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佐藤ジョシの日記帳㉖2020年14月31日

 2020年、14月31日。


 昼。12時間近の頃。


 佐藤ジョシは自分のベッドでぐっすり寝込んでいて、寝言まで言っている。


「&$%……ムニャむにゃ……」


 そして、彼女は寝言を言っている中、部屋の扉が「コン、コン」という音が出し、誰かに叩かれていた。当然、寝ている本人は熟睡していて、気付いていない。起きる気配もない。


 扉がもう一度誰かに叩かれていた後、部屋主が反応しないということから、こっそり隙間に開けられ、とある人の目が部屋の中に覗き込んだ。


「……やはりまだ寝ているのか。」若干呆れている口調ではあるが、最も溢れている感情は仕方ないなーという優しさの感情だった。


「ジョシちゃんー」と男はウィスパーボイスで言いながら、スーと扉を開けて、佐藤ジョシの部屋に入った。


 男はベッドの近くに近づいて、もう一度囁きの声で「ジョシちゃんー君の兄さん帰ってきたよー」と言っていた。


 佐藤ジョシの兄はもちろんこんな声量で彼女に起こせるはずがないとわかっているが、力技で起こすのは可哀想だと思ったため、ずっと小声でやり続けている。


 そして案の定、「……むにゃむにゃ」彼女は反応なし。


「……まあ、いいか。」と、佐藤ジョシの兄は起こすのを諦めた。


 元々他のところに行く途中で、少し顔を見にきただけだ。明日も会社だろうし、放っておくか。


「でも……」佐藤ジョシの兄は部屋を見渡す。


 珍しく片付いている方だなと、佐藤ジョシの兄は独り言をつぶやいた。


 見渡す限り、極めて綺麗とは言えない感じだったが、昔の有様を見てきた佐藤ジョシの兄にとって、及第点になれるところだった。


 しかし、佐藤ジョシの兄は視線があるところに見つめると、さっきの及第点からすぐ減点した。


「あー!」佐藤ジョシの兄は机に近づく。


 この皿とコップは片付けてから寝てよな!虫が湧いてくるだろう!


 佐藤ジョシの兄が見ているところは、佐藤ジョシが昨日で置きっぱなしの食器である。クッキーの食べカスが皿の上に散っていて、コップの中は僅かにミルクティーが乾いた痕跡が見える。


 幸い、佐藤ジョシの兄が考えた虫が湧いてくる状況が発生しなかったが、このような皿を片付いてない状態に溜息をついた。


 大人なんだから、もう少ししっかりしてほしいな……佐藤ジョシの兄はこう思いながら、皿とコップをトレイに載せ、持ち上げようとその瞬間――


「ん?」机に置いてある日記を発見した。


 日記は開けたまま、まるで「見て!」と言うようにパかと開いている。


 佐藤ジョシの兄にとってとても不本意ではあるが、日記の内容を見てしまった。


「……」おお、ちゃんとラケットを使っている。いいじゃん!てっきりまた三日坊主でやめちゃうと思ったけど……


 佐藤ジョシの兄が見ているのは昨日の内容だった。


 “ショタ”という気掛かりの言葉以外、特に気になる内容がない。


 しかし、自分の妹とは言え、他人の日記を見て罪悪感を感じた佐藤ジョシの兄は、早く離れようと思っていたのだが……


 パラパラパラー、と窓から吹いてきた風は、まるで運命のいたずらのように、佐藤ジョシの日記のページをめくっていた。


 本当は見たくなかったというのは彼の本心だが、ものに物音がすると、音の方向に注意惹きつかれるのは動物の本能である。


 理性と本能の戦いで、本能が若干勝る中、なるべく自分の好奇心を抑えている彼の視線は、長く見ていなかった。


 あまり詳細の内容を見ていないが、だからこそ、一番鮮明なところに、日記の一段の内容が目に入ってしまう。


 そして……勘違いしてしまった。


 佐藤ジョシの兄が見た内容は2020年14月24日の内容。


 たった一行の内容に過ぎないが、その一行だけで変な想像を膨らませてしまう。


 その一行は――“いやあ、危うく警察に掴まれちゃったなー兄さんのおかげで、危険は免れた!”とのこと。


 もし日記の日付に気付いていたら、彼はきっと“ああ、あの日のことか!”と、それで何も思わなくなるだろう。


 ただし、勝手に部屋に入ってきたこと(ノックはした)。


 また、日記を見てしまった罪悪感(見たいわけではない)。


 佐藤ジョシの兄は苛まれる良心から、彼にもう一度日記を見ようだなんて、普通にできないことだ。


 故に、不完全な情報から、また、さっき“ショタ”という気掛かりの言葉によって、脳内に無理やり点と点に繋がりで、彼は完全に勘違いしてしまった。


 以上の心境変化は、佐藤ジョシの兄が部屋を出ようとする瞬間に変わったものだった。


 佐藤ジョシの兄はあと一歩部屋の外に出ようとする時に踏みとどまって、まだ何も知らずに、ただ熟睡している佐藤ジョシの寝顔に驚愕の顔で向き、こう思ってしまった。


 もしかしてうちの妹……犯罪しようとしている?!


 ****


 2020年、14月31日。


 ~佐藤ジョシ日記帳の視点~


 正直、今日はだるモードになるから、適当に書くつもりだったけど……兄さんが帰ってきた!


 楽しい!


 でも、妙に気にかけてるというか、配慮してくれてるというか……普段の優しさとは違う、変な優しさだった。


 まぁ、どうせまた何か変な想像でもしていただろう……



 ~佐藤ジョシの視点~


 いや、待ってよ?


 もしかしたら、仕事の支障でもあるじゃないのか?


 ……そうだよ!


 そもそも、なんで兄さんが突然家に帰ってきたんだ?


 ただ顔が見たくなったという理由じゃないだろうな!


 じゃあ……もしかしたら、首?!


 失職の危機?!!


 だから家に帰って、心の支えがほしいじゃないのか!


 いやぁ!ど、どうしよう……ますますそう思えてきた!


 私の仕事でこの家を支えられるのか?


 

 ……いや、違う。


 なれなくても、やるしかないっしょ!



 ~再び、佐藤ジョシ日記帳の視点~


 ごめんよ!兄さん!


 君の妹は、ちゃんと君の心の支えになるから!!!


 家の柱に、なるから!



 これは、妄想力旺盛な佐藤兄妹である。


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