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佐藤ジョシの日記帳①2020年13月60日~2020年13月64日

 佐藤ジョシの日記帳。


 2020年、13月60日。


 最近、ずっと座りっぱなしで、ちょっとお腹がたるんでたと思う。


 まあ?30歳の私は、もう美への意識は、そんなに、ない、と、思うけど?でも?でも?


 やっぱ、体重って、少し軽いほうがいいじゃないじゃん。


 だって、体重の十の桁がもう6になったし、身長は160くらいだと、やはり少々太り気味に見えるだろう……それに、太りすぎだと色々健康にも影響があるし、なぜか汗もよく流れる……


 だから、私は決めた!


 今日から日記を書き始めるついでに、ダイエットもしようと思っている!


 そう!運動しよう!


 そのために、まずどんな運動をやるか、少し考える!


 ****

 2020年、13月61日。


 はい。寝てしまいました。


 何の運動をしようかと考えていたら、結構迷ってしまって、寝ちゃいました。


 とりあえず、未来の自分に謝ります。


 ごめんなさい。


 日記にも反省文を書きます。


 ……


 でもね!でも!私は寝る前に、つまり起きてた時、ちゃんと考えていたの!


 自分に言い訳を聞かせてもちょっとアレだけど……でもちゃんと考えていたの!


 まず、団体スポーツは除外。バスケとか、バレーボールとか、人数的に無理だし、自分が足手纏いになるのもなんか嫌……でも、別にできないわけじゃないよ!


 昔は一応、運動神経がいいって――体育の先生(なお80歳のじじい)に言われたし?部活もダンス部(なお実績なし)に所属だし?


 だから、ああいうのって、私に一回やらせてみれば、ちょちょいのちょいだ!

 簡単に手に取るようなもの!オリンピックのメダルも簡単簡単――いや、わかるよ。

 お前、舐めてたなって。

 でも、自分の脳内の妄想だし、これくらいの妄想は許されるよね?別に誰に見せるための日記じゃあるまいし。


 ……で、ちょっと考えが逸れちゃったけど、寝る前に考えてたのは団体スポーツだけじゃない。


 一応マイナーなスポーツもダメだと思った。


 例えばエアホッケーとか、モルックとか――いや、モルックは面白いけどね。


 一度会社の友達とやってみたから、面白かった!……が、これはスポーツというより、楽しめるゲームという感じが強い。

 少なくとも、私には運動してる感がない。

 エアホッケーも同じ理由で、他のマイナースポーツは団体のほうが多かった。


 だから、マイナースポーツもほとんど除外……正直、ちょっとカバディに興味があったけどね。


 鬼ごっこみたいで楽しそう!


 でも、あれは団体だし……やっぱり駄目だな。


 それで、今に至って、考えられたスポーツが結構絞られた。


 とにかく条件をまとめてみると、一人でもやれる、ダイエットに効くちょっと激しい運動……


 こういう運動がしたい。


 そして、今考えている時点でも、何の運動がいいって見つけ出そうと思い詰めている。


 うーん……でもいざと考えたら、何も思いつかない。


 そもそも個人的にやれる運動は限られているし、ここはやっぱ……流行の波にのるか?


 ……


 2020年、13月62日。


 よって、私が考えられた最初の一つ目の運動は――最近の流行と言ったら――やはり筋トレでしょう!


 漫画やアニメなど、よく筋肉キャラが出てくるし、健康意識の向上によって、4、50歳のおじさんおばさんも、時々ジムで見かけた!


 筋トレの流行、恐るべし!


 ……まあ、風潮がすぎれば、客は少なくなるが――でも、私は違う!


 そう!私には、「美ボディになる30歳の私」、「おばさんになっても若く見える!」「こんな筋肉があるだ」なんて、男たちにぎゃふんと言わせたいというダイエットの意志がある!

 そして、私の筋肉に挟まれたいといういっぱいの男たちに――まあ、おばさんの筋肉に挟まれたい男なんていないと思うけど……


 でも、筋肉をつけて、モテモテになりたい!こういうのも……悪くにゃいと思う。


 ……ぐへへ。


 そしてなんと!私の家には!


 ジムの無料体験サービス券を持っている!(三日限定)なんという偶然!(ちょうど今日でチラシ配りの人からもらっただけ)


 だから、もうやらない理由はない!


 待ってろよ!美ボディの私――


 ****

 2020年、13月64日。


 ――はい、無理でした。


 よく考えたら私、そんな根性がないし、筋肉とか、身体づくりとか、元々やったことないから、どうすれば全然わかんないや。


 何より、キツイ。


 店員みんなはいい人だけど、筋トレ、きつい。


 私には無理。


 それに、筋トレの成果が見えるまで、長い時間が必要だよ!


 綺麗な美ボディになりたいけど、私、もう無理!


 長時間に続けられる根性なんて、私にはない!


 ただのダイエットをしてていい。ごめん。可愛い店員さん……あと、あの時謝ったけど、やはり今日記にももう一度謝っておきます!


 失礼なことを言ってしまって、申し訳ございません!


 ……


 ……


 はい。


 反省終わり。


 よって、筋トレはダメだ。


 もっとこう……気軽にやれる運動がないかな?


 やはり散歩とか、ジョギングとかしかないのか?


 でもせっかくだし、やっぱやったことのない運動がしたいなー


 ……仕方ない。とりあえず、今日は近くの公園でも散歩しに行くか。


 ……


 …


 私、見つけた!


 さっき(昼ご飯のあと)、とりあえずの気持ちで、適当に公園に散策したら、運命のスポーツに出会った!

 いや、運命というのはちょっと大げさかもしれない。


 でも、あれを見た瞬間、すぐ「これだ!」とピンときた!


 その運命のスポーツとは――(デデンデデン~脳内ドラムとともにSE再生中)


 テニスだ!(ジャジャン)


 そう。テニス!


 なぜこれを選ぶかというと――それは月日が気高き、暗い暗い夜の時間――っていうのが嘘で、やはり普通の昼ご飯の後。


 私は近くの公園に行ったら、園内にテニスコートを見つけた!


 そう!テニスコート!


 その公園は、おおまか三つの区域に分けられて、運動場に区分されているところがある。

 イメージは運動公園の感じだが、一つ重要なのは、またこの運動施設の特徴で、予約の利用登録はしなくてもいいということ!

 ネットで調べたし、市役所のホームページも見た。問い合わせもしたから、この情報は間違いない。


 つまり、あそこは無料の上、何の手続きをしなくても直接中に入れる!時間も無制限で、いつでも入れる!


 これはもうやらない理由ないじゃない!


 よって、私はあの時、即座に決めた!


 テニスをやろ!


 まあ……もちろん原因はこれだけじゃない。


 実はテニスのラケットが元々持っているし(昔兄が使ってた古いヤツ)。

 シューズは昔ダイエット失敗のジョギングシューズもある(これもちょっと古い)。用品は色々組み合わせで、なんとかなる。

 つまり、用品の部分にお金はかからない!


 そして、もっと重要なのは、テニスは……一人でもやれる!


 そう。


 私は見た。


 今日、テニスコートの近くにある壁(ボールを撃つためのアレ)、あのショタがずーーーっと、一人で壁に向かってボールを撃ってた時、私は、見惚れちゃった。


 綺麗なフォームに、美しい弧線。何よりすごいのは、撃ち続けてボールの音。


 パー、ドン、ポン……パー、ドン、ポン……リズムよく撃ち続けて、気持ちいい音が響いている。ずっと壁の同じところにぶつかり、ボールを打ち返した。もはや壁がそのショタの仲間みたいに、いい感じにボールを返してあげた感じ。


 すごい、というのは素直な感想だ。


 ……でも、私の着眼点はそれだけじゃない。


 あのショタ、見た目はたぶん12歳くらいだろう。小学生……いや、精々中学生くらい。


 つまり……


 あんな子どもでも簡単にできる運動!私にもきっと簡単できちゃうじゃん!


 それに、あのショタを見た時、いい汗も流してる……


 つまり、ダイエットもいい感じにできる!


 テニスで汗水に滴る私――いいじゃん!なんなら男でも釣れるんじゃない?


 ……いや。わかるよ?


 そんなうまい話はないって。


 でも、妄想くらいはさせてよ……ぐへへ。


 まあ。でも?テニスなら、ダイエットくらいできるんじゃない?


 あのショタみたいな感じで動けば、そこそこの汗ができそうだし、ずっと立ったまま、ラケットでボールを撃つくらい、私にもできる!


 それでは、早速行こう!


 男たち!いい感じの私を、待ってろよ――





 2020年、13月64日。(同じ日の夜)


 はい。


 死にました!


 テニスを舐めました!ごめんなしゃい!

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