三人の2020年14月43日ー⑧
「やったね!」
「うん。」
「やったね!!」
「うん!」
二人がキャッキャッしている様子を見て、高木灯台は静かに自分の位置につく。
「次はどうする?」
「そうね……じゃあー」二人はまたコソコソと作戦を話し合う。
高木灯台は二人が話し合ううちに、自分の反省点を見つめ直す。
一回目はうまくいったから、うっかり忘れちゃったけど……相手は二人だ。試合する時、二人とも見なきゃ!こう思いながら、高木灯台はしっかり構えた。
しばらくして、二人の作戦タイムが終わった。
両方各自の位置につき、用意した。
ゲーム:1-0
ポイント:15-15
最初のサーブ。
佐藤ジョシはトスして――サーブ!
しかし、パタと。ボールがネットにぶつかって、床に転がった。
フォルト。
高木灯台は佐藤ジョシがサーブしてくる瞬間、ビクッと警戒の反応を見せた。瞬間の反応をゆるめていない。高木真津芽もその一瞬の反応を見ていた。
だから、高木真津芽は一回佐藤ジョシに止めようと思っていたが……反則にならないかと考えているため、また、佐藤ジョシはすでに試合モードに入ったため、止めるのをやめた。
~セカンドサーブ~
佐藤ジョシはトスして――ではなく、今回アンダーサーブをした。
ポン
奇襲?
少し驚いたが、高木灯台は迷いなく、滑らかな動きでボールを打ち返した。
パン!
自分に向かってきたボールが速いため、高木真津芽は反射的にしゃがんで、ボールを避けた。
ド
ボールがワンバウンドし、佐藤ジョシがボールのところへ走って、「えい!」と叫ぶ。
彼女は不格好でありながらも、ギリギリなところに間に合った。
ラケットがスッと届いて、ポンと打ち返す。
ボールがふにゃーとしている放物線で飛んでいる。
肉眼でハッキリと見える軌道で飛んでくるボールに、高木灯台はもう一度容赦なくパンと打ち返す。
パン!
「えい!」ポン
パン!
「えい!」ポン
双方何回かのラリーが続いているうち、佐藤ジョシはなぜかふふっと笑ってしまって、気を逸らした。
気を逸らした理由は――私、本当のテニスをしているみたい!である。
今までの試合経験は、ずっとボロ負けの上、まともなラリーに繋がることもなかった。だから、こうして交互に往来することがあるのは、彼女が嬉しくてたまらない。
故に、気を逸らした。
気を逸らしたから、次に飛んでくるボールを……パカと、ラケットの中心点に打てなかった。
「あ……」
チャンスボール!
高木灯台はこのミスを狙って、二人の間にボールを打ち返す。
パン!彼はうまく二人の間に狙って、打ち返した。
隙を狙われているため、二人ともボールに打つことができなくて、ボールを見過ごした。
チャリンー
ボールがワンバウンドしてからフェンスにぶつかった。
ゲーム:1-0
ポイント:30-15
だが、ポイントを取ったが、高木灯台はあまり嬉しくならない。理由は――
「ジョシちゃん!」「はい!」「ドンマイ!」「はい!」
――高木真津芽の立ち位置だった。
立ち位置の問題で、高木灯台はずっと高木真津芽に邪魔され、返球のコースが制限されている。
直接高木真津芽の方向に打ったら、ネット前のボールに反応できる時間がないし、打つ方向も予測不能……だが一方、高木真津芽の隙を狙っても、かえって佐藤ジョシに返される。
そうなると、試合の1ポイントだけで、必ず持久戦になる……
これは空間認識能力がないと、また、二人の息が合うかどうかの話でできないことだ。
面倒くさい。あまりスッキリできない。こういう気持ちは、高木灯台にとある試合の景色が彷徨わせる。
どうやら本当に……作戦を考えているようだ。高木灯台は再び二人のことを見つめている。
しかし、今度の目付きには、少し火が付いたようだ。




