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言ノ葉の陰陽師  作者: 東宮 千暁
第一章 覚醒編
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第8話:『汚れた霊言』

本日も更新です!

「……これを見てくれ。最初は単なる術式だと思っていたんだ。でも違った。何か、不安定な術式だと感じる」

 その日の晩。千代田陰陽相談所の奥にて、解析用のモニターを見つめている縁の顔からは、いつもの余裕な表情が消えていた。

 湊は言われるがままに、その不可思議な術式が表示している画面を覗き込む。

 そこには、律から頂いた()()()()の内部構造が示されていた。

 「この術式の組み方……何処かで見たことは?」

 「……いえ。でも、ひどく不快な術式を感じます」

 湊が感じたのは、生理的な嫌悪感だった。しかし、湊にはこの術式に既視感も覚えていた。

 大学で教わる標準術式は、数式のように綺麗で効率的だ。しかし、この核埋め込まれた術式はまるで、遺伝子は存在するのに設計図が存在しないような。つまり、一部の術式は形だけしか刻まれておらず、術式としては成り立っていなかった。

 「これは、壊れた術式なのかもしれない」

 縁がポツリと漏らした。

 「昔、言ノ葉家という一世風靡をした一家があった。その一家が扱う術式は知らぬが、様々な術式や妖怪に直接当てる術式だという都市伝説があるそう。今現在、言ノ葉家というものが存在しているかは知らぬが、昔、当主が事件に巻き込まれてなくなったと聞いたことがある。更に、殺した犯人かその術式を持ち出したと噂されている。ただ、特殊三大家の術式は血縁者しか再現できないらしい。だから、何故持ち出したかなどは不明のままだ」

 「…………」

 湊は沈黙した。

 「言ノ葉家に関係があるかどうかはわからないが、この異様な術式何か関係があってもおかしくない。どう思う?湊くん」

 「…………」

 言ノ葉家の術式について保管されている蔵は、今も厳重に保管されている。そして、湊の記憶上述式が盗まれたということはありえない。だが、父が亡くなったあの事故の夜。現場には今目の前にある不快な術式を可視化したような、黒い澱み(よどみ)が残っていた事を、幼い湊は鮮明に覚えていた。もしかしたら、不完全な霊言術式なのだろう。霊言は直系以外、扱うことができないのだから……。

 「(あの時、父さんを殺したのは、不完全な霊言だったのか?一体誰が……。)」

 その時、事務所の固定電話から、静寂を切り裂くように鳴り響いた。

 ディスプレイには『非通知』。縁が警戒しながら受話器を取る。

 『……千代田さん、助けて……!』

 電話の向こうで聞こえてきたのは、律の悲痛な叫びだった。

 『寮の人が僕を連れて行こうとしてるんです!暴走の再調査が必要だって……でも、あの人達、何か変なんです!影が……影が笑ってるみたいで……!』

 「律くん!?今どこだ!」

 縁の問いかけに答えるよりも早く、電話の向こうで何かが砕ける音がし、通信は途切れた。

 「……湊くん、行くぞ」

 縁はデスクの引き出しから、古い刻印の入った重厚な八雲端末を取り出した。さらに、別の機器も用意して発信場所の特定も急いだ。

 「寮の内部に、偽物が紛れ込んでいる可能性がある。……これは、敵側と全面戦争になりそうな予感がする」

 湊は無言で頷き、上着を掴んだ。

 胸の奥でかつてないほどの使命感や怒りが湧いてきた。紙代家の律を救うことからが、言ノ葉家の過去の精算と繋がるような気がしている。

 二人は夜の御雲へと、弾き飛ばされるように飛び出していき、律を救いに行くのだった。

読んでくださりありがとうございました!

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