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Reincarnation*神殺しがやり直す二度目の人生  作者: コルころ
restart of Vampire アイラ編
7/14

生まれ変わるより今の人生

『もう、おとなしく切られてくれないですかぁ』

『痛いのは嫌いなんだよ』

(結局、この力を使わねばならんとは)

現在、九十九はスプラッター少女と戦闘中。

『コイツと後ろの一人は俺がなんとかすっから、残り二人頼めるか?時間稼ぎてもかまわねぇから』

見るからに相手の中で1番やり手なのは九十九と交戦中のこの少女だった。前回アイラはこの少女に切られていたことから恐らく相性が悪い、ならばもう一人請け負って、残りをアイラが叩く、これが最善策だ。

『いいんですかぁ、あの子死んじゃいますよぉ』

『その前にお前は自分の心配した方がいいぜ』

その瞬間、九十九が一気に距離を詰め少女の懐に入り、鳩尾に掌底をぶち込んだ。

『吸血鬼と分かっていちゃ問題ねぇよな』

『カハッ』

手加減をしたためさほど吹っ飛びはしなかったが確実に急所を仕留めた。

だが

『痛いのは嫌いなのにぃ、人には普通にやるんですねぇ』

何事もなかったかのように立ち上がってきた。

『どっちがバケモンだよ』

手加減したとはいえ、岩が砕ける程の威力で殴ったのにもかかわらず、何事もなかったかのように立ち上がったのだ。

『ツクモ!吸血鬼は回復速度がとても早い、生半可に殴ったぐらいじゃ蚊に刺されたくらいにしか感じない。』

そう言われてもと首をひねる。もし力を誤ったら殺してしまう可能性がある。また同じ道は歩みたくないのだ。

『多分ツクモが手加減した力で殴っても、死なない。だからそのちょい上、それで瀕死にできると思う。』

敵二人と戦いながら九十九とに指示を出すアイラ、混戦を避けようとしたのか指示を出した後、すぐにその場を離れてしまったがそこまででも届く声で

『了解‼︎死なねぇ程度にぶっ飛ばさせていただく』

その言葉と同時に走り出した。

『手加減してとは、なめられたものですねぇ』

スプラッター少女はもう一人の少女に合図を出し鎖鎌で攻撃を仕掛ける、それに対して九十九は鎖鎌の一撃目、ストレートに投げてきた鎌を交わしその後に引き連れた鎖を掴んだ。

『うぉらッ』

そのまま力任せに引っ張り寄せ、武器を掴んでいた少女ごと九十九の元へとダイブする。まさかといった表情を浮かべているがそんなもの構うこともなく、右手で拳を作り振り被った。

『死ぬんじゃねぇぞヴァンパイア!』

顔面に直撃、詳しく言うと顎である。回復力がたかく、甘い攻撃では効かない、かといって本気でやったら死ぬ。それに九十九は元々加減が苦手なため手加減よりちょっと上という器用なことはできない。なら手加減の力で瀕死にするのではなく、気絶させる。

『ぐッ‼︎』

見事にクリティカルヒットをした少女は空中四回転ひねりさながらの勢いで吹き飛んだ。そして倒れこんだまま狙いどうり気絶をして動かない。

『多分、普通にやったら殺しちまうからな、顎殴れば脳が揺れるし、いくらなんでも気絶耐性持ってるほど準備もよくねぇと思ったんだが、ザッツライトだな』

そう言ってニヤリと笑う九十九、青い髪を揺らしながらスプラッター少女にドヤ顔をかました。

『ヤッパリ、役に立たないですねぇ、ま♪、私一人で大丈夫なんですけどねぇ』

まだまだ余裕と言わんばかりの対応に九十九は少し期待を込めた。こっちに来てから初めての命勝負がこんな簡単に終わってたまるかという心情が全開だった。だがそれと同じく不安でもあった、こっちに来てから喧嘩すらしたことがないため実際人間としてどこまでやれるかわからないし、償いのため、いかなる状況でも殺しはしないと決めていることもあり、殺さずに勝つということに初挑戦だったのだ。

『まぁ、正体が割れてしまえば私だって吸血鬼、ですがアイラとは違いますよぉ、だって彼女は純血だったんですからぁ』

『さっきから純血とか言ってるけどなんだそれ?お前もアイラも吸血鬼ってことで変わりないように見えるけどな』

その言葉にふてくされたように九十九を睨みつけてきた。今の言葉に怒らせる要素があるのか全くわからない九十九はあら?と首をかしげやらかしたと警戒し強く拳を握った。

『私が、あんなのと同じ?ふざけるな、純血者はいつだって半純血者を下に見て、下僕として扱い、死ねばすぐゴミのように捨てる、たった少しだけ別の物が混じってるだけでだぞ!?』

いきなりの怒声と共に鉤爪をつけた少女は下から救うようにして九十九の頰に傷をつけた。

『あぶッ、クソッいきなりなんだ狂気女ッ』

そのあとすぐに回し蹴りを打ち込んできたため、それを右手で弾きさっきと同様に顎に打ち込もうとするものの、とっさに頭を下げ、額で受け止められた。

『なッ!?』

生まれてしまった一瞬の隙、少女はそれを見逃しはしなかった。

『くたばってくださいッ!』

腹に走る激痛、それも一箇所や二箇所などではない。

『くッそがぁぁぁ』

掌底打ちを一発かましてから距離をとる、痛みの原因を確認すると腹にはナイフが4本所鉤爪による攻撃が一線があった。

『いや、思った以上にやられてるし、いてぇ』

すぐにナイフを引き抜くがそれと共に勢いよく血が噴き出す、少しクラッとくるがなんとか意識を保ち体制を立て直す。

(人間って脆いな)

昔ならばこんなの致命傷にもならなかった、だが今は今だ。人間としての落ち度を補わなければならない。

『まだまだ、踊れますよね!?これじゃストレス発散にもならないじゃないですか』

少しキレ気味に話しかける少女、その顔にはさっきまで浮かべていた余裕の笑みは消えていた。それに加え先ほどとは見違えるほどに早さも増した。先ほどまでが本当に余裕だったのだと九十九は感じる。

『そっちこそ、後からもう無理ですって言っても遅いからな』

少女を直視し腹を抑える。若干ピンチに陥っているが、それは本気が出せないからだ。街中で九十九が神殺し全開の戦い方をしたら住宅街一つは軽く消し飛ぶ。それにまず前提条件として、殺さない。たとえ自分が死にそうになってもだ。生き方を変えるために九十九は選んだ道は死んでも変えないと決めたのだ。

『んじゃ、ギア上げていきましょうか』

ちょっとばかしわざとらしく挑発を兼ねその言葉を言う。吸血鬼が相手なのだから、多少やりすぎても構わないと勝手な自己解釈をした。

『まだ元気ですね、30秒後にはその減らず口も叩けないほどに徹底的に潰してやりますよぉぉッ‼︎』

その瞬間、少女は身に受けているローブから大量のナイフを取り出し、九十九に投げつける。九十九はそれを全て見極めたように弾くか避けるかで対応しきる。だが一向に止む気配のない攻撃に、一体、ナイフいくつ持ってんだよと突っ込みたくなるが、そんな暇はない。さらに額から血を流しながら笑う少女に少し引き気味になっていた。

『このままじゃ一向に戦況が変わんねぇな、よしッ、突っ込もう』

言葉と同時に一気に走り出す。全てを避けながらどんどん距離を詰めていった、それに反応した少女も攻撃方法を切り替え接近戦へと身構える。

『このッ‼︎』

鉤爪とナイフ一本を持ち切りつけるがそれをスライディングでかわし、そのまま足をすくう。

『よっと』

『キャッ!?』

ここにきて初めて女の子らしい声を上げる少女、だがそんなもの気にせずに90度の角度で回った少女に九十九は追撃を加えた。

『即席必殺‼︎滅殺掌底、活殺‼︎』

技名どうりに、ただの掌底を急所の活殺に打ち込んだ。だが威力は絶大、少女は打ち抜かれた勢いで壁にめり込んだ。

『いたたた』

『おま、タフだなぁ〜』

九十九的に結構強めに打ったつまりなのだが少女はピンピンしていた。それもほぼ無傷で。

『純血ではないといえ、吸血鬼の端くれなのでこのくらいなら問題ないですね』

服をパッパッと払う少女、その見た目からは想像できないほどの頑丈さに九十九は面食らっていた。

『お前純血じゃねぇのか?』

さっきの一撃で傷が痛んだのか、九十九は傷を抑えながら質問する。だが少女は何を当たり前なことをと言い返してくる。

『半純血だ、ここに来る前は純血者の従者、いや奴隷といったほうがいいのかな、ずっとずっと痛みに耐え、ずっとずっと苦しい生活を送っていたさ』

口調が変化するほど切れている少女は額から血を流しながら、訴えるように叫んでいた。その表情を見るだけでどれほど辛い人生だったかが伺えてしまう。

『だから、ここに来れた時は奇跡だと思った、やっと恵まれたんだと、やっと願いが叶ったって、だからそれをくれたマスターのために生きようって決めだんだ!私たちを救ってくれたマスターのために‼︎』

九十九は何も言わなかった、それは同情というわけではない、彼女の覚悟を聞いたからだ。マスターのために生きると、彼女の覚悟はそうだった。だがその沈黙は讃えるのではなく、非難の沈黙だった。

『自分のために生きれないなんてふざけんな(、、、、、)

『は?』

『自分の生きる理由を人に押し付けてんじゃねぇ‼︎人任せに生きてそれが自分の人生って誇れんのか?お前はお前だろ、自分が歩く道は自分で作れッ‼︎』

一生に一度の人生、それはやり直すことなんかできはしない。一度死んでいるからこその九十九の言葉だった。

『お前をぶっ飛ばして目ぇ覚まさせてやる、そしたら自分の人生ってやつを歩ませてやるよ』

拳を突き出し自分に誓うように言う。

その言葉に歯ぎしりするように少女は口をつぐんだ。懐にあるナイフを3本取り出し九十九に向かって構える。

『あなたに、何がわかるんだ、人のために生きる人生でも、やっと見つけた幸せなんだ。』

少女は半泣きの状態で突撃。左手に構えたナイフ3本をそれぞれ飛ばしさっきの少女が使っていた鎖鎌を拾って切りつけてくる。

『オラァッ!』

3本のナイフを拳一振りの風圧で吹っ飛ばした、そのあとに鎌を足裏で受け止めた。九十九は能力を使い本気で勝負を決めに行く。

だがしかし、吸血鬼という種族の知識に疎かったことが仇となった。

『残念』

少女の額から流れる血が、瞬時に無数の針となって九十九に襲いかかった。

(吸血鬼って血液まで武器になんのかよ)

かわせない、その言葉だけが脳を遮った。

(本気出すか?でもそしたらここら辺に被害が出ちまう、どうすりゃいいんだ)

キンッ

その瞬間血液の針は弾け飛んだ。

『な、何!?』

焦る少女、だがそれ以上に九十九も驚いていた。だがその勝機を見逃さず決定打を打ち込む。

『残念、だったな‼︎』

顎に一撃、クリティカルに決まった。


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