14_お祭りで競う。
人の世界では、定期的に全世界規模で主に惑星上で行う、大きな運動会が行われる時期なんだそうです、何回かの公転周期の区切りごとに行なわれている、いわゆるスポーツの祭典だそうでございまして、今回は、南の国で行われるようですね。
妖精ゴブリンは、そもそも人間のかけっこやら、飛び跳ね競技やら、ボールなどを使った競い愛やら、にはそれほど興味はないのです。所詮人間の力量ですし、どう頑張っても肉体的な能力で音速を超えるとかはありそうにないですし、球技の途中で巨大な幻影を伴う必殺技(ええと、健全な競い合いの中で、必殺とかありえないのですが)が放たれるわけではないですし、絵が単調でねむたくなるような気がします。
人間達にしてみれば、日頃の研鑽の結果を披露する絶好の舞台であるのであるから、選手が盛り上がるのはわかるような気がしますが、それに見え隠れするように、こう、国家間の思惑が覗いているのが、なんだか、乾いた笑を誘いますね。
よく考えると、隠れていないですね。国別対抗の様を呈している競技も多いようですし、結構露骨な駆け引きが見らますね。
ところで、経済効果もなかなかにすばらしいらしいですね。国家予算なみの資産が右往左往するようです。ええと、表現がちょっとですが、まあ、どうやら新しい施設を作ったり、インフラを整備しなおしたり、文化を紹介したり、観光客を呼び込んだりと、八面六臂の活躍をするそうですよ?ええとどなたがするのでしょうかね?
開催する国や地域の、労働者とか経営者とかでしょうかね?
思うにですね、ただ、その星で一番早く走れる人間を決めるならば、全員を一箇所に集める必要はないように思うのですね、それぞれの選手が、各々ちょうど良い体調のときに、屋内競技場のような振れ幅のない、そして、公平に競えるように、条件を一定にして、気温とか気圧とか、湿度とか?計測するシステムも、明確に機械化したもので統一して、ですね、それぞれが走れば良いのではないかな?とか思うのですよ。その方が、期間を限定しての一回勝負よりも、まあ、正確に世界で一番早い人間を決定することができますよね?
このような意見は、まあ、結構どこにでもあるとは思いますが、それがメジャーにならないのは、やはり、みんな揃って一斉に競争して一番を決める、というのが、わかりやすいからなんでしょうね。あと、きっと盛り上がる、お祭りになりやすいからでしょうね。
そういう、大会というのは、やはりお祭りであって、決してストイックなものではないのでしょうかね?まあ、個々の選手の意識はよくわかりませんですし、おそらくは周囲の雑音を気にせずに、ストイックに、いくスタイルの方もおられるでしょうけれども。
人の目があるので、あまりはっちゃけられない、と、いうこともありますね。身も蓋もない話ですが、その競技をする上で、スポンサーとかを手に入れるためには、品行方正な人格もまた必要であるでしょうし、だいたい、魅力のある選手という立ち位置で、なければ、その競技をやってみたいな、と思う新人を誘い込めないわけで、そして、新人が入ってこない競技は、衰退していくわけでして。
それで、衰退すると、その自分が、競技を続けられない、少なくともその競技で食べていけないので、その選手自身が困るということになるわけですね。
が、まあ、中にはそのことがわかっていないというか、その刹那が楽しければ良いという、ある意味人間らしい微笑ましい人格の方もおられまして。その反骨精神的な方向性が振り切れていると、痛快であるようにも見えるのが、面白いですね。
結局、あの手の祭りは端で見て笑えればそれでいいかな、と、ゴブリンは思うのですが。
「それで、この新しい魔法テレビ(巨大な画面です)は、どうしたんです?」
「やっぱり、観戦するならこれくらいじゃないと、と言われました」
本当にセールス弱者でございますね、ご主人様。