エピローグ
日曜の朝、起きると既にアイラとウル達はいなくなっていて、その代わりにウル達が寝ていたベッドの上に一枚の手紙が置かれていた。
『律儀な奴なのか、照れ屋なのか』
九十九はその手紙を開き読み始める。内容はそんな重いものではなかったが、感謝の言葉、そしてこれからのことが書かれていた。
【助けていただいた恩はいつか返させていただきます。何かあったらすぐに駆けつけます。私の恩人がお困りな時にはいつでも呼んでください】
『そうさせてもらおうかな』
手紙を読んでくに連れ、少し名残惜しくもなるってまうが、それはウル達が選んだ道、邪魔はできない。
【あと気になることと言ったら九十九さんの能力ぐらいですかね】
『忘れてたな』
完璧にウルに伝えるのを忘れたと九十九は頭を掻いた。言おうとしてたのにアイラに邪魔されたまんまだったと少し申し訳なくなった。
【最後に、アイラをよろしく頼みます】
『…は!?』
先ほど起きた時、確かにアイラの姿はなかったというか
『ツクモおはよ〜』
『なんでお前置いていかれてんだよ!?』
ん?と訳が分からないような表情を見せる、アイラはなにがあったかまるで知らないようだった。
(あいつ、なに考えて)
【アイラは貴方の護衛としてのこしていきま〜す。決してめんどくさいとかそんなんじゃありませんよ?】
『あの野郎』
『ウル達行っちゃったんだ』
本人に了承無しで置いてったようで、九十九は手紙を強く握ってくしゃくしゃになった。
『じゃあ私はこれからもツクモと一緒だね、よろしく』
柔らかな笑みで九十九にいうアイラ、それを見た九十九は口元を引きつらせてため息をつく。
家族に一人、吸血鬼が増えたのであった。