三人の2020年14月43日ー④
~試合開始~
実力差があるとはいえ、人数不利なのは確かだ。だから、サーブは俺から始まる。
ド
ド
俺はラケットでボールの弾力をチェックし、地面に何回か打つ。
この20秒の間、少し状況を整理して、戦略を考える:
この試合では、実力の差で、俺はシングルスのサイドラインでやらなければならない。
これはつまり、俺からボールを返した時、相手の内側の線内に打なければならない。もし線外に打つと、アウトになる。
しかし、相手はダブルスの方式。こっちがボールを対応するとき、ダブルスの範囲で考えなければダメだ。
こっちが見ると試合の範囲が狭いのに、相手から見ると試合の範囲が広い……これ、かなり不利な状態だったな。
あと、頭が混乱しそう。
ダ。俺はボールを握りしめて、相手の方を注目した。レシーブ側は、佐藤おばさん。
そして、俺ダブルスやったことがないから、わからなかったけど……こうして改めて見ると、向こうに二人が立つと、試合の場所はこんなに狭く感じるんだ……
勉強になった。
でもまあ――俺はボールをトスして、今までの練習みたいに、宙に舞うボールを見詰め、姿勢を構えた。
――サーブは、シングルスだろうかダブルスだろうか、そのエリアが固定されている!
ボールが下がった瞬間、俺はラケットを上げ、全身の力を振り絞って、ボールの芯に――パン!と打つ。
パン、ド
ん……
「ひー!」佐藤おばさんは横にぴょんと軽くジャンプし、怯えている様子でこっちに文句を言った。
「ちょっと、速すぎるのよ!」
俺は一旦佐藤おばさんの文句を無視して、少し自分の振り方にチェックする。チェックし終わったら、それで返事する。
「……当然だろう!全力を尽くすんじゃないの?」
「ううぅ……」
“「ちょっとジョシちゃん、ちゃんと打てよ!」”“「いや君も見ただろう!速いのよ!」”“「それは……」”
俺は二人のことを後にして、こっそりとラケットのワイヤーを調整する――いや。
本当はワイヤーを調整したいわけではない。
俺はワイヤー調整するふり間、少し肩と肘を回す。
やはり、調子が変だな……
****
これは二人だけが知っているコソコソ話。
“ほら、気付いた?”
“あの動きね?”
“うん。”
“あれは……自覚がないのね。”
“やっぱ真津芽ちゃんもそう思うよね。”
“うん……このまま試合を続けていいの?”
“わかんない。でも、練習を止めても勝手に練習するから……”
“じゃあ……”
“そのために……勝つのよ!”
“……わかったわ。”
二人のコソコソ話がちょうど終わったところ、高木灯台はラケットを挙げて、忠告しているように言った。
「もういい?次のサーブするよ?」
この話を聞いて、二人はアイコンタクトしてから返事する。
「……あ、はーい!」
“頼むわよ!”“任せて!”
――だが、二人は意気投合しても、1ゲーム目はあっさりと1:0になった。




