教室での諍い
シェルは、教室からギルモンド達を追い出すと自分の席に着く。
サリタがにっこりと手を振り、女友達だとアピールする。
「あなた、ランボルグ侯爵令嬢に媚を売って恥ずかしい。
婚約者がいる男性にまとわりついてるのがランボルグ侯爵令嬢よ」
サリタに絡んできたのは、エシェルの取り巻きの一人である。
「あなたこそ、恥ずかしいと思わないのですか?」
サリタは呆れたとばかりにため息をつく。
「彼女は侯爵令嬢で、あなたよりも家督は上位。
第一、誰が見ても彼女ではなく、王太子殿下が纏わりついています」
フランクは、シェルに見惚れていた。
エシェルに対応するのに、瞳が輝くように強い光をもっていた。
やっぱり、綺麗だ。
兄上は婚約者と結婚して、エシェル・ランボルグ侯爵令嬢は、僕の結婚相手になるべきだ。
「エシェル・ランボルグ侯爵令嬢、どうかここは僕に免じて収めてほしい。 もうすぐ授業が始まる」
フランクの言動は、エシェルを庇っているように聴こえる。
だが、これでクラスの中のギスギスした空気が緩んだのもたしかだ。
エシェルと取り巻き、シェルとサリタ、女子生徒同士の対立を皆が遠巻きに見ていた。
「皆さん、私の為にありがとう。殿下がおっしゃったように、もうすぐ先生がいらっしゃるわ。席に戻りましょう」
エシェルは取り巻き達の手を取って、言葉をかけている。
シェルとしては、エシェルをもっと激昂させて、怒らせたかった。
エシェルが怒っていると、身体から黒いなにかが感じ取れるのだ。
その要因は、邪教としか考えられない。
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