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Reincarnation*神殺しがやり直す二度目の人生  作者: コルころ
restart of Vampire アイラ編
2/14

厄介ごとは当たり前で

高校二年生新学期初日、元神殺し、現人間の少年、日乃々木 九十九はいつも通りボッチだった。彼のアイデンティティは余計なことには関わらず、自分の好きなようにやるというとても自分勝手なもので友達を作ると面倒ごとに巻き込まれることになる確率が上がるという超絶めんどくさがり屋だったりした。

『平和すぎてつまんねぇ〜』

かつて彼が暮らしていた世界は生存戦争が激しく、そして彼はその中でも神を殺しに行くような戦闘狂だったため、普通に学校に通うという感覚が退屈すぎてたまらないらしい。

だがそんな彼にも

『なんてアホ面してるんだ君は、それでも本当に男なのかい?』

友達と呼べるかわからないが、話し相手はいた。

『…はぁ』

あからさまにスルーする九十九。

『おい、幼馴染にさえ相手されなくなったら君は誰と学校生活を送ってくんだ?』

この世界に転生して最初の友達?と呼べる存在、椎木 凛音がそこにはいた。

『友達なんていらねぇよ、そんなんいても厄介ごと持ってくるだけだしな、一人の方が何かと楽だ。』

見事にヒノノギティティを発動する。それに対して幼馴染の少女、凛音は呆れたように九十九の耳を引っ張り説教を始める。

『いたたた』

『君のことは君のお母さんから頼まれてるんだ、昔っから君は人に関わらず、孤立して心配をかけて、そして一人のなのに問題を起こす。君は友達が厄介ごとを起こすと言うけどね、いつも自分から厄介ごとを作るじゃないか!』

痛みをこらえながら抵抗する九十九に凛音は更に力を込める。

『痛い!?とても痛いぞおま、』

かつて神殺しと呼ばれた少年は一人の人間の少女に圧倒されていた。

『ボクだって君のお母さんから頼まれなきゃこんなことしてないよ』

(勝手に頼むなよ地球の母さん)

『俺は頼んでねぇ』

『とりあえず君は人と関われよ』

唯一の友達は幼馴染、その幼馴染はなぜか世話好きだ。

『いいって言ってんだろ』

プイッとそっぽを向く九十九に凛音は真顔で問う。

『それは君が普通じゃないからか?』

人前で言うなよ、と九十九は小声で言い凛音はごめんと呟いた。

凛音は、九十九の親でさえ知らないこの世界で唯一九十九が普通じゃないのを知っている存在、これに関しては昔色々あったからなのだ。

『生まれつきなんだから仕方ねぇだろ、それに誰かにバレたり、迷惑とかかけてめんどいことになりたくないからな』

そう言ってバックを持ち立ち上がる。

『今日は俺が飯作るから、買い物も俺がする。なので先帰ってるわ』

九十九は一人暮らし、なのだが最近は凛音がよく家にお邪魔している。九十九は親が両方自衛隊で泊まり込みで仕事をしているため、いつも家には一人だ。そして凛音は幼き頃に父を亡くし母が一日中働いてるため、いつも家に一人だ。幼馴染ということと、家が近いということもあり二人で食卓を囲むことがよくある。

『うん、わかった』

返事を返されると九十九はそのまま歩き始め校門を抜けてスーパーに向かい、献立を考える。

学校からスーパーまでは約10分、九十九的に結構助かる距離にあり、家までの帰り道にあるため、帰りによくよっているのだ。

10分経ってスーパーに到着

『よし、今日は肉じゃがにしようかね』

早めに決めて速攻で具材を調達しレジに並び、ピッとされ袋に詰めてスーパーを出た。時計を見ると六時半、結構早い時間帯だ。だが春の最初ということで日が短くあたりが暗い。

『今日も夜空は綺麗なのに何故俺の心はブルーなのかね』

凛音が言っていた『普通じゃない』がさっきから脳内再生されまくっていた。

本当は誰にも知られてはいけないこと、何故凛音が知ってるのか、それは9年前のことだ。

–9年前–

『わぁー、自然がいっぱいだぁ!』

『おい凛音、あんまはしゃぐなよ』

それは九十九と凛音が山にキャンプをしに行った時のこと、家が隣で家族ぐるみで仲が良く、九十九の親が自衛隊ということもありキャンプでサバイバルをしようという話になったのだ。

『すごーい、向こうに川がある!』

『だからあんまり、はしゃぐなって』

この時の九十九は既にニホンに慣れていて、今までとは違う一歩を踏み出そうとしていた。償いなんてだるいと思っていたし、親なんかよりもずっと長く生きていて怒られる時に腹も立ったが、なんだかんだでこの生活が気に入っていた。

『九十九君』

声のする方を振り返ると声をかけたのは凛音の父だった。

『うちの娘が迷惑かけるね、でも問題起こさないようにちゃんと見ていてやって欲しい。頼めるかな』

昔の九十九、神殺しと呼ばれていた時なら答えず立ち去っただろうが今は九十九と呼ばれる少年だ。償いもしなければならない、なら地道に償いながら人間らしく生きられるようになればいい。この時の九十九はこう思っていた。

『任せてくれて大丈夫、俺がついとく』

凛音の父に頼まれたことをちゃんと果たそうと九十九は凛音の後を追って走って行った。

『待て凛音‼︎あんま奥に行くとあぶねぇぞ』

聞こえてるのか聞こえてないのか、凛音は返事をせずどんどん森の奥に進んでいく。

『あいつ、言うこと聞けっての』

(昔の俺もこんな感じに誰の言うことも聞かず、神様に挑んでったんだろうな。今思うとかなり迷惑なことしちまってたんだな)

昔の自分に重ねつつも奥に進む凛音についていく。だが凛音がいきなり立ち止まった。

『やっと止まったか』

凛音に追いつくと目の前が川だったことがわかった。

『すごい、さっきより全然おっきい』

言葉と同時に川に凛音が突っ込んでいった、九十九もやれやれとついて行ったがここで問題が起きた。

『ングゥ』

凛音が突っ込んだ先、川の浅瀬にシャケを取る茶色い動物がいた。

『グゥゥ』

熊である。

『あ、あれ何!?九十九君あれ何?』

凛音の目と熊の目が合う、九十九もこの状況に困惑を隠せていない。異世界でも熊はいた、こんなのよりももっと獰猛で危険な奴が、だがその世界では熊なんて恐るるにたる存在ではなかった、むしろ食料ぐらいの認識しか持っていなかった、だが今は人間、話が別だ。

普通にやりあったら確実に負ける、死んでしまうのは確定だ。

『ゆっくりこっち戻ってこい、ゆっくりだ』

逃げるが勝ち、異世界人生で一度もしたことがなかった敗走を人間になってする羽目になってしまった九十九はプライドなんて捨て生き残ることだけを考えた。

ゆっくり、一歩ずつ歩きこっちに向かう凛音だが

『ガァァァァ』

熊の雄叫びに驚き全力疾走で九十九の方に来てしまった。それを見た熊もこちらに走ってくる。

『まずい‼︎』

このままでは凛音が背中からやられてしまう。そんな時頭をよぎる最終手段

(駄女神が消し忘れた能力を使うしかないか)

だがバレてしまうリスクがある、というかバレる。だがそんなことより。

『凛音、伏せてろぉぉ』

能力を使い熊に跳躍で突っ込む、凛音は言われたとうり頭を抱えしゃがみ込んだ。

熊の爪が凛音に届きそうになるギリギリ、一歩先に跳躍した九十九の拳が熊の顔面をとらえた。

『くっらえぇぇ‼︎』

クリティカルヒット、熊は約20メートル中を舞い、川の反対側の木に頭から突っ込んだ。

その吹っ飛んだ隙に凛音を抱きかかえ全力で逃走する。

『え?え?何があったの?ねぇ!』

かがんでいて何も見えていなかったらしくバレていなかった、この時は。

だがすぐに同い年の男の子が自分を抱きかかえ、跳躍しながら逃げているということに気づく、結局バレてしまった。

『ここまでくれば』

なんとかその場を離れた二人だが凛音が怯えたように九十九に声をかけた。

『九十九君ってなんなの?』

なんなのだろうか、人間か?化物か?九十九自身でもそこらへんはわからない。

『俺はお前の友達だ。だから助けた、それだけ』

友達、この時の九十九はちゃんとそう言えた。でも少なからず普通じゃないとバレてしまったことに不安を感じる。

すぐに言いふらされると思っていたものの親と合流しても、そのことは一切口に出さずにいてくれた。

そして現在、今尚もそのことを黙り続けていてくれている。

『早く帰って飯つくろ、考えても仕方ねぇしな』

そう言いながらスマホの時計を確認、7時2分である。

スーパーからゆっくり歩きすぎたようだ、少し急ぎ気味で早歩きに変える。その時

『ハァ、ハァ、クッ‼︎』

右腕を抑えながら走る女の子が反対側から来た。

その形相は必死そのもので、焦っているというより怯えている。

(どうしたんだこいつ?)

スルーしようとした時押さえた右腕が赤く染まっているのが目に入った。

『なっ!』

この時間帯でこの状況、普通ではない。しかも見た目から判断するに12歳くらいの少女だ。見過ごしたいが、人間として見過ごせるわけもなかった。




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