公園でコカ・コーラ
「私には、かっこよく見えたよ」
「あー、早く家で聞きたい!」
あの後俺達はゴール地点のCDショップに着き、CDを買った。今はその帰り道だ。
麻弥は買ったCDを早く聴きたいためか、歩くスピードがいつもよりずいぶん速い。
俺はついていけず
「先に帰っていいぞ」
と言ってしまった。
「まじ!じゃ帰るわ!じゃな!」
麻弥はドッピューンと音がしそうなくらいの速さで走り去っていった。
「・・・静かだ」
俺は歩くスピードを減速し、ゆっくり歩いていくことにした。
今歩いている道路はあまり車が通らず、わりかし静かなところなのだ。
俺は静かなところを一人で歩いているときの、心が落ち着くような感じがなんとも好きだ。
後、人がいない公園っていうのも、なかなかいい。
とっても心が落ち着く。
「お、ラッキー」
通りがかった公園の中を覗いてみると誰もいない。
あそこの自販でペプシでも買ってベンチに座って飲もう。
しかし自販にはペプシは売っていなく、仕方がないのでコカ・コーラで我慢することにした。
チャリンチャリン
ピッ
ゴトッ
俺は出てきたコーラを持ってベンチに座った。
プシッ
ゴク・・・ゴク・・・ゴク・・・
「ッアー」
渇いた喉にコーラの刺激が気持ちいい。
あー・・・落ち着く・・・
この公園に、ただなんとなく来てみたのはいいが特に何もすることがないので、しばらく景色を眺めていた。
小さかったときはよくここに来て遊んだなー。かくれんぼとか鬼ごっことかサッカーとか・・・
この公園にはたくさんの思い出がある。
他にどんなことして遊んだっけー・・・
どんどん昔の思い出に浸っていく俺。
ずいぶん時間が経ち、コーラもだいぶぬるくなってしまった。しかし俺はあまり気にせずにコーラを全部飲みほした。
そんな俺はまだ昔のことを思い出していた。
「あそこで俺コケて怪我して泣いたなぁ・・・」
くっくっくっと一人で笑ってしまった。
すると、突然
「なーに笑ってんのよ?」
俺はびっくりして後ろを振り返った。
「げっ・・・」
そこには俺と同い年の、藤中空が立っていた。
「乙女に向かって“げっ”とは何よ。もう」
「え・・・いや・・・その・・・」
見られたか・・・
空は俺を気にも止めずに二人ではきついであろうベンチに無理矢理座ってきた。
「もっとつめれないの?」
「これ以上は無理だ」
「もう、しょうがないわねぇ」
「それはこっちの台詞だ」
「はいはい」
ったく。
こいつは小学校の頃の女友達である。しかし中学の入学前に転校してしまった。
それから会うことはなかったのだが、なぜかは知らないが空は俺と同じ高校を受験して、見事合格したのだ。俺はエスカレーターのおかげで受験はしなかった。
確か今はD組だった気がする。だから特に話をする機会はなかった。
「良介とさ、こうやって話すの久しぶりじゃない?」
狭いベンチのせいで、いやでも肩が触れ合ってしまう。
「そうだな、同じ学校なのに話すことは少なかったもんな」
クラスの階層が違ったからだ。
・・・しかしこいつ小学の頃と比べるとずいぶん変わったなーと思う。あんな顔だったのに、今はけっこう美人になっている。女って分からないな・・・
「・・・私の顔見てどうしたのよ?」
しまった。見つめてしまった。
「ん?変わったなーと思って」
「そりゃあ小学のときからすれば変わったわよ。当たり前でしょ」
「まぁ、そうだけど」
OK、誤魔化し成功。
「ところで、さっき何で笑ってたのよ?危ない人に見えたわよ?」
危ない人って・・・
「昔はこの公園でよく遊んだなーと思ったら、いろんなこと思いだしてさ。そしたら・・・」
笑ってしまったんだ。
「私はあんまり覚えてないなー」
「一緒にサッカーやったりしたことあるぞ」
「そうだっけ?」
「そうだよ」
「そうだったかもね」
「そうだったんだよ」
「はいはい」
「むぅ・・・」
ったく、こいつは・・・
「あの・・さ・・・私が転校する三日くらいの前のこと覚えてる?」
「いや、ぜんぜん」
さっぱり覚えていなかった。
「こういえば分かるかな?私が年上の男の子にケンカ売られちゃって、どうすることもできなかったときに良介が手をひっぱって、「逃げろッ」って私を助けてくれたときのこと」
「んー・・・」
何となくそんなことがあったような気がする。
「覚えてる?」
「あの時は恐かった。だからただ手をひっぱって逃げただけで助けたわけじゃないと思うけど?」
確かにあの時は無我夢中で逃げたとにかく恐くて。だって三歳以上も上の人だったんだから。
「まぁただ手をひっぱってくれただけかもしれないけど・・・でもね、あの時手をひっぱって一緒に逃げてくれた良介は・・・」
そこまで言うと空はベンチから立ち上がり、くるりと向きをかえて俺のほうを見て
「私にはかっこよく見えてたよ」
と言った。そのときの空は小学校の頃と変らないあどけない笑顔だった。
少しドキッとした。
「あれ?良介顔赤いよ?もしかして・・・?」
今度はいやらしい笑みを浮かべながら言ってきた。
「んなわけねーだろ」
そう言って俺もベンチから立ち上がり、飲み終わったコーラの空き缶で空のおでこを軽くたたいた。
ポコン
といい音が鳴った。
「いった〜い、よくもやったな!」
空は恨んでやる。という顔をしている。表情豊かなやつめ。
「罰として私を家まで送り届けることっ」
空き缶をごみ箱に放り投げた俺は、別にそれでもいいか。と思った。
「どこだよおまえん家」
「あんたん家から二十分くらいかかるところ」
「あっそ、じゃ行くか」
「えっいいの?」
「おう」
空は自分が言ったにもかかわらず、キョトンとしていた。
「空ーいくぞー」
「うん!」
公園から出るとき、ふと、空を見てみると夕日が鮮やかな紅色で辺りを照らしていた。
それはまるで、俺と空の小学校以来の再開を祝福してくれているかのようだった。
俺は歩きながら空に話かけた。
「空」
「何?」
「またサッカーしようぜ」
「いやよそんなの」
「やろうよ」
「いーやだ」
「いいから、いつかまたやろうぜ」
「もう・・・一生言ってなさい」
「分かった、やるまで一生言ってやるからな」
そう言った時、空は少しうつむき加減で
「・・・ちゃんと一生言い続けてよ?」
と、少し恥ずかしそうに声をひそめて言った。
「言われなくても一生言ってやるよ」
「・・・うん」
夕日のせいでよくは分からないが、空の顔が恥じらいで赤く染まったように見えた。
「??」
俺、なんか変なことでも言ったかな?
と思い空を見ていた。
「あんまり見ないでよ・・・もう」
「お、おう」
やっぱりいろんな意味で女って分かんねーな・・・。
あい!どうも!DOGOONでっす。
読んでくださり感謝感謝!
今回はついに登場「空」ちゃんです。
結構愛着のあるキャラです。色々小説を書いてきたのですが、必ず空という名前のキャラを出すようにしています。今回も例外ではないっ!(爆)
で、今後の空ちゃんは、ぶっちゃけ緋奈の恋敵になります。
で、良介には緋奈と空のどっちをくっつけようかなー・・・と悩んでおるのです。
そっこっで!皆さんにどっちがいいか教えて欲しいです。自分はどっちがいいかーとかこっちはいやだーとか・・・それによって今後の内容変えていきたいと思っています。
ではでは今回はここら辺で・・・
次回も是非是非読んでたもれ!