表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

第二話 蠢く銀塊

輝きの星は輝きを失い、銀の海は朱の大地へと変わった。


朱の大地により生みだされた雲は全てを覆い尽くした。



雲は光を退け、雨を生みだした。


雨は大地を濡らし、新たなる海を生みだした。


僅かに残された水銀の海は新たなる海の底へと沈んだ。



かつての水銀の星から銀の色は消え去った。



雨の海は波打ち、朱の大地をゆっくりと削り溶かし、その成分を取り込んでいった。


朱の大地から生み出された小さな塵たちは雨の海を浮遊し、次第に数を増やしていった。


光ささず、熱もない、暗く冷たい海の中では、塵はただ永劫漂うだけだった。



そこへ変化が起きた。



冷たい雨の海に突然熱が生まれた。


海底の奥深くから水銀が熱を連れて蘇った。



かつて雨の海に抑圧された水銀は、いつしか海底の底の底へ潜り込むことを思いついた。


そこで出会った熱という武器を掲げ、復讐の時を待っていた。


それが今だった。



水銀の復活は雨の海を一変させた。


水銀は、漂う塵を、雨の海を、熱という武器で支配し、己に取り込み始めた。


熱が変化を生み、変化は更なる変化を生んだ。


時を駆け、積み重なった変化は水銀を大きく変えた。



それは、銀の塊としてそこに存在していた。


海の底で(うごめ)くその銀塊は、静かに、確実に、大きく、多く、賢く、強くなっていった。


星が再び輝くことを想って。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ