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試作小説  作者: 村人A
1/1

日常

初投稿です。

どこが良くてどこが悪いのか、自分では判断のしようがないので、皆さんの意見をお聞きしたいです。

よろしくお願いします。

俺こと、佐上昴は朝に弱い。


「......」


現時刻は6時30分。いつもなら、まだ寝ている時間だ。なのに、起きている、いや、起きてしまった理由は、今日がいつもと違う日だからだろう。


「...起きるか」


たまには早起きするのも悪くない。そう思い、自分の部屋を後にする。


「やっぱり、誰も起きてないな」


いや、その言い方は間違いだ。両親は、もうすでに起きて仕事に行っているだろう。兄弟が俺を含めて姉、俺、妹の3人もいて、しかもその3人が全員学生となれば、両親は頑張らなければならないのだ。自分が育ててもらっておきながら、こういう言い方は失礼だが...。


「さて、朝メシ作るか」


顔を洗って、新しい制服に着替えた俺は、朝食の準備に取りかかった。


新しい制服...。そう、今日は俺の高校入学式なのだ。新しい出会いがあるのだろうか、と考えてしまうのは仕方ないだろう。


「早起きもしたし、何かいいことあったりしないかな」


早起きしただけで寄ってくる幸せってなんだろうな。朝食を作る爽快な音が良く響いてくるような気がする。そのせいなのだろうか、


「んん~…。お兄ちゃん、おふぁよう~…」


普段こんな早い時間に起きない妹が起きてきた。


「おう瑞葉、おはよう。どうしたんだ?こんな時間に」


「なんか、音が聞こえてきて、美味しそうな匂いがしてきたから、何かなぁって思って…」


「えっ?ご飯作る音、そんなにうるさかった?」


音は確かに響いてたと思うけど、そんなにか?


「う~ん、そうだと思うけど、私、神経質だからちょっとの物音で起きちゃうから、仕方ないよ」


「あ、あぁ~、そうだったな。いつも、俺がドア開けた音で起きちゃうんだっけ?」


「うん」


妹、佐上瑞葉は現在中学3年生。俺たち家族の前では普通に接しているが、家の外ではかなり物静かで、特に男子とは接していないようだ。


「ごめんな、俺のせいで早起きさせちゃって。もうちょっと寝てたかったろ?」


「いいよ、お兄ちゃん。たまには早起きするのもいいかなって思うし」


心優しい妹だ。俺を気遣ってそう言ってくれるなんて。


「ありがとう。そう言ってくれると助かるよ」


それを聞いて妹は、笑顔でうなずいた。


「そうだ瑞葉、朝ごはんどうする?」


俺は一般人程度は食べるが、姉と妹は少量しか食べないのだ。食べない、というよりは、食べられないのだ。


「いつも通りでいいよ」


「おう、了解」


いつも通り。今日がいつもと少し違う日なのは事実だが、それを省けば、確かにいつも通りということになる。


「そっか、お兄ちゃん、今日入学式だっけ?」


「そうだよ」


「もしかして、今日早起きしたのって、それが理由?」


「もしかしたらそうかもな」


ハハッと笑いつつ、自分の朝食を皿に盛り付ける。


「ほれ、できたぞ」


「今日も美味しそうだね」


自分のために作った朝食を妹に差し出した。その理由は、あまり食べない妹に先に食べさせて、残りを自分が食べた方が効率がいいと考えたのだ。それから、ずっとこういった朝食が続いている。しばらく瑞葉がちょっとずつ朝食を食べていたが、


「お、お兄ちゃん」


瑞葉が朝食を食べるのを止めて、唐突に俺を呼んだ。


「どうした?」


「あ...あのね?」


なぜか頬を染めつつ、もじもじしながら言葉に詰まる妹。


「何?どうかしたのか?」


「き、今日...」


「今日?」


おうむ返しで問い返す。


「今日、その...一緒に、出掛け...ない...?」


「出掛ける?」


「う、うん...。ダメ...?」


「いや、全然いいんだけど、どこに出掛けるんだ?」


今日、俺の高校も瑞葉の中学校も両方入学式があるから、昼からは完全にオフで、暇なわけで。


「特にどこかに出掛けるんじゃないの」


「適当に出歩くってことか」


「そ、そう」


まぁどちらにしろ暇だしいいかな?


「その、新しくできたお友達と遊んだりする予定ができたら、無しでもいいから、ね?」


「優しいな、瑞葉」


俺は瑞葉の頭を撫でてやった。


「ふぇ...」


「友達と接することも大切だけど、瑞葉たちと接する方が、もっと大切だ」


俺は、この家族との触れ合いを、人一倍大切にしている。理由は...


「お兄ちゃん...。ありがとう」


理由は、俺はこの家の人に引き取ってもらっている、いわば、居候なのだ。捨て子、というわけではない。実の両親は、母は俺が幼稚園児の時に、父は俺が小学校にあがる年に二人とも病で他界してしまった。叔父と叔母もすでに他界してしまっており、引き取ってくれる人がいなかったのだ。近所の人も家計が厳しく、引き取って育てるのは困難なため、苦い顔をしていたのを覚えている。そこにやってきたのが、この家族だったというわけだ。


「気にすんな」


ここの両親は出張する事が多く、その日も俺が住んでいた近所に出張してきていたのだ。そして事情を聞き、俺を引き取ってくれたのだ。自分たちにも、二人の姉妹がいるにも関わらず。


「俺がそうしようって決めたことだからな」


「うん」


そして、俺はこの家にやって来た。俺の名字も佐上に変わった。つまり、俺の本当の名字ではないという事だ。


「ご飯、もういらないのか?」


「うん、ごちそうさまでした」


「お粗末さまでした。んでもって、いただきます」


俺は口数が多い方ではなかったため、この家族に溶け込むのは難しいと思っていた。しかし、


「...んにゃ~?何で二人ともこんなに早いの~?」


それは、この姉こと、佐上榎那さんが解消してくれた。


「榎那姉こそ、いつもより早いじゃん」


「ま、そうだね。なんたって今日は、スバルが入学してくる日だからねぇ~。珍しく朝からテンション高いぜ」


榎那姉は、俺より1つ上の高校2年生で、運動神経抜群のスポーツマンなのだ。いや、スポーツウーマンというべきか。なので、常に元気ハツラツで、良く言えば人見知りをしない、悪く言えば遠慮がないので、俺とも真っ先に打ち解けた。もともと俺はこの家族に対して悪い印象は持っておらず、むしろ良い印象を持っていたので、凄まじいスピードで打ち解けた。そこから、この家のお母さん、お父さんと親しくなっていき、最後に瑞葉と打ち解けたのだ。


「それじゃあお兄ちゃん、私、着替えてくるね」


「おう、ついでに歯も磨いとけよ」


「は~い」


始めは瑞葉に近付くだけで逃げられていたのが、ここまで親しくなったのだ。しかし逃げられていたのも、今思えば仕方なかったことだな。なんせ、かなりの恥ずかしがり屋の人見知りなのだから。現在も、男の友達はいないらしい。


「榎那姉は、朝ごはんどうするの?」


「今日はご飯と味噌汁な気分だな」


「了解、ちょっと待っててくれよ」


「じゃあその間に、瑞葉と着替えてくるにゃ~」


「はいよ」


と、榎那姉はリビングを後にしたが、


「あ、そうだ」


と言って再び戻ってきた。


「ん?何?」


「ご飯と味噌汁の量、少なくていいからね?」


「分かってるよ」


「さすがスバル、分かってるね~」


そう言って再び、着替えに行った。今日も今日とて、いつもと変わらない、いい朝だ。




「さて、行くか」


洗面所にある鏡の前で、変なところが無いか確認して玄関へと向かう。


「お兄ちゃん、新しい制服って言っても、校章が変わっただけだもんね」


「まぁな」


これに関しては、苦笑いで返すしかない。


「でも、変な緊張しなくて済むんじゃないかな?」


「それもそうだな」


話をしつつ靴を履き、登校する準備ができたのだが、


「瑞葉、榎那姉知らないか?」


「え、知らないよ?何で?」


「俺、今日から榎那姉の高校通うだろ?だからこれから、一緒に登校しようって誘われたんだ」


「そう...なの?」


「あぁ。なのに、遅いな...」


靴があるから、家の中にいることは確かだが...。


「まさかお姉ちゃんも昴さんを狙ってるの?いつから...?」


なにやら隣で瑞葉がブツブツ言っている...。


「どうした、瑞葉?」


「エッ!?ナニモナイヨ!?」


明らかに喋り方がおかしい。追求しようとした時に、


「待たせたスバル!姉ちゃん、おめかししてた!...って、瑞葉もいたのか?」


榎那姉によって中断させられた。


「何よその言い方」


「当たり前だろ?瑞葉1人だけで登校なんてさせられるか」


「お兄ちゃん...」


「私は1人で登校してたのに!スバル酷い!」


ウッ...、痛いところを...。


「いや、それは、ほら、榎那姉は常に元気だから、心配ないかな~、みたいな」


「それ以前に、私は女の子なんだよ!」


「わ、悪かったよ。今日から一緒に登校するから、な?」


なんとか榎那姉をなだめる。


「...お兄ちゃんとの二人きりの時間が...」


「ん?何か言ったか、瑞葉?」


「ううん、何でもないよ」


なんか、妹のご機嫌が悪いような気がするんだけど...。何かしたのかな、俺。


「そりゃ、嫌だよね~?二人の時間を盗られたら...」


「は?二人の時間?」


「も、もう!お姉ちゃん!!」


「ムフフ~。さ、行こうか。瑞葉、スバル!」


「ム~。お姉ちゃんのバカ...」


「????」


俺はただ、疑問符を大量に浮かべていた。




「じゃあお兄ちゃん、また後でね」


「おう、学校終わったらそっちに迎えに行くから、校門で待っとけよ」


「うん!」


そう言って、妹の瑞葉と別れた。瑞葉の中学校は俺たちの高校と、途中までの道のりは同じなのだ。


「なぁスバル」


「何だ?榎那姉」


瑞葉と別れたあと、すぐに榎那姉が話しかけてきた。


「あんなに普通に見えるわが妹様が、学校ではかなり無口の中学生に見えるかい?」


「...いや、全く見えない。いまだに学校での瑞葉と家での瑞葉が同一人物だとは思えない」


「だよな...」


二人して、妹様の将来が心配になった。


「さて、それじゃ、行こうか」


「おう」


そして再び歩き出した。なんだか、やっと話せたって感じだ。瑞葉と別れるところまで、なぜか場の空気が重く話そうにも話せなかったのだ。瑞葉は俺にくっついたままだったし、榎那姉はそれを笑いをこらえるように見てただけだったし...。しかし、なんだったんだ?瑞葉のやつ。


「それはそうとスバル」


「何だ?榎那姉」


適当に榎那姉と雑談をしていたのだが、急に真面目な顔をして言ってきた。


「もしかしたらお前、入学式の日早々、浮くかもな」


「...何を急に」


いきなり何を言っているんだ?榎那姉。


「実はお姉ちゃん、学校じゃあ、『高嶺の姫』って呼ばれてんだ」


「高嶺の...姫?」


「意味は高嶺の花と一緒だよ。要するに、『手の届かない姫のような存在』ってことだ」


「...はい?」


解読不能な言葉が飛んできた気がする...。


「榎那姉が、高嶺の...花?...『高嶺の姫』?」


「そうだよ?私、学校じゃあおしとやかなキャラだから」


「いや、だって...。小学校から中学校まで、榎那姉のそんな素振り、見たことなかったんだけど...」


「そりゃ当然。高校から作ったキャラだからね」


...なんなんだ、この姉妹は...。家と学校とのキャラを分けてんのかよ。瑞葉は、家では普通で学校では無口の中学生。榎那姉は、家ではテンション高くて学校ではおしとやかな高校生...。意味が分からん。


「ま、そういうことだから、私とこんなに仲良く登校しようものなら...」


「...面倒ごとになりそうだな」


俺は素早く後方にさがった。


「嘘だよ、スバル。そんなわけないでしょ?」


...いいや、嘘じゃない。なんとなく感じていたんだ、周りからの視線を...。ここまで登校してくるのにも、高校の生徒たちが俺たちを抜かしていったのだが、そのたびそのたび生徒から視線を感じていたのだ。鋭い視線を...。


「榎那姉、先行ってくれ。俺はあとから行くよ」


「ダ~メ。一緒に行くの」


追いかければ俺が逃げるのを分かっているのか、榎那姉はそこから動こうとしない。


「......」


「......」


このまま突っ立ったままの時間を過ごすのは無駄だな...。


「はぁ~…。分かったよ」


結局、俺が折れて負けるんだよな。


「分かってるね~、スバル」


再び二人で歩き出すのだった。



最後まで見てくださってありがとうございます。

中途半端なところで終わっていますが、なるべく早く続きを投稿しようと思っています。


くどいですが、皆さんの意見をお聞きしたいと思っていますので、よろしくお願いします。

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