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1_召喚から契約まで。

 呼ばれて飛び出しはしないですね。薄暗い部屋、六芒星の中心、硫黄の匂いと共に、私、爆誕。目の前には少しやせ気味の魔法使い(おそらく、間違いなく私を呼び出した召喚術士)。

 体格を見るに、普通種(混血が進んで、特徴のなくなった”人”)の女性のようですね。他の種族の美醜はわからないけれど、その雰囲気は凛として、プロという感じ。

 まあ、もっとも慌てふためいて、正体をなくして”喚び”出したならば、パクリと食べられてしまう事故も起きかねないので、召喚魔法は冷静に行わなければならないですけども。

 呼び出し方は少し古典的だけれども、正確、供物としてのマテリアルも必要十分のようですね。もっとも私クラスの使い魔を呼び出すにしては少々、要素が多いようです。

 安全度を大きく取るスタイルは好ましいと思います。


 おおっと、少しこちらを見て待ってますね、それでは、お決まりのセリフを言わないと。


「我は妖精ゴブリン、今後ともヨロシク」


 少し甲高い声変わりをしていない少年のような声。久方ぶりに物質化した体から放たれる声に、ああ、そうそうこんな声だったなと、思い出します。

 体格も”人”の子供、およそ10歳くらいのもので、緑色のチョッキと赤い帽子を身に付けていますね。なるほど、昨今の魔法使いが想像する妖精ゴブリンとはこんな感じなのですね。


「よろしく、ゴブリン。さて、名前のリクエストはあるかね?」ちょっと気取ったように言いますね。希望を通してくれるタイプですか。

「おおげざなものやら、人前で恥ずかしいもの以外ならばまあ、どのようにでもよろしいですよ、ああ、一応男性名でよろしくお願いします」

「そうだね、ならば、ジャレスでいかが?」

「おおっと、それは恐れ多いのです」

「ではデビットでは?」

「ファンに刺されませんかね?まあ、よろしいでしょう。よろしくお願いいたします、”私のご主人様”」

 優雅に一礼いたします。


「契約内容は、先の召喚内容通りで、『家事全般』つまり炊事洗濯掃除です、報酬は召喚時の先払いぶんと、継続分として契約期間ごとに半銀貨と蜂蜜で」

「日々の”パン”は別で?」

「そのようにとりはからいます、他に質問は?」


 私は了承したことを示すために再び、礼を返します。


「では、円満な契約のもとに」

「契約のもとに」


 こうして私はとある魔法使いの家政夫用使い魔として、物質世界に顕現いたしましたのでありました。


「あ、暗いから窓のカーテン開けておいて?」

 

 そして、ちょっと狭いリビング(ソファーや椅子が壁際に片付けられていて、なんとか魔法陣を書くスペースを確保している)の、窓のちょっと古いデザインのカーテンを開けるのでした。


 あ、昼ですね。明るいです。


 さて、契約に基づいて、椅子とか机を綺麗に戻しましょうかね?ええとその前に魔法陣を消して床を綺麗にしなければ、掃除道具はどこでしょうか?


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