佐藤ジョシの日記帳㉑2020年14月29日
2020年、14月29日
昨日また真津芽ちゃんとお喋りができて嬉しかった!残業のせいでカラオケに行けなかったけど、まだ私のことを友だちだと思ってくれて、とても嬉しかった――
私は書いている鉛筆を止めて、自分の背中を椅子の背もたれにもたせかける。
少し昔のことを思い出しながら思う。
一年も連絡しなかったからな……喧嘩とか、不仲とか、そういうのじゃなくて、ただただ、なんとなーく繋がりが薄くなっただけ。
たとえ昔のことが覚えていても、人と人との関係性が変わらないわけがない。永久不滅なものが存在しない。永遠にいられるのは常に変化する世界だけ。
この哲学じみな思考は、私が夜来玲ちゃんから学んだもの。ただの受け売りだけどね……
私は姿勢を正し、再び鉛筆で日記に書き始める――だから、まだ友だちでいられるのはとっても嬉しい!
さて、友だちの話はここで終わり。
これからはテニスについての話……いや。正確には、私がまた公園のテニスコートに行った話。
今日、私、翔太くんの次に新しい出会い(ショタ子)が始まった気がする!
まあ、あの子は全然……ショタっぽくないけどね。
****
私、今日テニスを練習しようと思います――って、誰に言っとるやね!
心の中で自分をツッコミながら、家からラケットと道具一式を揃えて、すぐ井奈香公園に出発する。
そして、公園にて。
……相変わらず閑散とした景色だった。
一箇所も人だかりのない雰囲気。もはや寂しいという言葉で足りない。
……そう。
自然だ。この公園はもーう、この町の自然風景に馴染んでいる。馴染みすぎて、何も察知できなくなるくらいに人が来ない。
そして、ずっとこの公園に来た私は、いつかの未来でこう言えるかもしれない――
とあるインタビュー
ジャーナリスト:「なぜ、佐藤さんは井奈香公園のテニスコートに練習するのですか?」
私:「別に特別な理由はないのですが……そうですね。強いて言うなら――“そこに公園があるから”、でしょう。」
ジャーナリスト:「……はあ。」
――ふ、ふ、ふ!
「このネタは……行ける!」
ピー――ピヨピヨピヨピヨ……ピー――ピヨピヨピヨピヨ……
チュン、チュン……チュン、チュン……
キュルキュルキュルキュルキュル……
鳥のさえずりだけが公園に響いていた。
……と、今はこんな余計な妄想をしている場合じゃないな。
私は道具一式を収めているバッグから日記のメモ帳を取り出しながら、テニスコートへ向かう。
メモ帳を取り出し、練習予定の部分に目を通した。
今日はフォアハンドの復習と、バックハンドの練習――メモ帳を半分まで目を通した瞬間――パン、ド!
ボールの音が聞こえた。
?
誰がいる……あ!
もしかして翔太っ――と、私は最初テンションが上がっちゃって、小走りで向かおうとしたのだが、走り出した途端、路上の石に転ばせそうになって、すぐ走るのをやめた。
しかし、
パン、ド!
この練習の音をよく聞くと、踏み出す力もだんだん無くなり、歩幅がどんどん狭くなった。
私は早足もやめた。
なぜなら、何となくこの人は翔太くんじゃないと思っていた。
実際、テニスコートに到着して、フェンスドアの向こうに見たら、知らない人がサーブの練習をしていた。
パン、ド!
恐らく成人(?)の男性であろう……フェンスドアの向こうにいる男性は、ド、ド……とボールを下についてから、握りしめる。
そして、場の状況をよく観察しているように一瞬動きが止まり、次にボールをトスする。
ボールが宙に舞う間、彼はラケットを振る腕が滑らかに挙げて、ボールが下がっている時――いいや、もしかしたらボールがまだ下がっている間もなく、相対的に高いところで、一瞬でも時間が静止したみたいだった。
スッ、パン!全てがスローモーションのように、音とともにボールがラケットのストリングによって圧迫し、弾き飛ばす。
パン、ド!高点からのボールは、勢いよくシュッと素早く向こう方面に飛び出した。
速っ!
こっちがすでに驚いているのに、男性は全然満足そうにない表情で、もう一度サーブのルーティンから始めた。
……ど、どんだけ速いの?翔太くんのサーブもこんなじゃないと思うけど!
パン、ド!
サーブする前全ての動きはしっかり見えているのに、ボールが飛び出した瞬間、もはやラケットの残像しか見えない。
飛ぶ軌道が細い線のように全く見えなかった。速すぎて何も見えなかった。
まるで獰猛なる獣。やる前は隙を窺え。やった瞬間は一瞬で飛び出す――パン、ド!
もし翔太くんのサーブは芯のある“柔”で例えるなら、この人のサーブは獣のある“剛”に違いない。
パン、ド!
ダンスならタップダンスとブレイクダンス。
パン、ド!
テトリスならREN消しとT-SPIN。
パン、ド!
……まったくもって違うタイプ。
そして、繰り返しているサーブの練習は、連続やった後、やがて休憩し始めた。
正直、壁打ちとはまた違う感じで、刻みのいいリズムに乗っているから、もう少し見てみたかった……だけど、彼が休憩し始めたら、脳内から一つのイメージが湧く。
プロの方……なのか?と。
その実力の強さは、逆に近寄りたくなかった。




