学院での生活の始まり
すみません、寝落ちして投稿してませんでした。
毎日投稿が目標なので、投稿時間がいつもと違いますがよろしくお願いします。
エシェルの教室では、ざわめきがおさまらなかった。
グイント・シェイドラ公爵子息と、美しい上級生を引き連れてエシェルが教室に来たからだ。
「エシェル・ランボルグ侯爵令嬢」
皆の代表のように声をかけてきたのは、フランク王子。
エシェルは聖祭の儀式の時に会っているのだが、いたという記憶があるだけで、顔も何もかも覚えていない。
フランクの方は、エシェルがあの時のユーラニア伯爵令嬢とは思いもしないのだろう。
ギルモンドとは違う。
エシェルは、ギルモンドとフランクを比べてから返事をした。
「はい、何でしょうか?第2王子殿下」
エシェルが席から立ちあがり礼をしようとするのを、フランクが止める。
「学院では、そういうのは必要ない」
エシェルもアイリスから聞いているが、様子を見ながらフランクを試している。
「申し訳ありません。王都に慣れていなくって」
エシェルが席に腰を落とすと、フランクは机に手をついた。
「シェイドラ公子とはどういう関係だ? それと、あの綺麗な上級生は? 昨日の生徒会室にもいたね?」
「兄のアイリス・ランボルグです。シェイドラ公子とは昨日初めてお会いしましたが、兄と仲が良いそうです」
エシェルが戸惑うような表情をすれば、フランクも納得した様だ。
「ふーん、仲が良すぎる気もするけど。僕は昔から知っているけど、あんな人じゃないんだ。
それにしても、二人とも美人だけど似てない兄妹だね」
授業開始の鐘が鳴り、フランクは自分の席に戻って行く。その背中を見送りながら、エシェルは状況を考える。
ギルモンドとは、ずいぶん性格が違う。あれで王子? 軽薄でプライドが高そう。
あの王子に正体が知られたら、言いふらしそうだわ。気を付けないと。
昼休みになると、アイリスが迎えに来た。部屋の外ではグイントが待っているらしい。
エシェル・ユーラニアが見ていたが、すぐにクラスの女子に取り囲まれていた。
未来の王妃ということで、取り巻きが出来ている。
だが、昨日の馬車寄せのこともあって、睨むような視線を送ってくる。
「エシェル様、お気にする事ありませんわ。きっと何かの事故ですわよ。
田舎から出て来たばかりで、王太子殿下も哀れに思っているのですわ」
聞こえるように言っているが、これに屈するエシェルではない。
アイリスにいたっては、エシェルに害を及ぼす予備軍として顔を覚えた。
「王族のサロンで昼食にしようと言っていたけど、あの王子が来るなら面倒だな」
アイリスは、フランクの視線を感じていた。
昨日の生徒会室での態度、エシェルに興味を持っているのはあからさまだ。
「お待たせしました」
教室を出るとグイントが待っていて、アイリスは淡々と声をかける。
この役柄が嫌だと態度で示しているが、グイントの方は楽しんでいる。
「アイリスちゃんは、今までランチはどうしてんだ?」
「普通に友達と食堂で食べてましたよ」
アイリスの答えを、グイントはすでに知っている。何度かその姿を見かけたからだ。クラスメイト達と笑いながら食事をしていた。
「しばらくは、その友達とも一緒にいられなくって残念だね」
「元々、エシェルが入学すれば一緒に食べるつもりでしたから」
食堂には王族の特別サロンがあって、安全上の問題で別メニューが提供されている。ギルモンドとグイントはずっとそこで食事をしている。
アイリスとエシェルは、ギルモンドの同伴ということで入室するのだが、フランクが来るのは間違いない。
ギルモンドとグイントは、エシェルに毒を盛られる可能性を心配していているが、エシェルは覚悟の上である。
毒で殺されたトラウマも、ランボルグ家で生活している9年で克服している。
読んでいただき、ありがとうございます。