3_日々のお仕事、洗濯編。
さて、”ご主人様”の性別は女性であります。なので彼女の衣装はこう、ひらひらしたものになるはずなのではないか?と思うのでありましたが、どうもそういうことでもないようです。
基本同じようなデザインの服を着まわしているようで、暗い色のズボンとシャツ(長袖が多い)にフードつきのローブ、下着もまあ妙齢の女性がつけるにしてはいささか色気が足りないのではないか?という感じのデザインでありました。もちろん清潔ではあるのですが、視覚的に楽しませるものではなく、丈夫で長持ちするという点に重きを置いているようであります。
家事を任される方としては、少々乱雑に扱っても問題ないということに対して、ありがたいと思いこそすれ文句が出るようなものではないのでありますが、ちらりと見るところの大衆風俗雑誌(”ご主人様”が定期購読されているのです)を参考にする限り、こうなんと申しましょうか、もう少し女性としての立ち位置を意識してもよろしいのではないでしょうか?と、おせっかいでは重々承知ではあるのですが、一言、もうしたくなります。
そもそもスカートが少ない理由は、学校での授業において、悪ガキ、ではなくて、活発な生徒さんがたに対応するためには、スカートでは防御力が小さいということがあるのだそうですが、最近の学び舎は物騒なものなのですね、とちょっと目を見開いて驚きをあらわにさせていただきました。
それはそれとして、休日の外出用の衣装すら数枚も無いという、そういう悲惨な状況はいかがなものかとは思うのです。
もっとも、家事能力が壊滅であることに気がついて、全てを私、妖精ゴブリンを召喚して済ませてしまおうと思うくらいズボラ?でありますから、無理も無いのかもしれません。
ああ、いえ、仕事が忙しくて家事がおろそかになることを厭うて、家政夫妖精と契約したのですから、まだ潔癖感に対しては、大丈夫であるわけですね。
それにしても下着を脱ぎ散らかさないでいただきたいものであります。ああ、このストッキングは伝線していますね。大戦後強くなったのは女性とストッキングだと言われているそうですが、そろそろ破れないストッキングとか自己修復機能のあるストッキングとか開発されないものでしょうか?
そうなると新しいストッキングを買わなくなるので商品が売れなくて困るかもしれませんね、ああ、だから適当なところで伝線するように作っているのかもしれません。
そうゆうところ、誰かがバランスを取って商品を作っているのでしょうかね?
前回家事用品の召喚が滞った件で、”ご主人様”から自由に家事用品購入用の予算をいただきましたから、その中からストッキングの代金を出しておきましょう。
洗濯は水場で行います。お風呂の残り湯を魔法で組み上げて、その中に服を投入、くるくると水の竜巻を作りあげ、洗剤を投入。軽く布同士を揉むように水流を調整しつつ、水温を少し上げて、ぬるま湯へ変化させます。
家政夫妖精仲間では、この水流の回転を縦向きにするか、斜め向きにするか、完全に横向きにするかといろいろ工夫するようです。私は斜め派ですね。若干使用する水量が少なくなるのですよ。完全に横型と違って制御もしやすいですしね。
柄物もないし、色落ちも気にしなくて良くて、まとめて乱雑に洗えるのはよろしいのですが、こう、手もみ洗いとか、ふんわり仕上げとか、いろいろ技があるのに使えないのは少々物足りないように思いますね。
ここは、気をきかせてちょっとかわいらしい下着とか服とかを用意しておいてあげた方がよろしいのでしょうか?今度相談してみましょう。
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「うんあのええと、一応ね、まかせますのでお願いできますか?」
いい感じの下着とか、シンプルでかわいらしいスカートとブラウスを勧めてみました。
ちょっと顔が赤くなっていましたけど、”ご主人様”もまんざらではないようです。
これで私も腕の振るいがいがあるというものです。
”ご主人様”には、ぜひこれら衣装の出番を作っていただきたいものですね。