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その後公園を散策した後、教会に向かう。
クラスティーナ大聖堂。
王の戴冠式も行われる、国一番の教会で、
この国を守護する結界の中心点である。
この大聖堂の中心に魔法陣があり、
太古の昔、女神クラスティーナが
結界を授けたとされている。
その後3年に1度、公爵によって結界が強化され、
この国の平和が保たれている。
教会はゴシック建築で、細かい細工が、
教会全体に施されている。
何千年前にも建築が始まり、増改築を繰り返し、
作っては傷んだ所を修復し、
永久に完成しない大聖堂とも言われている。
中に入ると、恐ろしく高い天井から、
細い光が無数に入り込み、幻想的な空間となっている。
まばらに訪れてる人が、教会の建築を見たり、
女神クラスティーナに祈りを捧げていた。
「いつ来ても荘厳ですね」
思わず呟くとウィル様も頷く。
「この大聖堂を守り、この国を守る、
それが僕の使命なんだ」
公爵の身分であるウィル様の言葉に頷く。
この国では魔法は誰でも使える、
しかし、ライターの代わりや、少し飲み水を出せる
程度で、そんなに大した事ができる訳ではない。
公爵の身分、結界の強化ができる程の魔力となると、
相当な努力がなくては得る事ができない。
だからこその公爵の身分なのだし、
この国の誰もが尊敬している。
「ウィルがいてくれれば、この国は安全なのですね」
そう言うと、久しぶりに驚いた顔をして、
手で顔を覆っている。
うーん、この反応は気になるが、原因が分からない・・・