宿題はちゃんとやろう
六作目です。自分で言うのもなんですが、なんでこんな作品作ったんだろうと思います。
それでも読んでいただけたら嬉しいです。短いので。
八月一日
家でゴロゴロしていると、目の前に俺が現れた。もう一人の俺曰く、八月三十一日からやってきたらしい。なんでも夏休み中に遊びすぎてあと数量の宿題をやり忘れてしまってやばいそうだ。だからそんな悲劇を回避するために、1ヶ月前に飛んできたと言うわけだ。正直いきなりそんなこと言われてもピンとこないし、そっちでなんとかしてくれって思った。俺は他人のふりをした。もう一人の俺は後ろでしばらくガミガミ言ってた気がした。
八月八日
もう一人の俺は早く宿題をやれだの、家でダラダラばっかするなだの、まだガミガミ言っていた。夏休みはまだまだあるんだから良いじゃないかと呆れていたけれど、あまりにもうるさいから仕方なく宿題をやることにした。国語の漢字ドリルや数学の計算問題のプリントなどの比較的楽なものから片付けていき、面倒な宿題はもう一人の俺も協力して取り組んでくれた。ただ、自分と同じ頭脳だからなのか、あんまりはかどりはしなかった。ちょっと休憩するつもりで漫画を読んでいると、もう一人の俺がお袋の如く叱ってきた。でも少し目を離すともう一人の俺もテレビゲームをし始めたので、普通にキレた。その後はぎゃあぎゃあと喧嘩になって、しっちゃかめっちゃかになった。宿題はあんまり進まなかった。
八月十六日
二人で協力した意味はあったのかわからないが、なんとかほとんどの宿題を終わらせることができた。俺たちは舞い上がって喜びを分かち合った。今まで自分がもう一人いることに対してすごく違和感があったが、いつの間にか馴染んでいた。残りの宿題は読書感想文や自由研究だけだったから、俺たちは久しぶりに夏休みを楽しんだ。漫画読んだり、ゲームをしたり、うまい飯食いに行ったり、公園でサッカーをしたりもした。兄弟がいたらこんな感じなのかな〜と物思いに浸っていたら、なんだか楽しくなった。もう一人の俺も楽しそうで、開放感があった。
八月二十四日
あれから友達とプールに行ったり祭りに行ったり花火をしたりもう一人の俺と入れ替わりごっことかもして夏休みを全身全霊で楽しんでいた。今日は近くの森にカブトムシを捕まえに行った。カブトムシはいなかったけど楽しかった。何か忘れている気がしたけど気にしないことにした。あと昼に食べたアイスが美味かった。
八月三十一日
やっちまった。
読書感想文と自由研究のことをすっかり忘れていた。なんでもっと早く気づかなかったのか、それとなんで計画的に取り組まなかったのか自己嫌悪に陥った。今からやっても確実に間に合わないし、絶望な状況だった。そんな俺に、もう一人の俺はこんな提案をしてきた。こうなったらもう一度過去に飛んで今度こそ俺自身に宿題を終わらせてもらうしかないと。そう言いながら時計の絵が彫られている石を俺に見せ、こいつを掴めと言わんばかりに差し出した。どっからそんなの手に入れてきたんだと思ったが、その前に早く宿題を終わらせなければと言う気持ちが勝ち、石を握った。
今思えば、宿題が終わらなかったことを除けば、もう一人のおかげもあってけっこう充実した夏休みを過ごせることができた。そんな時間を無駄にしないために、俺たちは完璧な夏休みの終わりを迎えなければならない。
俺は決意を胸にもう一人の俺とともに時間を飛んだ。全てはあの日から始まった、八月一日
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*
パタン
俺は書いていた夏休みの宿題の日記を閉じ、後回しにするように机の隅に置いた。
「アホらし。宿題ちゃんとやろ」
八月一日
俺は宿題の一つである漢字ドリルに手をつけるため、もう一度ペンを取った。
終
読んでくれた皆さま、そうじゃない読者の皆さまもありがとうございます。
明日になったら忘れそうな内容だったかもしれませんが、一言だけ言わせてください。
宿題はちゃんとやろう。




