0. かうんとだうん
さて。
あたしは人形である!
そう、連綿と命を紡ぎやがては潰える存在ではない。そんな“儚さ”はあたしにはない。元気いっぱいだ!
もっちろん、ただの人形じゃない。丹精込めて作られた魔法人形というやつだ、それも超がつくほどの一級品ッ(えへんっ)。
そして、非・売・品!
まるで自分の意思で動いて、ついでにいえば魔法も使える特別仕様。あたしの兄弟ともいえるシリーズはある程度、魔法を使えるらしいがその中でもあたしはとくに特別らしい。
あらかじめ『創り手』である魔女もしくは魔法使いにより仮初めの命を与えられて動くんだけど、見た目はまったく人と変わらないし、体温も質感も人そのもので違和感はないはずだ。割と顔もスタイルも高いはず。
ただ、性格は最初にすこし設定されている。けれど、それも含めての『自我』、それこそが自分というものの『心』。
とはいっても。
実は、あたしはまだ生きていない。そもそも、まだ産まれていないというべきか。
この目がひらいたその瞬間が誕生するとき。
わくわく、している。
そう!
あたしはこれから生まれるのだ――――――――創り手たる魔女、きれいなマスターのいるその場所でっ!
カチ、コチ
身体の内部で、設定された時間がすすむ。
もどかしいほどその瞬間が待ち遠しい。あとも少しぃっ!
だいじな時間をフライングするわけにもいかない。
ジレジレしながら待つ。
5秒、4秒・・・
よっし!
もったいぶらずに目を開けることにしよう。
きっと、これからバラ色の
びちゃっ、とさわやかに・・・
・・・・・・・・・ん? サワヤカ?
ガガっ、ギンッ、
「うおおおお!! 覚悟しやがれッ!」
「クソがっ!」
「・・・」
野太い。
ドスのきいた声。
とっさに聴覚を一瞬閉じてしまった。
おかしい。
目をあけるはずがあけたくなくなる。
聴覚をひらけばまた、雄たけびみたいな声やらガンガンなる荒々しい音がする。
あり?
マスター?? これはいったい???
コチン
オーバー10秒。
いつのまにか脳内カウントしていたらしい。
はっと我に帰る。こうしていてもしかたがない。時間は残念なことに過ぎてしまったけれどあけるしかない。
そろり、と目を開けるとそこには・・・。




