三人の2020年14月43日ー⑨
ゲーム:1-0
ポイント:30-15
1対2……これは想像より手強いかもしれない。高木灯台はまた中腰の姿勢になって、どっしりと構え、二人の動きに集中する。
佐藤ジョシはド、ド、ドとボールを下に突く。ボールが手元に戻る時に、毎回軌道がバラバラで、完全に見よう見まねでやっている仕草だ。だが、その表情には楽しい感情が見える。
「……」あの楽しそうな表情を見て、高木灯台は一瞬眉をひそめた。
彼女はボールを握りしめ、一回高木灯台を見る。
二人は一瞬目が合ったが、高木灯台は一拍を置いて、高木真津芽にも注目する。
高木真津芽のほうは、高木灯台と一回目が合って、自分の姿勢を正した。高木灯台と同じく、自分の動きに集中しているようで、目を逸らさない。
高木灯台は自分の視界の広さに専念しようとするところ、佐藤ジョシは動いた。
佐藤ジョシはボールをトスして――サーブ!
ポン
球速が遅い分、今回のサーブはかなり浅いところに打っていた。
高木灯台はボールのところへ向かう途中、一瞬だけ高木真津芽の動きに警戒している。
!
高木真津芽は自分が警戒されていることに気付いて、元々動くつもりだった足元は、急に足を止めた。
この隙に、高木灯台はすでにボールのところに辿り着いて、パン!ボールを打ち返す。
ボールが飛ばしている方向は高木真津芽ではなく、逆のクロス方向――つまり佐藤ジョシのほうへ飛んでいる。
ダ
「へい!」
ポコ
佐藤ジョシのフォームが少しずれて、ラケットの面が上に向いて、打ち返したボールは若干高くなった。
普通なら、この時にもっと攻撃性のあるストレートやクロスの場所に飛ばしたい速度のある球種だが、高木灯台はトップスピンで繋いだ。
ポ 少し縦振りのグランドストローク
ボールは高木真津芽のほうに飛ばした。
高木真津芽は今回、高木灯台が打っている時、振り方が違うことに気付いて、また、ボールの速度が若干遅いため、ボールを避けていない。
しかし、少しボールに対して恐怖を感じている高木真津芽は、一歩後ろに下がって、ボールがワンバウンドしてから打ち返す。
高木灯台はちゃんとこのことに気付き、確実に覚えていた。
「……ん!」パカ
ふわーと飛んでいるボール。
ド 高木灯台は簡単に追いついた。
一回が足りないなら……高木灯台はもう一度高木真津芽のほうに狙って、今度スライスで繋いだ。
パ
「う……」二回目も自分に狙っていることに気付いて、高木真津芽は少し呻った。彼女はわかる。
標的が変わった……
ダ
高木真津芽はさっきと同じく、ワンバウンドしてから横振りをした。
カダ「あ……!」
幸か不幸か、高木真津芽は不幸にもラケットヘッドの部分で打ってしまった。幸運なところは、ボールが向こうのコートに飛べた。加えて、初心者だからこそのフォームで返球するため、自分でも思わぬ高ーーいところに飛んでいる。
だが、多少予想外だが、高木灯台は落下地点のところを観測し、すぐ目標の地点に辿り着く。
ボールが落下している途中、高木灯台はすでにスマッシュの姿勢で用意した。
ヒュー
ボールが落下し、高木灯台はパン!と。
ドン!
ゲーム:1-0
ポイント:40-15
ふ……
「ジョシちゃん!」
「はい!」
「ドンマイ!」
「いや、それ……私のセリフだと思うけど?」
「ドン・マイ!」
「あ、はい。」
また二人の作戦タイムが始まった。




