表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
昨日と明日  作者: 楽いく
1/1

虹彩

朝、聞き飽きた騒音に叩き起こされる。それはまるで私を永遠に蝕むかのように激しく響き続けていた。頭の中では体を動かしているつもりなのに、現実は重く沈んだまま。結局、力を振り絞って騒音を止めるのがやっとだった。体を整えながら、これからを思う。今までの人生の方が短いはずなのに、どうしてもそうは思えない。

理由もないまま、まるで体が勝手に動くように服を着て歩き出した。

この服を着ていると先週の記憶が疼くように蘇る。

__________

「お前はどうしてそうなんだ!」

目の前に立ち尽くす影から、地面を揺らすような声が降ってくる。私がその標的だと気づくのに時間はかからなかった。

その言葉に刺されるたび、心が目を背けたがる。けど、それが全ての元凶だと知っているから、私は静かに感情を飲み込み始めた。

耳は確かに捉えている。なのに、頭はまるで霧の中。言葉を拾おうと手を伸ばすたび、邪念がそれを掻き消す。

声が途切れた瞬間、眠りに落ちた。結局、その中身は永遠に霧の向こうだった。

____________

目覚めた時、その声はまだ頭に残っていた。正直、今の私にはあの記憶が妄想なのか現実なのかすらわからない。

いっそ全部夢なら楽だと何度思ったことか。

机の並べられた部屋に入り、いつも通りの定型句を言い合う。みんなの目はあまりに暗く、未来なんて映らない。虹彩認証が最先端だとしても、ここでは無意味だ。同じ黒い瞳を持つ私たちは、誰が誰でも区別がつかないのだから。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ