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《Over World》Online 改   作者: 川岸雑草
第二章 はじまりは加速へ
5/7

死と本心






 ゲームからのログアウト不能に陥った次の日、俺はサキとエンドと別れた後、ポーションを買ってから、草原の奥地へ向かいスライムと闘い、地道にLvを上げていた。

 あの忌々しいイベントの後、メニューウィンドウから戦技スキルアーツを確認してみると剣技ソードスキル「スラッシュ」が追加されていたため、戦闘も楽にこなせるようになっていた。


 「死ぬ」という証は無いが、「死なない」という証も無い。


 このリアルな世界で、戦闘に嫌悪が無い訳ではない。


 死に対する恐怖が無いと言えば嘘になる。


 そんな葛藤を続けながら戦い続けていたら、Lvもいつの間にか3に、職業Lvも2になっていた。

(Lvが基礎能力、職業Lvが熟練度)

 休憩しているときに、サキからチャットが飛んできて状況を報告してくれた。

 サキとエンドはギルドを探していたが、開設条件のおかげでいまだギルドは殆んど無く途方に暮れていたところに声をかけられ、その人と意気投合した末に、一緒にギルドを作らないかと誘われたらしい。

 今は、その人とPTパーティーを組んで知名度を上げてからギルドへの参加者を募ろうと思っているらしい。

 その人は女性らしく、また今度会って貰いたいということだった。


 俺もそんな仲間をいつかは・・・・見つけよう。そんなことを考えた後、そろそろゴブリンと戦おうと思い、草原の奥地へ向かった。

 いまだ草原では大人数で囲んでのスライム狩りが行われているが、ソロで狩りをしているのは、俺を合わせて数えられる程度だった。さらにゴブリンを狩りにいった集団は、両手で数えられるだけしか居らず、その中にソロプレイヤーはいなかった。


 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 

 俺は公式サービス開始前と同じように、周りを警戒しながら、単体で行動するゴブリンだけを狙った。他にもPTで来ていた集団は、単体ではなく、複数体のゴブリンと戦い、かなり苦戦している様が伺えた。




 ゴブリンは群れで動くのが基本らしく、単体で行動しているゴブリンを探すのは骨が折れた。それでも、二体のゴブリンをそれぞれ苦戦しながら倒し、次の標的となるゴブリンを見つけ、今までそうしてきたように敵の攻撃を剣で防御した瞬間、「バギィン」という音と共に、剣が真っ二つになっていた。

 スライムはかなり軽微だが、酸属性を持つ。それでも耐久度の低い、初期の剣には効果がある筈だ。さらに俺は剣で攻撃と防御も兼用していたため、戦い続けた結果、耐久力の磨耗が通常よりも早くなり、現在、強力な一撃を受け、ついに破損してしまったのだろう。

 相手が鉈を振りかぶるのが見える、思わず目を瞑ると全身の筋肉が強張るのを感じた。

それでも、体はこの半日で沁みこんだ動作を繰り返し、反射的に頭上で柄だけになった刃を構えるのが分かる。

 次の瞬間、「ガキィン」という刃と刃のぶつかる音が聞こえた。

 驚きから目を見開くと、仰け反って、口をあんぐりとひらいたゴブリンと目が合った。

いつそうの間にか修復されていた剣を構え、モーション発動から「スラッシュ」を発動しゴブリンの首を一刀両断にする。

 ゲームだったら爽快感を得られたかもしれないが、今となってここは現実、それも現実リアル、不快感が募るだけである。

 ゴブリンのHPが0になったのを確認すると共に、Lvアップのファンファーレと共に、目の前に半透明のウィンドウが表示される。



『     称号【破滅と創造主】を獲得しました

      

      固有スキル【創造クリエイト】を取得しました


      スキル【魔力貯蔵マナ・チャージング】を取得しました     』



 俺はそれを興味深げに眺めたが、過度の緊張と、死への恐怖に晒されたストレスからなるダルさが勝ったらしく、「はじまりの街」へ帰還し宿を取った。

 結局、今回も銀鷲は俺の頭上を飛びまわっているだけだった。


 辺りは、いつの間にか朱に染まっていた。


 なぜ、剣が修復されたのか、あの称号とスキルは何だったのか、疑問は多くあるが、思考を断ち切り、布団に入ると溢れ出る眠気に身を任せ、目を閉じた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 起きたときには日が変わっていたが、まだ深夜だった。

 二度寝する気分にもならず、メインウィンドウにあった掲示板という機能から、情報を集めていた。


 分かったことは、

・仮想世界で死んでも、現実世界で死ぬわけではない。

・装備できるスキルカード、つまりスキルスロットは はLvが5上がる度に1つ増える。


という二つだった。

 このおかげでこれから安心して狩ることができる。

 スキルカードについても装備数に上限があるなら、自分の戦い方に合うカードについて考えておいたほうがいいかもしれない。

 それともう一つ、気になっていた称号とスキルについて説明を読むことにした。


称号

【破滅と創造主】

条件:最速にして最低、武器を破壊せし者

能力:武器破損率上昇【中】

獲得:【創造】【魔力貯蔵】


固有スキル

創造クリエイト

条件:【破滅と創造主】の獲得

能力:固有武器の作成

サブ:破損武器の修復(30秒以内)


スキル

魔力貯蔵マナ・チャージング

条件:なし

能力:スキル保持者から魔力を吸収し、貯蔵する。(戦闘時使用不可)

サブ:ポーション作成、素材不要。 【魔力回復マナ・ヒーリング】修得可能


 えっ、何?【創造クリエイト】?

 えっ、えっ?・・・俺は鍛冶屋じゃねぇーーーーーーーーーーーー!!




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