表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
言ノ葉の陰陽師  作者: 東宮 千暁
第一章 覚醒編
11/16

第10話:『影の立役者』

本日も更新させていただきます!

「……律くん!」

 湊の視線の先には律を抱えている一人の男が、黒い細い糸のようなもので血を吸い上げていた。律の顔面はだんだんと青白くなり、制服は式神が砕けた破片でなのか、破れてひどく傷ついて赤く染まっていた。

 「紙代のガキは死なん程度に搾り取れ。……また邪魔するのであれば、貴様らの血も拝借するまでだ。少しは役に立つだろう」

 偽であろう、寮の隊員たちが一斉に地面を蹴り上げ一直線に湊たちを襲いにかかる。その動きは、まるで操られているかのような人離れしており、空間を滑るように距離を詰める。

 「湊くん、合わせろ!左は俺が受け持つ!」

 「了解!」

 縁が古い端末をスワイプし、彼の周囲に十数枚の符が螺旋(らせん)を描いて展開された。

 「急々如律令きゅうきゅうにょりつりょう――『雷鎖(らいさ)』!」

 縁の放った鎖の電撃は、影の動きを強引に縛り付ける。出力不足といえど、その精密な術式は敵へと一直線に向かう。

 影が鎖によって一瞬緩んだ隙を見逃さず、湊が踏み込む。

 手には標準術式が刻み込まれた符はあくまで目眩まし。湊は敵の懐へ踏み込み、影が笑う本体の根本へと符を投げる。

 (不完全な霊言のような術式……)

 「……(『散れ』)」

 唇の動きだけで紡がれた言葉。しかし、思わぬ人物の登場によって術式の発動を途中で中断する。

 地下室の奥、最も暗き部屋から、巨大な光の円環が浮かび上がり、袖にある紋章がはっきりと目視できるくらいに見ることができた。

 そこに刻まれていたのは、星占術(せんせいじゅつ)を行う特殊三大家が1つ。()()()の流星の紋章。

 「……天道家の紋章だと!?」

 縁が驚愕に目を見開く。

 占星術は未来を予知する術式。それを展開した瞬間、影たちは呼応したかのように、一等星のような光で自分たちの身体を爆ぜさせた。

 「律くん!」

 湊は極光の爆風の中、律を救い出し、身体を抱きかかえる。

 腕の中の律は、意識を失っているがわずかに呼吸しているのを感じられた。

 「……今日はここまでだ。強き陰陽師よ。血は十分頂いた。天の導きからは何者も逃れられん」

 複数の声が重なったような不気味な嘲笑と共に、天道の紋章を纏った謎の影は壁の奥へと吸い込まれていく。湊が追おうとするが、影は壁で霧散し、ただ冷たいコンクリートの壁が残されるだけだった。

 「待て……っ!」

 湊の叫びは虚しく、影は跡も形もなく消え失せた。

 静寂となる地下室。

 散乱した、符や式神の残骸。寮の隊員の影の跡。そして――。

 「……湊くん、見失った以上深追いは無理だ。まずは律くんを運ぶぞ」

 縁が湊の方に手を置き、虚しい笑顔を見せる。

 湊は律を抱えたまま、敵が消えた壁を静かに見つめていた。

 自らの家系と酷似した霊言の術式。そして、あろうことか三大家である天道の紋章。

 救い出した律の体温が、湊の腕の中で伝わってくる。

 平穏な大学生活は崩壊し、霊言と父の事件を追うことへと変化するのであった。

読んでくださりありがとうございました!

至らぬ点などありますので、誤字脱字など気になった点はぜひ感想などもよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ