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Reincarnation*神殺しがやり直す二度目の人生  作者: コルころ
restart of Vampire アイラ編
3/14

ヒノノギティティ

『おい大丈夫かよ』

ふらつきながら歩く少女に転ばないように手を貸してあげる。

『大丈夫じゃ、ない。泣いちゃいそう』

手を貸した瞬間力が抜けたのか九十九に寄りかかるように倒れてきた。

『逃げ、なきゃ』

何?と九十九は理解できずにいると後ろからコツ、コツと足音が聞こえてくる。

『おっとぉ、こんなところで寝てては風邪をひくよぉ』

そう言いながら暗闇から出てきた存在、髪が黒く長い女の子、身長は傷負い少女と同じくらいだ。だがその両手にもたれているものは、少女らしくなかった。

『まだ右腕だけだよぉ、後ぉ、左腕とぉ、右足とぉ、左足も!、そして心臓やった後に首もやってスプラッタ〜』

その子の両手には長刀ナイフが握られていた。

『おいおい、日本は安全な国じゃなかったか』

夜道にナイフ持って歩く少女とか心霊現象かよ、と思うものも意外とこの異常な状況に驚かない自分に驚いていた。

『逃げなきゃ、逃げなきゃ』

逃げたくもなる状況だよな、でも何故こいつが追われてるんだ?

『アイラ、あなたを殺しますぅ、マスターに逆らうものは入りませぇん』

なんだか勝手に話が進んでしまっていることに九十九は戸惑っていた。だって理解が追いつかないのだから

『あなたもそこを退かないと巻き込まれますよぉ』

『たす…けて、おね…がい』

泣きそうな顔で頼んでくる少女、九十九はその顔を見て決意を決めた。

『俺は昔から頼まれたことはどんなことでもやってきたからなぁ』

今まで償いのためどんなことでも頼まれればやってきた。荷物運びにバイトのシフト、そう、なんでもやってきた。こんなところでヒノノギティティを折るわけにはいかない。

『というわけで退く気はねぇ』

『そうですかぁ』

がっくりとスプラッター少女は肩を落とした。その瞬間

『ならあなたも死んでください』

ニヤリと笑いそう言った。

(まずいな、完全に逝ってやがる)

ナイフを二刀流した少女は回転しながら切りつけてくる。だがそのナイフに向かって九十九は拳を叩き込んだ。

パキン

綺麗な音を立てて刃が中を舞う。

『は?』

戸惑う少女の胸ぐらを掴み電柱に投げつける。女の子だからといって殺しに来たのだから容赦はしない。

『ぐふっ』

『もうやめとけ、あぶねぇから、おあそびにしちゃ笑えねぇぞ』

もうそろ帰らなければ凛音が怒ってしまう、そのが怖くて仕方がなかった。できれば早く決着がついて欲しいと願う九十九がそこにはいた。

『あなた何者なんですか?おとなしく殺されてくださいよ、そこの不良品処分しないと私が処分されるんで』

そう言うともう一本のナイフをこちらに向けた。

『聞く耳持たずか』

普通の女の子ではないことだけはわかった。九十九とはまた違った普通じゃない奴だ。

『死んでください』

バシンッ

その音と同時にナイフの刃が一直線に飛んできた。

『マジか!?』

スペツナズナイフ、九十九は親が自衛隊なこともあって見たことがあった。刃が飛ぶナイフ、中距離型で殺傷性は意外と高い。

そのスペツナズナイフが放たれた方向は九十九ではなく傷を負った少女だった。

『チッ、クソが』

手を伸ばしむき出しの刃を手のひら正面で受け止める。

『あら、また失敗してしまいましたね』

九十九の手は見事ナイフが貫通し刺さったまんまとなった。

『でもその手では何もできませんねぇ、痛みのせいでまともに動かせないでしょう』

『へっ、どうだかな』

手に刺さったナイフを勢いよく引き抜くが、勢いよすぎた為、大量の血が飛び散った。若干ダメージが増えたなぁ、と思う九十九がそこにはいた。

(実際痛い、でも耐えられんこともない)

スプラッター少女は傷の少女に突進、する前に九十九に殴り飛ばされた。

『なっ!?』

『俺は我慢体質なんでな、こんなの余裕だ』

少女は吹っ飛ばされ体制を立て直す。

『まだやるか?』

その言葉に少女は少し睨むようにして首を振った。

『また今度にしますぅ。武器も調達しなければなりませんしぃ。それにあなたがいると厄介だ。だ、か、ら次あったら殺しますぅ。』

そう言うと闇に消えていった。

手のひらを見て九十九は叫ぶ。

『いってぇぇぇぇぇぇぇッ』

余裕じゃなかった。

手を抑えつつ傷の少女のもとへ行く、完全に気を失っていて出血がひどい。

『これ治療しなきゃまずくないか?』

食材と少女を拾い上げ家に歩き出す。

『時間まずいな、絶対怒られる、というかまずこの状況のことで質問攻めだな。』

スマホを見ると7時半を超えていた、それに血だらけの少女を担いで帰ってくるのだ、無反応で居られる方がすごい。

(あー、手ェいてぇ)

『どうしたんだよ平和の国は』

ナイフで刺される国は安全なのだろうかと考える九十九こと、元神殺しの手には大きく穴が空いていた。

『いてぇなぁ、手治療しとこ』

(なんとかナイフ一本折るぐらいで解決したけど、次来るとき、どうすっかね)

左手で少女を担ぎ、スーパーの袋を持つ少年は家に歩き出した。


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