佐藤ジョシの日記帳⑦2020年14月4日ー①
2020年、14月4日。午前10時半。
見本が見たいから、井奈香公園のテニスコートに到~着!
さてさてーあの子はどこにいるのかな~?
……
……
ふむふむ……
ふむふむ……
だーーれもいない!
……いや。わかってた。
わかってたよ!
人間って会いたいからって急に会えるもんじゃない。現実はこんなもん。
私、残酷な現実につけられてしまったわ。
……
ええと、待てよ。
じゃあ私、何のために来たんだ?!
……いや、見本を見るために決まってるだろー!
……
とりあえず、こんな下手な自己完結のツッコミは置いといて。
私……もしかしてやっちゃった?
あのショタ子はきっといると思ってすぐ来ちゃったけど、全然人影が見えないや。
やっぱり私、やっちゃたかも。
はぁ……なら仕方ない。
ラケットも持ってないまま出かけちゃったし、ずっとここにいるのもしょうがない。
……少し外周の歩道にて散歩しに行くか(ダイエットのために)。
****
私、この公園に一周回ってきたけど、一つ気になることに気付いた(前からちょっと思ってたこと)。
この公園――人すくなっ!
あれ?今日、休みだよね?私の勘違いじゃないよね?なのに……この公園にあまり人影がない!
精々子どもの遊び場に、ご年配の方が二人くらいベンチに座っている……それだけ。
たとえ田舎の町だと言っても、これはさすがに寂しすぎる。
……何か盛り上がる方法はないのかな?
ん――どうしようかな……
いや、私が考えてもしょうがないか。
……うん!考えるのはやめよう!
もう一度外周の歩道を回ったら帰るか。
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おおぉおおー!
きたきたきたきたー!
時間は11時。
あのショタ子は公園にきた!
まさか私がちょうど公園を離れようとする時間に、あのショタ子が来るとは……偶然もあるもんだな。
って、30分前の私と全然矛盾している。
でもあの子、昼ご飯前の時間に来るんだ。
まあ、運動後のご飯はうまいからなー
……
っていうか私は今、もしかしてストーカーみたいになっている?
この子が来たから、ついテニスコートに戻ってきたんだが……フェンスドアの影でコソコソ見てるのは――ちょっとやばいかな?
不審者に思われちゃうよね?
(今、あの子はウォーミングアップ中)
……でも、仕方ないんもん!
私、どうしても見本が見たいもん!
(あの子はぴょんぴょんし始めた)
特にこの子の姿勢は……とっても綺麗だ。
(今、あの子は空振りをし始めた)
パー、ドン、ポン……パー、ドン、ポン……
(あの子は壁打ちをし始めた)
このような洗練されている動きは、決して短時間でできたものではない。きっと、いろんな練習で積み重ねた結果に違いない。
パー……ドンポン(突然、壁打ちのリズムが変わった)
……その量はきっと、素人の私でもわかるくらいに、想像を絶するほどの時間をかけていた。
パタパタパタ(突然、ボールが落とさずに打てている)
……見てると、素直に感心したくなる――いいや、素直に感心しているものだ。
ドンー、ポドン(ボールを一回も漏れず、また直接別の練習に切り替えた)
……正直、ダイエットは別にテニスでなくてもいいということくらいはわかっている。
ポン……ポン……
だって、他の運動でもあるのに、更に激しいスポーツや効率のいいやつもあるのに、わざわざテニスを選ぶ理由はなくない?
でもね――
パー、ドン、ポン(最初のやつに変わった)
――私にテニスを選びたくなる理由は、目の前にあるんだ。
あの真面目に努力している様子を、頑張っている姿を見ていたら、自然と頑張りたくなる。
パー、ドン、ポン……
面倒くさいことや、やりたくないこと(ダイエット)も、ずっと続けられる気がするんだ。
パー、スッ。
(あの子は一旦練習を止めて、休憩し始めた)
……
本当……すごい子だ。
すごくて、不思議な子。
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はぁ……
やっぱ……すごい!
すごいわ!
すごいから、もーう……あれだ!
やっぱ、コソコソ見てるんじゃなくて、ここは直接――あの子に話しかけよう!!!!
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……
……
……
……
断られちゃった(´・ω・)