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佐藤ジョシの日記帳⑪2020年14月13日ー②

 6-0


 ボロ負け……いや、ボロ負けというより、試合すらなっていなかった。


 ……あれ?


 私、こんなに弱かったの?一回ぐらい勝てるはずだ。


 でも、何もできなかった。


 というか、小学生相手に一回も勝てないなんて、さすがにやばいだろう?


 これは……


 これは……!


 この時、私の心の中、ビーストが吼えていた!


 これはもうアレを言うしかない!大人げないと言われても、言うしかない!


「も……」必殺――


「……も?」


「もう一回。もう1セットだ!」小学生の姪の直伝:勝つまでやる!という駄々をこねるやつ!


 つまり、私が勝つまで、やり続けるのだ!


「え?う、うん……いいけど。」あっさり了承してくれた。


 ……ははん!引っかかったな。翔太くん。


 確かに今はあなたのほうが実力が上だろう。


 だが、ずっとこうしてやり続けているうち、いつも駄々をこねてくるやつにだんだん呆れる時がくるのだ。


 そして、そう長くないうちに、疲れている頭がこう思ってしまう――「早く負けて……休憩するか」ってな。


 その時!私に勝算がくる!


 ふふふ。この連続技、一番厄介なのは自ら泥沼の状態に陥ったことすら気付けられないことだ。


 そして、ああいうクソガキは、こちらがずっと勝ち続けているにも関わらず、結局最後の勝ちは自分の勝ちだと主張する!


 ……だから、ここも容赦なくこういう技を使わせてもらうぜ!


 こちらはな、色んな事を経験してきた汚い大人なもんだ。この汚い大人の力を、見せてやる――


 6-0


「も、もう一回だ!」あれ……?


 6-0!


「お願い、もう一回!」あれれ……?


 6-0!


「最後だ!最後の一回!」あれれれ……?!


 6-0!


 ……


「はぁ……はぁ……はぁ……」なんでだ……?


 えー????


 やはり勝てない。なんで????


 それにこの子、呆れるところか……元気有り余っている。


 むしろ、私の方がゼーゼーしている。


「はぁ……はぁ……」私は地面に跪いて、呼吸を整えている。


 こんな時なのに、勝負に関係のないことが頭に浮かんだ――これ、もしかして痩せる?なんて――少し頭の整理ができなくなってしまった。


「ははぁ……!」


「あの、だ、大丈夫……?」翔太くんが……心配してくれてる。


「水……飲む?」


 天使……


 翔太くんが天使に見える!


 こんな汚い私に、水をくれるなんて!


「ありがとう……!」


「い、いいえ。姉さんが死にそうだから、何もしてあげないとちょっと不安になるから……」


「そ、そうか……じゃあ、ちょっと休憩するか。」


「うん。そうして。」


 ****


 しばらくして


 ****


 プシャー


 私は持っている水で頭を洗う感じにあちこちに浴びている。水がぼたぼたと滴り落ちて、小さな水窪ができた。


「ふあー生き返った!」


「……本当にもう大丈夫?」


「うん?うん!ありがとう!もういい感じになっているよ!」私は言いながら、髪から軽く水を絞り出して、タオルで拭いた。


 そしてちょっと湿ってる髪を結んで、皿回しのように手を反転し、ギュッとして、髪を一つの団子みたいな形にした。


「うん!ちょっとボサボサだけど、どう?」


「え?う、うん……綺麗だと思う。」


「ちょっとー!こっち見てそう言ってよ。」私はしょうがないと思いつつ、苦笑いで話しかけたんだが……


「……僕はまた練習したいんで。」翔太君は俯いたままそう言って、すぐラケットを持って、壁の近くに行った。


 うーん。やはりちょっと上の空って感じがするな……そういえば、試合の目的は翔太君の気がかりのことをフッ飛ばす作戦だったわ。


 この感じを見ると、作戦失敗かな……


 私がそうこう考えているうち、翔太くんはもう軽く壁打ちをし始めた。


 しばらくあの子のリズム感のある打撃音を聞いて、彼は自ら話を切り出した。


「佐藤姉ちゃん。」


「うん?何?」


「今日の試合……佐藤姉ちゃんはずっと、僕に勝つつもりなの?」


 え?予想外の問題だな……うーん。素直に答えるか。


「うん。そうだよ。」


「……すごいな。こうもあっさりと。」


「え?そう?ありがとう!えへへ。」


 翔太くんは何が言いたそうな顔をしているが、「……まあ、いいか」と呟いた。


 (*’ω’*)?


 何が言いたいんだろう。


 パー、ドン、ポン……


「でも、ずっと負けてたら、落ち込まないの?」


「うん?落ち込むは落ち込むけど、それは関係なくない?」


 パー……彼は珍しくボールを落とした。


「……え?それはどういう意味?」


「だって、初心者だろうかプロだろうか。運動競技において、勝ちたくない人なんてそうそういないだろう?」


「……」少し沈黙が流れる。


「負ける前提でやる人は、誰一人もいないよ。」


 私の話を聞いて、彼は無言でボールを拾いに行った。


「まあ、私はこう見えて、ちゃんと落ち込んでいるよ。」


「……なんか、ごめん。」


 ?


「何で謝ったの?」


「……いや、なんとなく。」


 ?


 パー、ドン、ポン……


 まあ、いいか。


 パー、ドン、ポン……


 ****


「それより、翔太くん。」


「?」


「もう一度、私と勝負してみない?」私の話を聞いて、翔太くん思わず動きを止めているようだ。


 ボールがもう一度彼の足元から抜けて、フェンスにブォーンとぶつかった。


「え?また?」


「今度こそ本当に最後!」


 彼の顔は呆れているというより、心配だ。心配の気持ちがあふれている。


「……僕はいいけど、佐藤姉ちゃんの体力的に――」


「私も大丈夫だよ!さっき休憩したんだし、もう体力満タン!」


「……本当?」


「本当本当。」本当のこと言ってるのに、完全に心配されている。証拠は翔太くんのその目。完全に暖かい気持ちと心遣いの感じ!


 でも……だからこそ、私は試合したい!


 この機を見逃さない!この汚い私のことを同情している今こそが、チャンス!


 ここはどうしても説得しよう!


「それに私、昔ダンス部の所属だから、体力はそれなりにあるよ。ほら!」30歳になってちょっとたるんでるとは言え、体力がどん底に落ちたわけじゃない。これは本当。


 少し足腰と腕を動いて、彼に安心させる。私の動きを見て、やっとわかってくれたようだ。


「……わかった。本当に、最後の一回だよ?」彼は突然一気に近づく。


「お……おお!本当だよ!」攻めてくるね……「言質を取った」みたいな顔をして。


「さすがに五回連続の試合もしたし、今回は本当に最後の一回だ!」――ただ、これは嘘である!


 ふんふんふん……これはいわゆる、男の子の純粋な気持ちを弄ぶ悪女の技だ――情に訴えるというやつ!


 最後の一回?否!私が勝つまで、最後の一回は存在しないのだ!


 はっはっはぁ!


 ……


 いや、さすがの私も学習したよ。


 今まで私の計画なんかずっとうまくいかなかったんだもん。


 だからここは一応、保険をかけておこう!


「ねえ、翔太くん。」私たちは今、試合の勝負を準備している。だから今のタイミングで、まだ間に合う。


「何?」


「最後の一回だから、今回の勝負、3セットにしない?」

ちなみに、ヒロインはなんで3セットにしたいか、皆さんも当ててみて。

とてもしょうもない理由です。


ヒントは以下の通り。


ヒント1:小学生の姪。主に”小学生”という部分が重要です。

ヒント2:今まで試合のセット数と回数。

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