空間を移動することができないので、リスクが大きすぎて時間旅行者を見かけることができないのではなかろうかとか、妄言を吐いてみることで始まる今日のゴブリンでございます。


 時間を遡るような移動は、これは局所的には可能ではなかろうかとか、量子的な視点で見ても難しいのではなかろうか、という意見やら、まあいろいろあるようでございます。有名な証明では、いつか知らないけれども未来において、時間旅行が成功しているならば、未来からそれらがやってくることが観測できるはずであり、それが見られないということは、やはり時間旅行は不可能であるという意見でございます。


 反証としては、未来から来た時点で認識が置き換わってしまっているので移動してきた存在を含めてそれを記録や記憶にとどめることができないとか、そもそも時間旅行はされているのであるけれども、事態の大きさを鑑みて、秘匿されているとか、時間旅行をしないようにして、文化を保存させていくようなケースの世界線に我々は生きているのだとか、まあ、結構あるわけではございます。


 未来においてタイムマシンが発明されたとしても、この世界においては今現在以降にしか時間旅行者が現れない可能性もあるわけでございまして、世界が無数の可能性の枝によって分けられているという想像がございますが、我々が存在している枝はたまたまタイムマシンの行き先へと設定されなかたところであるという可能性もあるわけでございます。


 無限に枝分かれしている世界において、すべてに等しく時間旅行者が来る可能性はこれは限りなく低いのではなかろうかと想像するわけでございます。もちろんタイムマシンが存在する未来もまた無限に存在するわけでございましょうし、その旅行に使用するリソースも時間が無限に存在するならば、その機会数は無限に近いわけでございます、いわば無限を無限で割るような、ちょっと滑稽な計算式を解くことになるわけでございますが。


 この場合は、時間旅行の対象になる世界枝にならない可能性もまた無限に存在することになるわけでございまして、逆に枝の数が有限であるならば、どこかで未来の可能性が歴史に介在している痕跡が発見できるわけでございます。ルール的に見つかった瞬間になかったことにされるという設定もありそうではございますけれども。


 時間の流れに差がありすぎるという可能生もあるわけでございまして、どのような仕組みでタイムトラベルが可能になるのかは不明ではございますが、時間の流れの外から干渉しているのではという予想に基づきますと、我々が活動している世界とそれ以外の世界との時の流れ速度が桁違いに大きいという可能性がございます。


 つまりは、我々はあまりにも一瞬で始まりから終わりまでを成しているように観測できるので、そもそも外からは、そこに世界があることを観測することが難しいという想像でございます。中に存在しているものはその速度に大きく比例して時間を引き伸ばされているがゆえに、気がつかないわけでございますが、一歩外に出たならば、そこは光の瞬きに等しい時間しか維持されていない、何かである可能性でございまして、なるほど、対象が極小、極短であるがゆえに、干渉ができないという説でございましょうか。


 多くの発想が湧き出てくるわけでございます。この豊かな発想の源泉となった科学者の一人に対して、人類は敬意を払ってもよろしいのではなかろうかと、想像するわけでございます。

 あるじの座らなくなった車椅子を想像して、少し感傷にふけてしまうという、珍しい気分になったところで、おしまいです。


「彼のためだけに死後の世界を創造してもよろしいのではないでしょうかね」

「愛されていましたものね」

「良い迷惑だとか言いそうではありますな”旦那様” 世にはばかって欲しかったのでは?”奥様”」

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