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佐藤ジョシの日記帳㉕2020年14月30日ー②

 ~佐藤ジョシの視点~


 正直、これは予想外すぎる。二人が親戚だったなんて、考えもつかなかった。


 いや、理由としては高木という苗字が珍しくないし、知ったばっかりの人は友達と親戚だったなんて、普通思いつかなかっただろう。


 それに、私は探偵でもないし……こんな微弱な繋がりで気付くわけがないよ!


 ……でも、二人が隣に並べば、顔がちょっと似ている部分はある。さすが従姉弟というべきか。遺伝子の力に逆らえないな。


 ~佐藤ジョシ日記帳の視点~


 でも、私は完全に忘れていたわ。真津芽ちゃんの苗字を。


 いや……よくよく考えれば、そういう兆しがあるかもしれない。ただ私が気付いていないだけで、全然気づける人がいるかもしれない。


 後付けだけれど、少し兆しの点をまとめるとこうだ:


 1.真津芽ちゃんの住む場所。(思いつかなかった)

 2.二人の苗字。(忘れていた)

 3.高木君に出くわすこと。(一番重要なところかもしれない)


 まず1.について考えよう:


 1. 実は真津芽ちゃんは今、県外に住んでいる。県外に住んでいるなら当然、県内に戻る時、時間がかかる。


 では、ここで問題①:

 カラオケの約束を果たそうとしている真津芽ちゃんは、ただ電車に乗って、カラオケをして、それで直接県外の家に戻るのか?


 答えは……いや、答えをする前に、まずこういう前提を知らなければいけない。


 私たちが住んでいる伊中町は、実は鳥取県の端にある、丁度兵庫県の境に届きそうで届いていないところだ。

 そして、ここに通る電車とバスは大体一時間に一回。つまり、県外に住んでいる真津芽ちゃんは、どうしても二時間以上の往復時間がかかってしまう。平日でこのような往復時間はさすがにきつすぎる。会社の出勤もあるし、こんな頭がおかしいローテに付き合うはずがない。


 そのため、私たちはカラオケの約束を週末にした。


 以上の前提を知れば、問題①に戻そう。


 問題①:カラオケの約束を果たそうとしている真津芽ちゃんは、この週末で夜に電車を乗ってきて、カラオケをした後、更にそのまま直接県外の家に戻るのか?


 答えは――いいえ。キツいものはキツいし、別の日にしてもきつい。当日の往復なら、答えは必ず“いいえ”になる。


 つまり、この往復は当日でなければ大丈夫。


 では、来る時と帰る時の時間を別にして、必然的に一つの問題が発生する。それは、泊まれる場所は?


 ……まあ、実家が県内にある真津芽ちゃんにとって、この問題を解決するにはさほど難しくない。


 そう!彼女は今(週末期間)、実家に泊まっているのだ!


 ただし、この点だけで言えば、別に高木君と真津芽ちゃん二人が親戚だという繋がりがまだ弱いだろう。


 ここで、2.の出番だ。



 ~佐藤ジョシの視点~


 二人の苗字が同じ……だけど、私はやっぱこの段階で気付く人がいないと思う。


 言い訳として、やっぱ高木という苗字が別に珍しくないし……同じ苗字だからって、知ったばっかりの人にプライベートの話聞く?


 聞かないよね!はい論破!


 ……まあ、でも、3の時にさすがに気付くべきかもな。



 ~佐藤ジョシ日記帳の視点~


 高木君と出くわしたのって、カラオケの約束を交わした翌日だもんな。


 偶然市外の人が公園に来て、その人のテニスの実力が強くて、そして、その人は実はギャップショタだと……加えて、そのギャップショタは友だちの親戚だったなんて。


 こんな属性ばかりの人物、まるで漫画の新キャラみたいじゃないか。ならば、二人は関係ないなんてないだろう!


 これで気付けないやつなんて――



 ~佐藤ジョシの視点~


 これで気付けないやつなんて……


(ドン!)


 いるけどね!私がその気付けないやつなんだけどね!


「いや、なんで私が私を突っ込んでいるのよ!」思わず独り言を喋ってしまう。


 落ち着こうか。ミルクティーを飲もう……


 私はトレイからミルクティーを盛っているコップを持ち出し、飲み始めた。


「ぷはぁ」


 ふ……おいしい。


「甘ーい♡」ハートが付けたくなっちゃう甘さ。


 本当、甘いものは心に安らぎを持たしてくるわ。


 最高!


 さて、「……続きを書こうか」


 私は再び鉛筆を動き始めた。


 ~佐藤ジョシ日記帳の視点~


 さて、探偵気取りの話はここまでにして、もう少し書こう――


 と思うつもりだったが、さすがにちょっと眠くなったので、残りの行数が埋めたら寝る。



 ~佐藤ジョシの視点~


 ええと。何を書くかな……今日の練習のことだと多すぎるし、ダイエットの成果もまだ見えていないし……


 うーん……


 あ!



 ~佐藤ジョシ日記帳の視点~


 そういえば、日記を書き始めて以来、もう三週間目だ!


 一週間は14日、こう換算すれば、今の余分の日も数えて、もう30日以上続いたな。


 飽き性の私にしては、かなり長く続いたんじゃない?


 いやー照れるなー(〃▽〃)ウホ


 ……自分で褒めるしかないけど。へへ。


 さて、そろそろ行数も足りないし、今日の日記はここで終わりにするか。


 明日テニスの練習はなし!


 一日中、心のHPを回復するために!


 あと、二人は県外の家に帰るから!



 ~佐藤ジョシの視点~


 ……よし。


 丁度ギリギリだな。


 私はほぼ2ページも全部文字に埋まっている日記を見ると、焼きクッキーを食べたくなってきた。


 クッキーの皿にもう一つのクッキーに手を伸ばそうとしていたが……


「あ、もう食べ終わっちゃったんだ……」


 はぁ……真津芽ちゃんの焼きクッキーは相変わらずおいしいな。


 私はコップ内に残りの少ないミルクティーを飲み干して、歯磨きの準備をし始めた。


「あ……」そういえば、真津芽ちゃんのことを思うと、今で思いついたんだが。


「高木君はなんで……ここでテニスを練習するんだろう?」



 佐藤ジョシは一瞬ためらいを感じたように動きを止めて、その後すぐ思い浮かべた疑問を後にした。



 まあ……別にいいか!


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