1-8
その後、茶葉の専門店や香水の店など、
ウィル様が案内するままに店を巡る。
正直、すごく楽しい。
身代わりで、ドレスや宝石やらもらって
いるのに、こんなに楽しくていいのかと思うぐらい。
最初は戸惑っていたウィル様も、
だんだんペースが掴めてきたのか、
普通に話してくれるようになり、
本当の恋人同士のようになった。
こんないい男と付き合わないなんて、
フェリシア様、損をしている気になるけど、
まあ、王太子の方が魅力的なのかしら?
とか、想像で考える。
フェリシアは公爵になれる程の魔力の持ち主で、
綺麗な女性の為、子供の時から王太子と婚約しているので、
恋も何もないかもしれないけど。
その後、少し遅めの昼食を取る、
その時、ウィル様が「遅くなって申し訳ありません」
と本当に申し訳なさそうに謝っていて、
そんなに気にする必要ないのにと思う。
運ばれて来たのは魚介類。
う~ん、貝、生は私食べれないのよね。
困った顔をしていると、
ウィル様が、すかさずフォローを入れてくれる。
「何か苦手な物でも」
「すみません、貝は生では食べれないんです」
そう言うと、ウエーターを呼んで、
生の貝を、火を通した料理に変えるよう、
指示を出してくれる。
普通の店なら断られるが、ここまでの高級店なら、
よくある事なので、ウィル様にお任せする。
お酒に蒸し焼きにされた貝は本当に美味しく、
身代わりサイコーと顔をほころばせる。
「美味しいですか?」
「凄く美味しいです!」
そういって、パスタやデザートまで、堪能した。