日常
初投稿です。
どこが良くてどこが悪いのか、自分では判断のしようがないので、皆さんの意見をお聞きしたいです。
よろしくお願いします。
俺こと、佐上昴は朝に弱い。
「......」
現時刻は6時30分。いつもなら、まだ寝ている時間だ。なのに、起きている、いや、起きてしまった理由は、今日がいつもと違う日だからだろう。
「...起きるか」
たまには早起きするのも悪くない。そう思い、自分の部屋を後にする。
「やっぱり、誰も起きてないな」
いや、その言い方は間違いだ。両親は、もうすでに起きて仕事に行っているだろう。兄弟が俺を含めて姉、俺、妹の3人もいて、しかもその3人が全員学生となれば、両親は頑張らなければならないのだ。自分が育ててもらっておきながら、こういう言い方は失礼だが...。
「さて、朝メシ作るか」
顔を洗って、新しい制服に着替えた俺は、朝食の準備に取りかかった。
新しい制服...。そう、今日は俺の高校入学式なのだ。新しい出会いがあるのだろうか、と考えてしまうのは仕方ないだろう。
「早起きもしたし、何かいいことあったりしないかな」
早起きしただけで寄ってくる幸せってなんだろうな。朝食を作る爽快な音が良く響いてくるような気がする。そのせいなのだろうか、
「んん~…。お兄ちゃん、おふぁよう~…」
普段こんな早い時間に起きない妹が起きてきた。
「おう瑞葉、おはよう。どうしたんだ?こんな時間に」
「なんか、音が聞こえてきて、美味しそうな匂いがしてきたから、何かなぁって思って…」
「えっ?ご飯作る音、そんなにうるさかった?」
音は確かに響いてたと思うけど、そんなにか?
「う~ん、そうだと思うけど、私、神経質だからちょっとの物音で起きちゃうから、仕方ないよ」
「あ、あぁ~、そうだったな。いつも、俺がドア開けた音で起きちゃうんだっけ?」
「うん」
妹、佐上瑞葉は現在中学3年生。俺たち家族の前では普通に接しているが、家の外ではかなり物静かで、特に男子とは接していないようだ。
「ごめんな、俺のせいで早起きさせちゃって。もうちょっと寝てたかったろ?」
「いいよ、お兄ちゃん。たまには早起きするのもいいかなって思うし」
心優しい妹だ。俺を気遣ってそう言ってくれるなんて。
「ありがとう。そう言ってくれると助かるよ」
それを聞いて妹は、笑顔でうなずいた。
「そうだ瑞葉、朝ごはんどうする?」
俺は一般人程度は食べるが、姉と妹は少量しか食べないのだ。食べない、というよりは、食べられないのだ。
「いつも通りでいいよ」
「おう、了解」
いつも通り。今日がいつもと少し違う日なのは事実だが、それを省けば、確かにいつも通りということになる。
「そっか、お兄ちゃん、今日入学式だっけ?」
「そうだよ」
「もしかして、今日早起きしたのって、それが理由?」
「もしかしたらそうかもな」
ハハッと笑いつつ、自分の朝食を皿に盛り付ける。
「ほれ、できたぞ」
「今日も美味しそうだね」
自分のために作った朝食を妹に差し出した。その理由は、あまり食べない妹に先に食べさせて、残りを自分が食べた方が効率がいいと考えたのだ。それから、ずっとこういった朝食が続いている。しばらく瑞葉がちょっとずつ朝食を食べていたが、
「お、お兄ちゃん」
瑞葉が朝食を食べるのを止めて、唐突に俺を呼んだ。
「どうした?」
「あ...あのね?」
なぜか頬を染めつつ、もじもじしながら言葉に詰まる妹。
「何?どうかしたのか?」
「き、今日...」
「今日?」
おうむ返しで問い返す。
「今日、その...一緒に、出掛け...ない...?」
「出掛ける?」
「う、うん...。ダメ...?」
「いや、全然いいんだけど、どこに出掛けるんだ?」
今日、俺の高校も瑞葉の中学校も両方入学式があるから、昼からは完全にオフで、暇なわけで。
「特にどこかに出掛けるんじゃないの」
「適当に出歩くってことか」
「そ、そう」
まぁどちらにしろ暇だしいいかな?
「その、新しくできたお友達と遊んだりする予定ができたら、無しでもいいから、ね?」
「優しいな、瑞葉」
俺は瑞葉の頭を撫でてやった。
「ふぇ...」
「友達と接することも大切だけど、瑞葉たちと接する方が、もっと大切だ」
俺は、この家族との触れ合いを、人一倍大切にしている。理由は...
「お兄ちゃん...。ありがとう」
理由は、俺はこの家の人に引き取ってもらっている、いわば、居候なのだ。捨て子、というわけではない。実の両親は、母は俺が幼稚園児の時に、父は俺が小学校にあがる年に二人とも病で他界してしまった。叔父と叔母もすでに他界してしまっており、引き取ってくれる人がいなかったのだ。近所の人も家計が厳しく、引き取って育てるのは困難なため、苦い顔をしていたのを覚えている。そこにやってきたのが、この家族だったというわけだ。
「気にすんな」
ここの両親は出張する事が多く、その日も俺が住んでいた近所に出張してきていたのだ。そして事情を聞き、俺を引き取ってくれたのだ。自分たちにも、二人の姉妹がいるにも関わらず。
「俺がそうしようって決めたことだからな」
「うん」
そして、俺はこの家にやって来た。俺の名字も佐上に変わった。つまり、俺の本当の名字ではないという事だ。
「ご飯、もういらないのか?」
「うん、ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした。んでもって、いただきます」
俺は口数が多い方ではなかったため、この家族に溶け込むのは難しいと思っていた。しかし、
「...んにゃ~?何で二人ともこんなに早いの~?」
それは、この姉こと、佐上榎那さんが解消してくれた。
「榎那姉こそ、いつもより早いじゃん」
「ま、そうだね。なんたって今日は、スバルが入学してくる日だからねぇ~。珍しく朝からテンション高いぜ」
榎那姉は、俺より1つ上の高校2年生で、運動神経抜群のスポーツマンなのだ。いや、スポーツウーマンというべきか。なので、常に元気ハツラツで、良く言えば人見知りをしない、悪く言えば遠慮がないので、俺とも真っ先に打ち解けた。もともと俺はこの家族に対して悪い印象は持っておらず、むしろ良い印象を持っていたので、凄まじいスピードで打ち解けた。そこから、この家のお母さん、お父さんと親しくなっていき、最後に瑞葉と打ち解けたのだ。
「それじゃあお兄ちゃん、私、着替えてくるね」
「おう、ついでに歯も磨いとけよ」
「は~い」
始めは瑞葉に近付くだけで逃げられていたのが、ここまで親しくなったのだ。しかし逃げられていたのも、今思えば仕方なかったことだな。なんせ、かなりの恥ずかしがり屋の人見知りなのだから。現在も、男の友達はいないらしい。
「榎那姉は、朝ごはんどうするの?」
「今日はご飯と味噌汁な気分だな」
「了解、ちょっと待っててくれよ」
「じゃあその間に、瑞葉と着替えてくるにゃ~」
「はいよ」
と、榎那姉はリビングを後にしたが、
「あ、そうだ」
と言って再び戻ってきた。
「ん?何?」
「ご飯と味噌汁の量、少なくていいからね?」
「分かってるよ」
「さすがスバル、分かってるね~」
そう言って再び、着替えに行った。今日も今日とて、いつもと変わらない、いい朝だ。
「さて、行くか」
洗面所にある鏡の前で、変なところが無いか確認して玄関へと向かう。
「お兄ちゃん、新しい制服って言っても、校章が変わっただけだもんね」
「まぁな」
これに関しては、苦笑いで返すしかない。
「でも、変な緊張しなくて済むんじゃないかな?」
「それもそうだな」
話をしつつ靴を履き、登校する準備ができたのだが、
「瑞葉、榎那姉知らないか?」
「え、知らないよ?何で?」
「俺、今日から榎那姉の高校通うだろ?だからこれから、一緒に登校しようって誘われたんだ」
「そう...なの?」
「あぁ。なのに、遅いな...」
靴があるから、家の中にいることは確かだが...。
「まさかお姉ちゃんも昴さんを狙ってるの?いつから...?」
なにやら隣で瑞葉がブツブツ言っている...。
「どうした、瑞葉?」
「エッ!?ナニモナイヨ!?」
明らかに喋り方がおかしい。追求しようとした時に、
「待たせたスバル!姉ちゃん、おめかししてた!...って、瑞葉もいたのか?」
榎那姉によって中断させられた。
「何よその言い方」
「当たり前だろ?瑞葉1人だけで登校なんてさせられるか」
「お兄ちゃん...」
「私は1人で登校してたのに!スバル酷い!」
ウッ...、痛いところを...。
「いや、それは、ほら、榎那姉は常に元気だから、心配ないかな~、みたいな」
「それ以前に、私は女の子なんだよ!」
「わ、悪かったよ。今日から一緒に登校するから、な?」
なんとか榎那姉をなだめる。
「...お兄ちゃんとの二人きりの時間が...」
「ん?何か言ったか、瑞葉?」
「ううん、何でもないよ」
なんか、妹のご機嫌が悪いような気がするんだけど...。何かしたのかな、俺。
「そりゃ、嫌だよね~?二人の時間を盗られたら...」
「は?二人の時間?」
「も、もう!お姉ちゃん!!」
「ムフフ~。さ、行こうか。瑞葉、スバル!」
「ム~。お姉ちゃんのバカ...」
「????」
俺はただ、疑問符を大量に浮かべていた。
「じゃあお兄ちゃん、また後でね」
「おう、学校終わったらそっちに迎えに行くから、校門で待っとけよ」
「うん!」
そう言って、妹の瑞葉と別れた。瑞葉の中学校は俺たちの高校と、途中までの道のりは同じなのだ。
「なぁスバル」
「何だ?榎那姉」
瑞葉と別れたあと、すぐに榎那姉が話しかけてきた。
「あんなに普通に見えるわが妹様が、学校ではかなり無口の中学生に見えるかい?」
「...いや、全く見えない。いまだに学校での瑞葉と家での瑞葉が同一人物だとは思えない」
「だよな...」
二人して、妹様の将来が心配になった。
「さて、それじゃ、行こうか」
「おう」
そして再び歩き出した。なんだか、やっと話せたって感じだ。瑞葉と別れるところまで、なぜか場の空気が重く話そうにも話せなかったのだ。瑞葉は俺にくっついたままだったし、榎那姉はそれを笑いをこらえるように見てただけだったし...。しかし、なんだったんだ?瑞葉のやつ。
「それはそうとスバル」
「何だ?榎那姉」
適当に榎那姉と雑談をしていたのだが、急に真面目な顔をして言ってきた。
「もしかしたらお前、入学式の日早々、浮くかもな」
「...何を急に」
いきなり何を言っているんだ?榎那姉。
「実はお姉ちゃん、学校じゃあ、『高嶺の姫』って呼ばれてんだ」
「高嶺の...姫?」
「意味は高嶺の花と一緒だよ。要するに、『手の届かない姫のような存在』ってことだ」
「...はい?」
解読不能な言葉が飛んできた気がする...。
「榎那姉が、高嶺の...花?...『高嶺の姫』?」
「そうだよ?私、学校じゃあおしとやかなキャラだから」
「いや、だって...。小学校から中学校まで、榎那姉のそんな素振り、見たことなかったんだけど...」
「そりゃ当然。高校から作ったキャラだからね」
...なんなんだ、この姉妹は...。家と学校とのキャラを分けてんのかよ。瑞葉は、家では普通で学校では無口の中学生。榎那姉は、家ではテンション高くて学校ではおしとやかな高校生...。意味が分からん。
「ま、そういうことだから、私とこんなに仲良く登校しようものなら...」
「...面倒ごとになりそうだな」
俺は素早く後方にさがった。
「嘘だよ、スバル。そんなわけないでしょ?」
...いいや、嘘じゃない。なんとなく感じていたんだ、周りからの視線を...。ここまで登校してくるのにも、高校の生徒たちが俺たちを抜かしていったのだが、そのたびそのたび生徒から視線を感じていたのだ。鋭い視線を...。
「榎那姉、先行ってくれ。俺はあとから行くよ」
「ダ~メ。一緒に行くの」
追いかければ俺が逃げるのを分かっているのか、榎那姉はそこから動こうとしない。
「......」
「......」
このまま突っ立ったままの時間を過ごすのは無駄だな...。
「はぁ~…。分かったよ」
結局、俺が折れて負けるんだよな。
「分かってるね~、スバル」
再び二人で歩き出すのだった。
最後まで見てくださってありがとうございます。
中途半端なところで終わっていますが、なるべく早く続きを投稿しようと思っています。
くどいですが、皆さんの意見をお聞きしたいと思っていますので、よろしくお願いします。




